あたしが住んでいたのは閑静な住宅街。
近所には、すっかり子育ての終えた熟年の夫婦が住んでいる家が多くて…
小さい子供の気配はほとんどありませんでした。
そんな住宅街に立派に建てられた、
近所では一番モダンな家にあたしはヨメに入った。
結婚当初は2人で暮らす予定だったんだけどね、
勤めていた会社の不況で、
あたしは派遣だったため契約終了とされ、(今で言う派遣切りね)
旦那は自宅待機。(なんだかほんとにいろいろあるな・・)
お母様も1人暮らしになってしまうし。
そんなこんなで同居を決意したんだけどね・・・。
2人共会社に見捨てられた身だから、
招待予定だった上司も呼べなくなって、
そういや主賓がいなかったっけ。
でもまぁ、式も挙げて、ハネムーンにも行って来れた。
それもこれも、みんなお母様のおかげだったなぁ・・・。
結婚3年目を迎える少し前・・・のある日。
「ねぇ…お隣の家ね、売りに出すみたいなのよ!」
とお母様。
あたしは全然興味なかったんだけど…
旦那とお母様は2人で興味津々…
「いくらだろう?」
「隣買ったら2人で住む?」
「お父さんが生きてたら絶対買うって言うだろうなぁ~」
なんて・・
「この間の週末、人が見学に来てたみたいなのよねぇ」
とか、
毎日のように話題は隣の売り家。
あたしは
「だからなんなのさ?」
ってかんじだったんだけどね。
だって・・・
結婚したばかりで、お金もないし。
第一、4000万円もするっていうんですよ!?
とても買おうなんて思えないでしょ!
まだそんな身分じゃございませんって!
でもね・・
「本当にすむなら、半分出してもいいわよ?」
この言葉に・・・
旦那はすっかりその気になっていったのでした。
その週末。
買うなら早く手をつけないと・・・
と、2人は勝手に不動産屋に連絡をし、内覧の予約をとり、
まだ家主のいる隣のお宅へ伺うと言うので、
まぁ、あたしもそりゃぁ付いていきましたよ。
中を見るとまぁ・・・ すごいです・・・。
まだ片付けもされていないから仕方ないんだけど、
物が多すぎて・・・よくわからなかったっていうのが感想です。
でも、元は平屋だった家に2階を増築してあり、
1階だけでも2LDKあるその家はほんとに広かった。
リビング14畳。
ダイニング6畳。
和室6畳。
洋室12畳。
あ・・あとキッチンは孤立型で3畳か4畳くらいあったのかな?
2階には子供部屋にできる部屋が3つ。
7.5畳、6畳、4.5畳の洋室に
プラス納戸もある。
すげ~、でかい・・・。
そのうえ庭も広いし・・。
今思い出すと、あの時あたしも、少しは浮かれていたのかも。
あたしはね。
一戸建てとは言え、1階の半分は商業用に作られた小さな家で育ったから
こんな広い家が自分のものになる事を想像したら・・・やっぱりねぇ・・。
でも・・・
いくら掃除してもキレイにならないし、
古くて傷んでて・・・気に入ってたトコロなんかは1つもなかったな。
「で・・・、どうするのぉ?」
と旦那に聞くお母様。
「ききょうはどうしたい?」
とあたしにふる旦那。
「え?あたし?そんなことあたしは決められないよ・・
ローン考えたら無理じゃないの?」
って、あたしは反対したよ?
一応ね。
だって、ローン払っていくんだって大変でしょうが・・・
これから子供も欲しいし、
生まれたら、あたしは仕事ばっかりしてるわけにいかないし、
稼いでくるのはあなたでしょ。
ってそんな思いもこめて言ったつもりだったんだけど、
「じゃぁ、アンタが決めるしかないわねぇ」
と息子に向かってお母様。。。
「うん・・・ そうだねぇ。」
とほんの3秒ぐらいでしょうか・・・考えてるふりをしてたのは・・・。
ホントにフリだったと思う。
わざとらしく腕組なんかしてたけど、
きっとあいつの頭の中は買っちゃえ買っちゃえ!
のオンパレードだったんだ。
「よし、買おう!!」
ってほんとに3秒くらいしか考えてなかったもん。