記事より~

トヨタ自動車は、会計監査人としてあらた監査法人を正式に選任すると発表した。

同社の会計監査人はこれまで、中央青山監査法人(現・みすず監査法人)だったが、金融庁から昨年7-8月にかけて業務停止処分を受けた。

このため、トヨタはあらた監査法人を一時会計監査人としたが、あらた監査法人の監査品質、独立性、監査の継続性・効率性などの観点から、会計監査人として適格と判断した。

このため、一時会計監査人から、会計監査人として正式に選任する。6月22日開催の定時株主総会で正式に選任する予定だ。


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トヨタ自動車が監査人を、みすず監査法人からあらた監査法人へと正式に変更。変更といっても、すでに同法人は一時会計監査人となっていたので、今株主総会にて正式に選任される。


トヨタ自動車の監査報酬は、トヨタグループ全体では1,421百万円、トヨタ自動車単体では360百万円(有価証券報告書【コーポレートガバナンスの状況】監査報酬の内容より)ということ。同業種のなかでは、ホンダがグループ全体で1119百万円、他業種では三菱商事がグループ全体で859百万円、キヤノンが853百万円と、トヨタの監査報酬は、日本における監査報酬では高額だけに、あらた監査法人にとっても虎の子。高額といっても、あくまでも日本においてだが。。。


ちなみに海外ではFORDは41.6百ドルはGMが34百万ドル(2004年金額)だからトヨタと比べても倍以上。



ちなみにホンダ→あずさ、三菱商事→トーマツ、キャノン→新日本がそれぞれ監査を行っている。



ようやく決定されたようです


「みすず監査法人」ホームページより

  新日本監査法人 1,060名
監査法人トーマツ 400名
あずさ監査法人 280名
京都監査法人 180名
太陽ASG監査法人 60名
あらた監査法人 60名
その他 360名

特筆すべきは、太陽ASG監査法人へ60名も移籍することでしょうか。ホームページ上で現社員・職員数が記載されていますが、それによると現状156人らしいので、それが60人プラスというともともとの4割の人員数ですから、かなり大きな影響でしょうね。



この太陽ASG監査法人、グランドソントンという会計グループに属しているらしいです。俺の勉強不足なのか、このグループまったく知りませんでしたが、全世界に520拠点を有する会計グループらしいです。

まぁ太陽ASG監査法人も今回の移籍うんぬんの話が出るまでほとんど知りませんでしたが。(前身のアクタス元監査法人は聞いたことはありました)



では、なぜこんな同業界でも知られていない太陽ASG監査法人へ60名も移動したかというと、どうやら関与している社員がクライアントとそこのクライアントへ行っている職員(パートナーではない人)を引き連れて移動するかららしいです、ごっそりと。


みすずより移籍した社員はどんな高待遇で招き入れられてのでしょうね。




記事より~

経営再建中の日本航空(JAL)は2日、07年3月期連結決算の当期損益が2月時点の予想の30億円の黒字から、162億円の赤字に転落する見込みだ、と発表した。将来の利益を前提に計上していた「繰り延べ税金資産」を、監査法人の指摘で取り崩すため。一方で、直近の旅客需要は順調に伸びているとして、西松遥社長は記者会見で「営業面では順調に目標を達成し、収益が改善している」と述べた。

JALは06年3月期も472億円の当期赤字で、2期連続の赤字となる。2日発表した業績予想の修正では、売上高は今年に入って旅客需要が回復したため、当初予想より1.5%増の2兆3019億円。経常利益はコスト削減効果で5億円の予想から、205億円の黒字になる見通し。

JALの赤字理由、税効果の取り崩しによるものだとのこと

これにつき半期報告書(18年9月末付け)には税効果注記がないため、前期有価証券報告書(18年3月末付け)より推察。

監査法人は、新日本監査法人。もちろん監査法人が税効果(繰延税金資産の計上における会社タイプ:『繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱』監査委員会報告第66号)をどのようなタイプとしていたかは、有価証券報告書上明記されないため、そこも現状あがっているもののみから予想する。この際、前期に連結にあがっていた繰延税金資産の金額赤字金額が602億円あり、当期に544億円落とすことから考えると、監査法人側は当期より、タイプ4とした模様。


タイプ4とは、期末において重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社等でこのタイプ4の会社の場合繰延税金資産は翌期に見込まれる課税所得の範囲内でしか繰延税金資産の計上が認められない。つまり1年分のみ。

これがタイプ3であると5年間の課税所得内での繰延税金資産の計上が認められているため、3から4になるだけで多大なる影響が生じることになる。JALに限らず、3から4へタイプが変わるだけで黒字から赤字へ転換してしまう企業は結構多い。



次に実際の内容を見ていくと、まず持ち株会社である日本航空本体ではすでに、評価性引当金でがっつり落としているためB/S上122百万円しか計上されていない。(評価性引当金の金額:57142百万円 内容としては関連会社株式の評価損)

一方で事業会社である子会社「日本航空インターナショナル」(100%子会社)では、41,898百万円の繰延税金資産が連結ベースで経常されている。機材関連繰延負債(固定負債)として44,452百万円、それにかかる繰延税金資産が、17,469百万円。この機材関連繰延負債というものが何かはまったくの不明。


この科目、17年度の有価証券報告書においては計上されていなかったもの。なのにもかかわらず、18年度の有価証券報告書のB/S注記および追加情報での科目の説明なし。明らかに「特殊な科目」として注記の必要性があるのではと個人的には思われる。こんな科目、普通の会社では絶対に出てくるものではないから、そもそもOKなのかも気になるが。これ以外にも機材関連報奨債権など独特の科目もみうけられるが、これにつき科目説明もなし。


また、もうひとつの事業会社である「日本航空ジャパン」では8,252百万円が計上されている。

(なおこれらの2社は18年10月付けで日本航空インターナショナルを存続会社として合併をおこなっている。)

ということで、有価証券報告書上では、事業会社で計上されていた繰延税金資産の取り崩しを当期に監査法人が要求してきたのだと考えられる。


現在の連結主体の会計上では、グループ全体とかで業績が悪くなると、親会社の数字が悪くなると同時に、子会社で将来キャッシュ等の金額が低くなる→減損の兆候が発生する→税効果が見れなくなる→子会社の赤字により、親会社保有の子会社株式の減損をしなくてはならなくなると、会計上での負の連鎖が続いてしまう恐れが発生する。この連鎖は会社にどでかいインパクトを生じさせてしまうものである。


まぁ、前年度どおりならば、短信発表は10日前後になると思われそれを見れば、より詳細はわかってくるかと。経常利益はプラスであるのだから、ホテル事業も売却し、今後は本業でがんばっていくのだろうが、その本業において「ボンバル機に不具合相次ぎ欠航(5日ニュース)」のような問題が生じてしまっており、信頼性回復の部分では完全復活はまだまだなのかとも思われてしまうのが残念なところか。





記事より~ 

西松社長は先月23日、定例会見で「当期黒字は間違いない」と強調したばかり。一転して赤字決算になったのは、監査法人から将来の収益見通しに疑問符が付いたためだ。監査法人が繰り延べ税金資産の取り崩しを迫った結果、JALは650億円ある資産のうち、当初から予定していた97億円分を含め544億円の取り崩しに踏み切る。4月に募集した特別早期退職の実施に伴う費用も計上したため、特別損失が膨らむ。

 監査法人の指摘の裏にはJALが、01年の米同時多発テロ以降、新型肺炎SARSなど国際リスクに対し、いまだに有効な対応策が取れていないことがある。相次ぐ運航トラブルや原油価格の高騰などが業績の足を引っ張る状況も続いた。

 繰り延べ税金資産の取り崩しを求めた新日本監査法人はこうした経緯を踏まえ、「将来の収益予想をより慎重に見積もるべきだ」と、指摘したという。

あれだけ世論を騒がせた、赤坂の衆議院議員宿舎に続き今度は、参議院の議員宿舎もできるそう

今年7月着工予定で、地上16階、地下2階、高さが56メートルになり、個々の部屋は一部屋あたり79㎡

気になる家賃は、9万円程度と新衆議院議員宿舎と同水準の家賃になるとのこと


まぁ前回同様、家賃が民間相場と比較して著しく安いということはもちろんのこと今回は、当該建設予定地が都が定める第二種風致地区とされており、15メートルを超える建造物の建設が規制されている地域であることが更なる波紋をよんでいる


なお、この議員宿舎について詳細はこちらのホームページに掲載されている

『新清水谷議員宿舎反対』

http://yoron.mobi/pressRelease.shtml



まぁこれ以外にも、国会議員に与えられる権利として有名なものは、JR等の鉄道無料パスやら航空券。これは下記の法律によって決まっている。

『国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律』
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO080.html


これは、国会議員本人しか使えないので、同行する秘書等の交通費は月額100万円支給される「文書通信交通滞在費」(同法9条)から支払われることになるのか。

なおJR等の鉄道無料パスを使うと新幹線グリーンでも寝台でも乗れる。これは法律上明記はされてないが、逆に制限もされてないからOKということか。



なお「全国市民オンブスマン連合会議」という団体が赤坂の衆議院議員宿舎について、衆議院議員全員に対してアンケートを実施している。これにつき集められた回答は30人/480人という結果。回答した議員については、名前がでているため、だれが回答してだれがしていないのかは、一目瞭然。

http://www.ombudsman.jp/akasaka-a.html



アンケートの結果をみて、まぁ自民党が回答すくないのは誰でも予想できるが、公明党がまったくの無回答。民主党が一番回答率がいいのだが、それでも14%(16人)。民主党がだめなところは、こういう時の回答者として小沢氏、鳩山氏等の等の重役の名前が絶対にあがってこないところ。こういうことの積み重ねが世間の評価を変えると思うのだから、いの一番に回答してほしい。どうしてもここらへんのフットワークの重さが民主党が今3歩くらいの場所に居続ける(前進できない)原因か。



また、こういう問題に総理大臣とかが発言をよせると、個人的な見解というだけではすまないことになるのは重々承知なのだが、そんなしがらみがありながらも、回答者として安倍さんの名前があったとしたら、「おっ」と世間からの見方も変わるもんだろうが。

少なくとも俺一人分の支持率上昇は間違いない。



まぁもちろん実際はないのだが。

サラリーマンなら誰しもが給与から控除されているであろう社会保険。この社会保険がどうやって算定されているか知っていますか?

社会保険料は標準報酬月額というものを基準にして、金額が決定されています。この標準報酬月額とは被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分したもので、この区切りが通常4月から6月となってます。そのため、この月の報酬(給与)をもとに標準報酬月額が決定されることになります。自分の穂標準報酬月額の場合、社会保険料がどのくらいかかってくるのかは、下記URLの保険料額表からわかります。


【保険料額表】

http://www.sia.go.jp/seido/iryo/ryogaku1904/ryogaku01.pdf

このようにして算定された標準報酬月額をもとに毎年7月に7月1日現在の全被保険者を対象に社会保険料の改定が行われるのです。(これを定時改定といいます。)


この標準報酬月額から算定された新たな社会保険料は9月から適用されることになり、結果10月の給与にかかる社会保険料から改定された社会保険料が適用されてくることになります。



で、この4月から5月っていうと会計士の業界ではいわゆる繁忙期といわれ、一年で一番忙しいとされている時期です。この時期の残業代等は5月6月の給料となってはいってくるので、結果算定される標準報酬月額が年平均給与より高くなってしまう恐れがあります。

社会保険には年末調整のような制度はないので、本来払うべき金額よりも多く払ってしまった社会保険料は返ってきません。このおうに払うべき以上のものを払うのはなんか納得できませんね~。まったく、標準っていうのだから年間標準として、この時期を標準報酬月額の算定月とするのは、やめてほしいものです。会計士なんて狙い撃ちにしてもたいしたもの出てきませんよ。。。



今週月曜(4月16日)の日経新聞記事に監査役会の権限強化を求める記事が出ていました。


ある製造業の監査役のコメントとして「監査人が経営陣の顔色を見ずに監査委員会と連携すれば不正を防げた」

なにを言っているのでしょう、この人は。監査人の責任ももちろんゼロとはいいませんが、監査役あなたたちにはもっと大きな責任があるのですよ。



確かに会計監査は、監査人と監査役との協力が必要ですが、いっぽうで業務監査は監査役が自らおこなうべき業務なのです。したがって業務に関する不正の発見はもっぱら監査役にあるといえるのです。それを棚に上げて、というか自覚せずに上記発言をしてしまう監査役の厚顔さにはあきれます。また、そんな発言に対して「~との指摘は重い」などというコメントを付してしまう日経新聞も、ちゃんと制度の理解をしたうえで記事を書いてほしいものです。まぁ日経新聞の対会計士(に限らないですが。。)の記事はこれに限らず事実誤認の眉唾ものが多いのですがね。



また同記事には、法務省のコメントも書かれていますがそこには、「監査役は契約など経営事象にかかわらないから独立性を保てる」といっています。しかし大半の会社の監査役はもともとは同社の社員から監査役になっているという実態を踏まえているのでしょうか。少なくとも俺が行っているクライアント先はそんな会社がほとんどです。そんな会社においては、監査役に法務省コメントで言うような独立性なんて保てるわけないと思いますが。



果たして日本の企業の常勤監査役のどれほどの人が、そんな独立性を保っていられるのでしょうか。常勤でない場合は、外部の人が監査役になっていることが多いですが、やはり業務にかかわれる時間等・密度で考えると常勤の監査役とそうでない監査役とでは雲泥の差であると思われます。



日本の監査役(常勤)が上記のようにもともと社員から監査役になった人が多数であるという状態であることは、かのトヨタ自動車にしても監査役7人のうち3人が常勤監査役でその全員がもともとトヨタ自動車の社員であるということからもわかるでしょう(参考:有価証券報告書「役員の状況」より)



独立性を保って監査役本来の業務を遂行していく監査役像の理想はこちら。

この「野崎修平」くらいわが道を行くことのできる監査役になれれば。。。   

まぁ厳しいね。


周 良貨, 能田 茂
監査役野崎修平 (1)


記事より~

15日の皐月賞(中山競馬場)で、162万円馬券を的中させた爆笑問題田中裕二(42)が17日、都内で会見し、馬連と3連単合わせて4万3000円購入した馬券が797万8000円になったと明かした。

 レース当日は渋谷の場外馬券場ウインズ近くで知人と一緒にテレビ観戦していた。ヴィクトリーの逃げ切り勝ちに「『そのまま!』と叫び続けた2分間」と、興奮のレースを振り返った。確定後は「知人に換金してもらい、そそくさとタクシーで帰りました。怖いじゃないですか」と、大胆な大穴狙いとは正反対だったようだ。当たり馬券は携帯電話で写真をとったがコピーをせず「即換金です!」。

 田中が買った馬券は、ヴィクトリーを中心に3連単を200円×90通り、馬連は5000円×5通り。事務所スタッフと所属タレント二十数人に一律10万円ずつ小遣いを渡すという。相方の太田光も同額だが、電話で「ふざけんな! 半分よこせ」と怒っている。今後食事会などを予定しており、納税も待っている。正蔵の申告漏れを引き合いに、大勢の報道陣を見て「税金の問題は昨今いろいろありますから…。これ、隠しようがないでしょう。結局赤字になるんじゃないか」と話した。


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160万円馬券、なんともうらやましいことで。

この馬券、田中春とヴィクトリーとの組合せっていうWヴィクトリーだったわけです。


報道等をきいていると、ヴィクトリーを軸からの3連単との馬券とのことですが、Wヴィクトリーっていうだけで、これを軸にしてまでなかなか買える馬券ではないですね。



ちなみに宝くじと異なり競馬でのもうけは一時所得に該当し、所得税がかかることになります。(宝くじの場合は、「当せん金付証票法」という独自の法律があり、この法律上で「所得税を課さない」(同法13条)と明記されています。)



田中氏がコメントしているように、ここまで大々的に報道されてしまった以上、今回のもうけも一時所得として確定申告時に申請しなくちゃならないんでしょうね。一般人なら払わなくてもわからないだけに、まさに有名税といえるでしょう。




ひさびさに会計系のことでも。。。

19年3月29日づけで『税効果会計に関するQ&A』が改正されました。

ググッてみたところ、みすず監査法人のホームページにて記載してありました。

http://www.misuzu.or.jp/webcan/webcan01_00163.html



この改正において重要なもののひとつに、『Q&A』のQ1の後半部分に役員退職慰労引当金にかかる税効果があげられます。


具体的な記載内容として、退職給付引当金や建物の減価償却超過額のように将来解消見込み年度が長期にとなる将来原産一時差異には該当しないとされています。つまり役員退職慰労引当金にかかる繰延税金資産は計上するにあたってスケジューリングが必要となるとのことです。



同業以外でこれの何が重要なのかがわかる人は、かなりの税効果通だと思われます。

では何が重要なのかというと、役員の退職慰労引当金にかかる繰延税金資産を計上するには、その役員退職慰労金がいつ払われるかがスケジューリングできないとだめだということです。つまりいつやめるんですかって事。


これ、サラリーマン社長等なら任期等を内規等で決めること(決めてあること)ができるのですが、オーナー社長はやめるタイミングなどわからない。
そしてこのようなオーナー社長の企業のほうが役員退職慰労金が多額に計上されていることが多いのです。



だから、そのようなオーナー社長である企業でかつオーナー社長に対して多額の役員退職慰労金を計上している会社が、いきなり繰延税金資産を計上できないとなると、かなりのインパクトが生じてしまいます。

このインパクト、何年かにわけて取り崩すことも認められないので、結構困る企業も多いかと思われます。


無理やりスケジューリング立てようとしても、オーナー社長に一社員がいつやめるのかなんて聞けないし、またその社長の余命なんて見積もるのも不謹慎ですしね。






海上自衛隊が若者向けとやらで製作したCM。若者の海上自衛隊の志願を増やすために製作されたらしいですが、さすがに若者をなめすぎなのではないかと。。。

渋谷のスクランブル交差点のビジョンとかで流してたみたいですが、(渋谷=若者という図式も安直でありますが。。。)こんなので海上自衛隊の仕事を理解し、その上で海上自衛隊志願者が増えると思っている方々の心境がわかりません。この子供だましでは、いまどきの小学生でも食いつかないと思います。


タリーズの創業者、松田氏のタリーズ創業記。読みやすい語り口ながら、松田氏の「食文化」へのこだわりとコーヒーへの情熱が伝わるような本である。

松田 公太
すべては一杯のコーヒーから

タリーズをつくるにあたって、松田氏が一番気をつけたが、ブランドビルディングとのこと。それまで日本になかったスペシャリティコーヒーという分野を開拓するためのイメージ構築。そのための1号店が銀座だったとのこと。これは同分野の雄、スターバックス1号店も銀座であることから、両社ともに同様の考え方に基づくものなのか。



この2店、出店の経緯は、スターバックスがアメリカ・スターバックス社とサザビーとが組んで日本進出を行ったのに対して、タリーズは松田氏個人のみで日本出店している。

なおスターバックスジャパンの株式は18年9月30日時点でサザビーリーグが40%、エスシーアイ・ベンチャーズ・エス・エル(米スターバックスの100%子会社)が40%保有している。(半期報告書「大株主の記載」より)



現時点でスペシャリティコーヒーという分野において、ブランドっていう側面のみではスタバのほうが優勢かなと個人的には感じる。が、利用に関してはタバコをすう俺にとってタリーズのほうがありがたい。スタバはもっぱらテイクアウトか新宿サザンテラス店のように外でタバコ吸えるところでの利用のみ。新宿サザンテラス店は外の喫煙できるベンチが多いため喫煙者でも使いやすいスタバの店舗のひとつ。



ちなみに定番中の定番であるカフェラテ(SIZE:TALL)はスターバックス:360円に対してタリーズ:370円とタリーズのほうが10円高い。これを見ると、やはりスターバックスを意識した値段だと思われる。



しかし、残念ながら、タリーズのコンビニへの展開は失敗か。スターバックスラテはいまだコンビニで見られるが、タリーズのものは最近コンビニ店頭でめっきり見れなくなってしまった。個人的にはスタバラテよりタリーズのほうを好んで買っていただけに残念。



スターバックスだけでなく、エストネーション(服屋)までもサザビーの系列だったなんてホームページを見るまで知らなかった。松田氏のタリーズを作り上げた情熱と行動力はもちろんのことだが、母体の色を覆い隠し完全に各ブランドの色を確立させるというサザビーのブランドビルディングの手法にも感服

サザビー

http://www.sazaby-league.co.jp/