この患者さんの歯は、生まれつき、すっご〜く虫歯になりやすい歯でした。
しかも、一旦虫歯になると、その進行が早い早い・・・。
痛みは全然ないんだけど、レントゲン写真をとってみると・・・、
うわッ!!!むっちゃ大きい虫歯発見!!
黄色の矢印。
これ、やばいよね・・・
もう神経スレスレなんだけど・・・
でも幸いにして、今まで全然痛みのイの字も出たことがない状態。
ならば!絶対に神経は温存しなければなりません!!
虫歯を削り始めましょう。
あ〜、やっぱりヤバい系。
中身がもう虫歯でほろほろなんですもの。。。
虫歯検知液をつけてももう明らかすぎ。
虫歯はすぐ神経のとなりまで及んでいるから、削りは、それはそれは慎重にね。
おッこれは?!
わ〜!!やっぱ神経じゃん
わかりますか?削っている歯の真ん中あたり赤いでしょ?
これ、神経=歯髄組織ですね。
さすがにもう、露出というか・・・、神経が丸見えな状況です。
でも何がすごいって、私もそれはそれは慎重に慎重に虫歯のみを除去していったから、
たとえ神経はこのように露出していますが、神経は無傷状態!!
充血はしているようだけれど、出血は決してしていませんね。
となれば、ダメージを受けてない神経は、余計、残せる(温存できる)見込みが更に高しです。
この状況で、よ〜く消毒をし、そしてMTAセメントを露出した神経の直上に付けて、
そしてそのさらに上から、Restoreします(=穴を埋めるor Fillingを詰める)。
ここまで1回の診療で通常行います。
そしてその夜、麻酔が切れた後も、全然痛くなかったそうな。
結局この歯はその後もずっと、1度たりとも痛みは出ることなく、そしてそれから1年と半年。
その時のレントゲン写真を見ると、
やっぱり、むっちゃ歯の奥深く、そして神経のホントスレスレ直上まで、 Fillingが入っていることがわかりますね。
そして、根尖部に病巣らしきものも、一切見られません。
(たまにこういう状況だと、後に神経が壊死してしまって根尖病巣を作ってしまうこともありますからね。)
はい!このように・・・、
この患者さんはラッキーなことに、
深い神経スレスレの虫歯でも、私が慎重に虫歯を削り落としていったことで、
幸い、神経組織は傷つくことなく無傷でいられたため、
神経をセーブする特殊処置を軽く行うだけで、全く術後の疼痛もなく、
そして治療後2年近くが経過する今も、この歯の治療経過は順調です。
さて、長い間歯科検診を怠っていた方や、歯科検診には欠かさず通っていても虫歯を見落とされちゃって・・・という方の場合には、
この患者さんのように、ムッチャクチャ大きい虫歯が知らないうちに出来てしまっている、ていうことがよくあります。
そんな神経スレスレの虫歯でも、決して今まで痛みが出たことがないなら、
慎重に虫歯だけを削り、神経を守るための処置をきちんと行えさえすれば、
神経は高確率で温存することが可能です。
がしかし、その一方で・・・、
万が一、虫歯による痛みが生じてしまった場合、そして、痛みが生じることで大きな虫歯の存在に気づいた場合には、
残念ながら、神経の温存はできず、根管治療行きとなってしまうことが多いです。
神経をとる羽目になったらね、やっぱり後々、歯の寿命を縮めてしまうことになりかねないので、
神経は可能な限り残す・温存することが重要なのです。
でも、時にして虫歯が大きすぎると、虫歯菌に神経が感染してしまうため、ムッチャクチャ酷い痛みが出て、そして神経が残せなくなるのです。
では、何が一番重要か?!
それは、虫歯に絶対に自分がさせない様に、毎日努力することですね。
それと、正しく診査診断してくれる歯医者に、必ず定期的に通っておくことですね。
Love & Protect Your Teeth