いろんな愛があるんよ | へっぽこハンター日記

へっぽこハンター日記

新米ハンターのコトワがハンティングした音楽、映画、書物や芸術一般について語ります。

『アガサと殺人の真相』観ました。

旧作につき、ネタバレあります。

 

 

夫に離婚を切り出されるわ、

創作もスランプだわで、

落ち込むミステリー作家・アガサ(ルース・ブラッドリー)。

そんななか、

電車の中で殺された女性の事件について、

元従軍看護師のメイベル(ペッパ・ヘイウッド)から犯人捜しを依頼されます。

 

無差別な物盗りの犯行として、

すでに警察の捜査は打ち切られている事件ですが、

メイベルは独自に調べて、容疑者を何人か絞っていました。

 

アガサは一旦は断りますが、

現実逃避のために、メイベルに協力することに。

 

偽の遺産相続話をでっち上げ、容疑者たちを借りた屋敷に集め、

事情聴取を開始します……

 

 

 

 

アガサ・クリスティは実際に1926年に失踪していたそうで、

その間彼女はなにをしていたか?を、

フィクションで描くミステリー映画です。

 

いきなりアガサ・クリスティがコナン・ドイルに会いに行くシーンがあって、

テンションが爆上がりしました!

(*゚∀゚人゚∀゚*)♪


スランプの対処法について、

コナン・ドイルにアドバイスを求めるんですが、

彼の答えは「ゴルフコースを作ること」。

 

普段の仕事から一旦離れ、

趣味のなにかに打ち込んでみる、

つまりはそういう意味だと思いますが、

素直に模型でゴルフコースっぽいものをつくるアガサww 

 

それで、未解決殺人事件の犯人探しに取りかかることにします。

ミステリー創作に行き詰まって、

実際の殺人事件に首を突っ込むって、

ジャンルが同じなんよww 

 

でも、僕も切り絵の気晴らしにミニ切り絵するからいっしょかな。

(≧▽≦)アハハ

 

 

このアガサが、容疑者たちに本音を話させるために、

遺産管理人の弁護士に扮するんですが、

息を吐くようにするすると嘘をつくのが、

めちゃおもしろかったです。

 

この変装のために、アガサが行方不明になったと世間が大騒ぎする、

というのも面白かった。

 

刑事さんが、

「あなたを探すためにコナン・ドイルが霊媒師を呼んだ」と言って、

吹き出したww 

勝手に殺すなwwww 

(≧▽≦)アハハ

 

コナン・ドイルはミステリー作家ですが、

オカルトも大好きで、

コディングリー妖精事件とか有名ですよね♪

 

 

アガサ・クリスティ作品と言えば『ヴェネツィアの亡霊』で、

物語の大筋とは関係ないけど、

登場人物全員に戦争の影があるのがとても印象的だったんですけど、

この話もそんなふうに、

全員のバックグラウンドに戦争の悲劇がありました。

 

そういう時代だったんやね……

みんなが心に傷を追っている。

はっきりそうは言わなくても、

みんなが同じ影を経験していたから。

自分が行ってなくても、大切な人を亡くしたりしていて。

 

そして、無差別殺人を装い、

証拠がないため裁くことができないであろう犯人に対して、

みなさんは驚きの決断をする。

 

この流れがちょっとおもしろかったです。

 

おかげで、登場したときとお別れするときとでは、

みなさんの印象も表情もガラッと変わってました。

 

 

そうそう、

殺されたフローレンスと、彼女の死の真相を追うメイベルは、

はっきりとレズビアンカップルであることが語られていて、

そういえば『ナイルに死す』に年配のレズビアンカップルが登場するなと

思い出しました。

 

そしたら、この事件のあと、

スランプを脱したアガサが書いた新作が『ナイルに死す』!!

よくできてるよ、ほんまに!

(*゚∀゚人゚∀゚*)♪

 

映画に登場する作家が、

起きた出来事をそのまま描いてベストセラーになってる、

みたいな展開、よくありますけど、

創作なめんなよと思っちゃうんですよ。

 

この映画の事件は、

そのまま『ナイルに死す』ではないのに、

あちこちそのヒントがある感じで、

この事件を経て、

『ナイルに死す』が生まれたって感じなのがすごくいいと思いました!

創作とはこうでなくちゃ!

(^-^)v

 

 

あと、殺されたフローレンスの身内が、

はじめはメイベルをすごく悪し様に罵ってたのに、

フローレンスの死の真相を一生懸命追う彼女を見て、

心を改めて、

お茶しませんかと誘ってくれたのほんまによかった。

 

「向こうの家族にはずっと無視されてたのに!」と、

目を白黒させてビックリしているメイベルを見て、

ほほえましかったとともに、

昨今の同性婚の議論を思い出しました。

 

ずっと一緒に暮らしていたパートナーが犯罪被害者になったとき、

残された方にはなんの権利もない。

遺産も補償もないし、なんならお葬式の喪主にもなれない。

 

結婚という形じゃなくてもいいじゃん、

ふたりがお互いをパートナーだと思ってるならと言う人は多いけど、

いやもうほんま、片方が病気になったとき、

事故に遭ったとき、犯罪被害者になったとき、

そこまでいかなくても、

家を建てたり、子育てしたりしたいとき、

日本のパートナー制度だけでは全然不十分なんよ。

 

それに、結婚しないと選ぶことと、

そもそも結婚を選べないことではまったく違う。

これは全然フェアじゃない。

 

同性カップルはこどもを授かれないから生産性がないと言った、

ひどい差別発言を繰り返すクソ議員がいまして、

未だに国会議員でいられるの、マジで不思議ですが、

こどものいない異性カップルはいくらでもいるし、

こどもがいてもまともに面倒見られず、

問題を起こす異性カップルも山ほどいる。

 

いろんな愛があるんよ。

 

同性婚の話になるとき、

すごく反対する人たちってなんなんやろうな?

みんなに同性と結婚することを強制しているわけでもないのに。

同性婚したい人に選択肢が与えられるだけで、

関係ない人にはまったく関係ないのに。

他人の結婚にそんなに口出ししたい人がいるってのが恐怖だよ。

 

できればフローレンスが生きている間に、

ご家族の人たちとお茶したかったよね、メイベル。

 

僕は独身貴族なので、

アガサの悔しさもメイベルの辛さもあんまりわからないですが、

それでも人によっていろんな愛があるんだから、

それを認めて、

みんなが幸せになれる道を模索してほしいもんだなと思いました。

へっぽこハンターコトワでした!

(´ー`)y-~~