19:30 ケータイのアラームが鳴る。スヌーズ設定にしてあるので何度も鳴る。
      ベッドから手を伸ばし、鳴った回数だけ「切」ボタンを押し、再び夢の中へ。

21:00 職場の人から、モーニングコールがかかってくる。(21時出勤)
      時すでに遅し。なんとか起きて風呂場に向かう。

21:20 着替えをしながらPCでニュースをチェックする。煙草を2本吸い終えて   
      重い腰を持ち上げ家を出る。

21:38 職場に向かう電車の中でメールを受信。
      友人からの急な誘いに、後ろ髪引かれる思いで断りの返事を入れる。

21:59 ギリギリ1時間遅刻でタイムカード打刻成功。
      申し訳ない振りをしながら仕事に取りかかる。

23:14 酔った友人から、再度誘いのメールを受信する。
      これが会社に着くまでに受信していたら、
      きっと仕事をサボって、誘いに応じていたと考えながら断りの返信。

1:30 ピークの時間を過ぎたので、ちょいちょいサボりはじめる。
     先ほどの友人に「まだ盛り上がってる?」などと未練がましくメールを送る。

2:10 夜食は何にしようかと考えはじめ、選択肢の少なさに嫌気がさすので、
     職場の人たちの動向を探り始める。

3:00 職場の人たちと連れ立ってコンビニに行く。カップ麺とおにぎり。
     いつもと変わり映えしないメニューに心躍らず。食事じゃない、餌。
     体格が良い職場の人が、買ったばかりのアメリカンドックを袋から落とし
     アスファルトの上を転がってゆく。皆苦笑。

3:15 落ちたアメリカンドックを食べようかどうしようか悩んでる人に
     「もし食べないんだったら、ちょうだい」と食い意地の悪い言葉をかけ
     ただでアメリカンドックを譲り受ける。

4:00 やらなくちゃいけない仕込み仕事をやりつつ、ネットサーフィンに耽る。
     アメリカンドックを食べてお腹を壊さないかちょっと心配している。

4:10 少しお腹に痛みを感じる。やはり道端に落ちたモノなど食ってしまったからだと
     いまさら後悔をはじめる。

4:20 YOUTUBEで、見たことのないダウンタウンの動画。
     笑っているうちに、お腹の痛みもどこへやら。
     
5:00 喫煙室で一人、煙草を吸いながら人生について考えはじめる。
     そういえば、友人からの返信がない事を思い出す。

5:15 喫煙室にぞろぞろと他の人たちが入室。
     下ネタ談義で大いに盛り上がり、人生について考えていた事は
     うやむやに霧散してしまう。


6;00 なんとか朝の業務にとりかかろうとするも、気が進まず。
     スティーブン・キングのファンの婆さんが、「全て私が書いたモノをスティーブン・キングが盗作した!」
     などと言い張るサイトを見たりしながら、世の中の奇人について改めて味わい深さを感じる。

6:30 周りもそろそろやりはじめる様子なので、
     仕方なく自分もネット閲覧を止めて仕事の準備をはじめる。


7:42 朝の仕込みもなんとか終える。喫煙室の窓から差しこむ朝日に目を細め
     いつまでこの生活が続くのか考えて、うな垂れてしまう。

8:30 家に帰ったら何をするか思案。
     いくつかリストを挙げて、頑張るぞと密かに気合いを入れる。

9:00 退社。帰り道、煙草とビールをコンビニで買いこむ。
     日差しを浴びて、ドッと疲れが出てくる。

9:45 帰宅。ビールを飲みながら着替えたり、洗濯したり。

10:41 ほろ酔い気分で、眠気を感じてしまう。目を覚ます為、風呂場に向かう。

11:13 机にどっかり座りこみ、PCを開ける。
      作業に取り掛かろうとするが、エンタメニュースを開いてしまう。
      タレントの女がどうこうしたというニュースを見ているうちに、
      AV動画が気になりはじめ、落ち着かなくなる。

11:45 AV女優は、皆、スゴイと感心しきり。
      今は裸でこねくり回されているこの娘たちもその昔は甘酸っぱい恋をしたり、
      この娘を好きだった男子もいたんだろうなと考え、感傷的になる。


12:00 頭の中の雑念は取り払われたのだが、ボーっとして
      何もやる気が起きず。

12:10 近くにある本をパラパラとめくりだし、気づけば夢中で読み始める。

13:00 読書でとっかかりを掴んだ集中力のまま、PCに向かい作業開始。

14:30 とりあえず作業を終え、新しい缶チューハイなどを飲みはじめる。

14:56 読みかけの本を持ったままベッドに移動&アラームのセット。

15:24 きりのいいところで本を閉じ、厚手の遮光カーテンを引き、
      耳栓&アイマスクの完全装備で太陽をシャットアウトする。
      

17:33頃 帰省する新幹線で、隣の席に東京都知事の石原慎太郎氏。
       「キミねぇ、ボクの著作は読んだのかい?」と凄まれ、「た、太陽の季節だけは読みました…」
       とおそるおそる答えると「(ニヤリと笑みを浮かべ) あと良純が天気予報を言うとき、
       なんであんな平板な言い方をするんだろうね?」
       と都知事。良純氏の仕事ぶりに満足しているのか、いないのか分からない様子。
       という夢を見て、うなされる。


19:30 ケータイのアラームが鳴る。無意識のうちに止めてしまい、
      再び夢の中へ……。
      
深夜労働に向かうとき、私は副都心線に乗る。
そして時々、出くわしてしまうのである。
発情中のカップルに。

新宿の地下鉄駅構内は歩いた事ある人なら分かると思いますが、
それはもう迷路のように入り組んでおり、目的の出口を探して歩いている長さもかなりのモノで
ひょっとしたら、ひと駅分は歩いているんじゃないかと思ってしまう程である。(当社比)

そんな広い地下迷路には、人の出入りが極端に少ない箇所というのが存在する。
私が利用する出入り口も、利用客がかなり少ない様子。
こちらは労働に向かうべくローテンションで歩いていると、
ふと柱の裏側に気配を感じる。見ると、カップルがいる。それも発情真っ盛りの。

いいんですよ。別に柱に隠れていちゃいちゃしようが、キスしようが。
だが限度ってモノがあると私は思うのです。
割と最近に見たカップルなどは、柱の裏に身を潜め、きっと人が来ない事をいいことに
盛り上がってきたんでしょう。
ニットの裾を女が口でくわえる要領でズリ上げた恰好で、乳を吸われておりましたよ。
スーツ姿の男は中腰の恰好で頭にネクタイは巻きつけてはさすがにいなかったが、
首を横に傾けながら、音を立てて一心不乱に吸いついており
私が通ったのも気づかない程の発情っぷり。(男の後頭部と揉む手で肝心なところは見えず)
目を閉じてニットをくわえていた女(地味系メガネ)がいち早く私に気づき、
慌てて服を下ろしそそくさとそこから立ち去っていきました。

別のときなどは、またしても柱の裏でカップルが発情していた。
↑のカップルはオフィスラブ系なのに対し、今度はキャップを斜めに被ったB系男子と
マスカラつけ過ぎちゃうか系ギャルのイマドキカップル。
案の定、男が発情しまくっていて、私が後ろでエレベーターを待っているのも気づいていない様子で
キャップのツバを後ろに向けて、柱にギャルを押しつけ、ギャルのヒラヒラとした短いスカートをたくし上げ、
ふとももが露わになっており、生尻(おそらくTバック)をワシワシと揉みしだきながらキスをしていた。
これはもしや、やっているのでは??! と思った矢先、目を閉じてくねくねしていたギャルが私に気づき、
これまたそそくさと2人で服を直しながらその場から逃げるように去っていった。
そういうときは、なぜか目を閉じて「いるはずの女の方が先に気づくのである。
イマドキカップルは、あと5分も放っておけば、きっと本番を始めていたのだろう。
見境なしの発情系野獣カップル。


そんな野獣を見て、実家で飼っていた犬を思い出した。
私が高校生の頃。
一人で留守番をしていると、庭にいる犬♀(雑種系ギャル)が妙な声で鳴いているのが聞こえた。
窓から様子をうかがうと、見知らぬ野良犬♂(BADBOY系)にウチの犬が犯されていたのである。
「ウチの娘がレイプされとるがなっ!!」
逆上した私は、急いでエア―ガンマニアの弟の部屋に駆け込み、
引き出しからワルサーP38モデルを取り出し、弾を装填して庭へと向かった。
私が庭に出てきたにも関わらず、ウチのふしだら娘はバックで犯され続けているではないか!
野良畜生もこちらを警戒しながらも、腰を振り続けていやがる! 私は銃を構えた。
近くで見ると、野良畜生はデカかった。怯んだ私は、少し離れた場所から腰を振り続ける畜生めがけて引き金を引いた。
「キャンッ!!」ウチの娘に当たってしまった。野良犬はこちらを見ながらまだ腰を振ってやがる。
ごめーん! といいながら二発目を野良犬に命中させると、キャンと鳴いて、イチモツを抜いて逃げて行った。

それから数カ月経つと、ウチのふしだらな娘は沢山の子供を産んだ。
あのどこの馬の犬の骨か分からん奴は憎いが、生まれてきた子に罪はなし。文句なしに可愛い。
私は高校生の時点で、娘を持った父親の心境を知った気がする。


そんな事を思い出しながら、カップルが去った後の柱をボーっと見る。
エレベーター前の柱は、カップルの発情スポットになっていた。
犬は柱に小便をするが、大人の人間は柱の裏側で発情するのか――。

出勤前にそんな光景を見せつけられた、というか勝手に見てしまっただけだが
これから労働に出向く私は、悶々とした気持ちを植え付けられ、
AKBとは真逆の”MAXヘビーローテンション”で、コンクリートの闇の中へ消えてゆくしかないのであった。

http://www.youtube.com/watch?v=lkHlnWFnA0c
私は万引きをしたことがない!!
と声高に言うことでもないが、事実ないのである。
万引きと自転車窃盗とスカートめくりというのは、ガキの頃の三大犯罪であり、
それらがエスカレートしてレベルが上がってくると、
大人になって晴れて立派な犯罪者の仲間入りを果たしてしまうのである。


中学生の頃、同じクラスの友人ら3、4人で県民プールに行ったときのこと。
私と他の2人はプールの中でプロレス技をかけて投げ飛ばしたり投げ飛ばされたり
プールの底に落ちている小銭を拾うべく、水底探索を行っていたりした。
プールの帰り道、拾った100円玉や500円玉を皆で集めて喜んでいた。
すると、一人の友人が不敵な笑みで笑っている。
思えばソイツは皆で泳いでいる時、どこかに姿を消しており、
腹でも壊してトイレに行ってるものだと思っていたが、そうではなかったらしい。
ソイツは不敵な笑みを浮かべながら水泳バッグを開けると、
中には幾つも財布が入っていた。

我々がプールで小銭を拾っていた間、ソイツは一人ロッカー室に潜入し、
どうやって開けたのかは知らないが、人様の財布を盗んでいたのである。
ソイツは皆を誘導し、モスバーガーに寄り、好きなモノを食っていいぞと言う。
その後もゲーセンに行き、私たちに好きなだけゲームをさせてくれた。
ソイツはクラスが変わってからというもの、学校内でも盗人業を働くようになり、
それがバレてしまい、周りから「泥棒」と呼ばれ、忌み嫌われたようで
その後、卒業するまでの間、仲間はずれにされていたようだ。


私が深夜のコンビニで労働しているとき、毎日来る客がいた。
顔は『お笑いマンガ道場』のレギュラー漫画家 富永一郎そっくりのお婆さんで、
なにかの病気なのかいつも首を小刻みに左右に振っていた。
富永一郎は、饅頭やおにぎり、菓子パンなど小さなモノを一つだけしか買わないのである。
しかし大きな袋に入れて欲しいと言ってくる。
私は、家でなにか使う為に大きな袋が欲しいんだと思い、
おにぎり一つでも一番大きな袋に入れていた。


すると、ある日、先輩が小声で「あのバアさんが来たら、要注意…」と言ってきたのである。
私は全く気づかなかったのだが、バアさんは、万引きをしているとマークされていたのである。

防犯カメラを見ると、たしかに商品を購入したあと、すぐに店からは出ないで
店内を徘徊しては、素早い動きで万引きを行っていたのである。
大きい袋を欲しがるのは、万引きするためだったことを知った私はビックリしたのである。
大きい袋を欲しがる理由が分かってビックリしたのではない。
そのバアさんは、万引きする一瞬だけ、首の振りがピタっと止まっていたからである。
あの首振りは、店員の我々を欺く為の芝居だったのか?
はたまた、万引きする時だけ首の痙攣が治まる病気なのか? そんな病気は怖すぎる!


その後、数日間泳がされた富永一郎は、味を占めているのか
ほぼ毎日のようにやってきては、大きな袋に商品を詰め込んでいた。
店長からの指令もあり、今度は現行犯で取り押さえることになった。

夜勤の3人でフォーメーションを組み、
私はレジ。先輩はバックヤードで防犯カメラチェック。
もう一人は捕獲要員の完全無欠のフォーメーションを組んだ。

明け方、富永一郎は、相も変わらず首を振りながら店にやってきた。
私はバックヤードにしか聞こえない防犯ベルを押してホシがやってきた事を知らせる。
いつも通り菓子パンしか買わない一郎は、これまたいつも通り大きな袋を要求し、
袋を持ったまま店内を徘徊しはじめた。
私がいるレジからは一郎の姿は見えなかったが、
ほどなくすると一郎はいつも通り、首を振りながら店から出て行った。

一郎が店を出るや否や、バックヤードから威勢よく2人の従業員が飛び出し、
まだ店の外をよちよち歩く一郎に飛びかかり取り押さえる姿がレジからも見えた。
私も店の外に飛び出ると、一郎は、先輩に押さえ込まれており、
昨夜に振った雨のせいで出来た水たまりに転倒し、逃げようともがきながら、
断末魔のようにギャー!!と奇声を発する姿があった。

袋から飛び出た買った菓子パンと、万引きしたであろう、
カルビー ポテトチップスうすしお味と、ハウス オーザック塩味が水たまりに濡れ転がっていた。
その光景を見た私は、グッと胸が締めつけられた。
そして、



塩味がそんなに好きか?

 と思わずにはいられなかったのである。

もしかしたら、バアさんは何かの病気&万引きする時だけ、つまり集中する時だけ
首振り症状が治まるのであり、そして万引きと塩味のスナック菓子が止められないとまらない
カルビーかっぱえびせん♪ 状態だったのかも知れない。
じゃあ、ポテトチップスじゃなくて、かっぱせびせんを万引きしろよというのはどうでもいいことだが、
たっぷりの悲哀が水たまりに映っていたことは、間違いなかったのである。


日常は「なんで? どうして?」の連続である。
その理由を聞いて、ああなるほど、と納得出来れば事は済むのだが、
その理由自体が「???」となってしまう事が多々ある。


私が高校生の頃、友だちと下校していた時。
友だちが自転車に乗って帰ろうとすると、サドルだけ盗まれてなくなっていた。
別に高い自転車やカッコいい自転車ではなく、ごく普通のママチャリなのにである。
なんでパクられるかなぁ、と私は笑っていた。
しかし、怒り心頭の友だちは、近くに停めてあるよそ様のカッコいいマウンテンバイクのサドルを引っこ抜き
自分の自転車にネジこんで、これでよし! と言って去って行った。
私は友だちに手を振り、踵を返すと、少し離れた場所から警官がこちらを睨んでおり、近づいてきた。

「今の見てたぞコラッ!」

思わず私は「ええっ!! なんでやねん」とベタなリアクションも出る始末。
友だちを売る気はないが、見てたなら、誰が悪いか一目瞭然でしょうと。
なのに、まるで私が犯人扱いで、腕を掴まれ、交番に連行されようとしていた。

「お前の友だちは悪い奴やのぉ。けど、それを見てて止めへんかったお前はもっと悪い奴や!」

と凄んでくるのである。たしかに止めなかった私も悪いかも知れない。
がしかし、どー考えても悪いのは盗んだ友だちであり、もっと悪いのは最初に盗んだ犯人であり、
見てたのに何故か止めなかったアンタはもっと悪い奴や! と言いたくもなった。
負の連鎖のなんでやねん、である。



”こちら葛飾区亀有キャバ嬢6億円事件”

をご存じだろうか。
亀有にあるキャバクラに通い詰めていたサラリーマンが(なんで亀有?)
会社の金を約6億円も横領し、キャバ嬢に貢いでいた事件である。
サラリーマンは会社の経理担当のような人物であったらしいが、
6億円もの金が横領されていたのを長々と分からなかった会社も「なんで?」である。
それよりも、やはり一番「なんで? どうして?」なのは、そのサラリーマンであろう。

最初はアフターなどもあったらしいが、次第に会いもせず、
金の要求だけするようになったキャバ嬢に多額の金を振り込みしまくっていたのである。
女はことあるごとに
「胃がんになってしまった」「内視鏡検査や無菌室に入る」「脊椎損傷で手術が必要」「白血病になった」
などとウソを言っては、会わずに7年間に計350回以上も振り込ませ、6億円近い金を受け取っていたのである。

後になって、不審に思ったサラリーマンは、面会謝絶だというキャバ嬢に病院の請求書を見せて欲しいと言うが、
「疑われたら生きている意味がない。自殺する」
と返信があり、せめて一目でも会いたいと言うと、「1300万円振り込んで欲しい」と言われ振り込んだそうな。
自殺するとか言ってから、1千万以上の金を要求する女。
そんな守銭奴は、ポリ袋パンパンに小銭を詰めたので撲殺すべきだろう。金で死ねるなら本望であるはず。
そして、男も男だ! どうして振り込むんだ?

んで、そのキャバ嬢は6億円をホストやらの遊興費やらで、ほとんど使ってしまったらしいのである。
その女も「なんで? どうして?6億円も使えるの?」である。
金も使いきってしまった元キャバ嬢は、現在、都内の風俗店で働いているとのこと。
6億円もあったのに、なんで風俗??
とまあ、なんで?どうして? だらけの事件。
貢いだサラリーマンは私と同年代。高まる愛情がねじれて千切れて、6億円。
今頃はきっと、「なんでもっと早く気付けなかったんだろう」と、猛省しているにちがいない。
ただいま、ゴールデンウイークも後半戦に入っているようで、
暦と無関係な生活を送る私には、まるで無関係な他人の祭りである。
スカイツリーが高いだの、海外旅行へ行く人はいるだの、塩谷瞬が二股していただとか
他人の祭りばかりで、自分の祭りは何もないのである。
一度でいいから冨永愛(178cm)におんぶされてみたい。子泣きじじいのように。


東京へ出てきてもう10年以上も経つが、上京してきたのはゴールデンウイークだった。
だもんで、毎年ゴールデンウイークが来るたびに思うのは、「あれから何年か…」と
しみじみするのが恒例のゴールデンウイーク。
渡辺美里の『10years』の味が分かるようになってしまった。


上京してから深夜労働ばかりして生計を立ててきたが、
以外にどんな事をしてきたのだろうと過去を振り返ると
「オーディション」というものに参加した事がかなりある。数え切れないほど。


上京当初、ホリプロ主催の大きなオーディションをいきなり受けて
アッサリと二次試験で落とされた私は、上京後わずか2日ほどで予定が狂ってしまった。
そのオーディションに受かればホリプロ所属となり、数多の仕事が用意されており
ロンドンでの舞台公演も約束されていたのである。
田舎からそのオーディションに応募した私は、一次審査合格の手紙を通行手形に
東京へやってきたのである。もちろん、ホリプロに入りロンドン行くつもりで。

が、落とされてしまったから、
さて、これからどうしようと、いきなり路頭に迷ってしまったのである。
高校を卒業したばかりの少年が大都会東京で知り合いゼロで、いきなり路頭に迷ってしまう。

①これから何でもできるじゃないか! という前向きな選択肢
②予定が狂ってしまった事で、テンパってしまい、いきなり後ろ向きな新生活

私はもちろん、②の状態になってしまったのである。
上京当初住んでいた4畳半風呂なしトイレ共同(和式)の居室で
「どうしよ、どうしよ……」と頭を抱える少年が私なのでした。


それ以降、数多くのオーディション(CM・映画等)を受けることになるのだが、
酷い思い出が多すぎる。
発泡酒が出た当時、某メーカーの発泡酒のCMオーディションに行った。
オーディションでは実際にその発泡酒を紙コップに入れて飲まされた。
んで、「ぷはぁーっ!! 喉ごし最高っ!!」な表情を審査するというオーディションだった。
私は、「役作り」と称し、オーディション会場に向かっている途中のコンビニで
同じメーカーのビール(500ml)を買い求め、
トイレの個室でそれを一気飲みしてからオーディションに臨んだ。
私の順番が回ってきて、部屋に入り紙コップで発泡酒を手渡された。


「今度新発売の発泡酒なんだけど、それ飲んでください。そして、美味い! って顔をお願いします」


私は既に少し酔っていた。紙コップには思ってる以上に発泡酒がなみなみと入っている。
見た瞬間、

「ぐふっ」

と小さくゲップが出てしまった。審査員方が「???」といった顔をしている。
酒を飲んできた事がバレてはマズイと思った私は、思い切りよく発泡酒を一気飲みした。
不味かった。当たり前である。それまでに発泡酒よりも美味い生ビールを飲んでいるのだから。
なんとか最後の方まで飲んだときには、もはや辛い気持ちが去来し、
飲み終えたあと、「ぶはぁー!」と嫌な深いため息をついてしまった。
美味しく飲み終えた後の「くぅー!」って感じからは程遠く、むしろ
”自分下戸なんスけど、飲み会で無理やり一気させられて、めちゃ辛いッス、気持ち悪いっス”
な顔をしていたんだと思う。

私はそのオーディションに当然のごとく落選してしまい、
以後、その某発泡酒は一切口にしていない。





 

 

わけの分からないことが、時折起こるのが、東京なのである。
田舎から出てきて日が浅い人ならば、
そのワケの分からなさに戸惑いを隠しきれず、
泣きだしたり、途方に暮れたり、魚肉ソーセージを太ももに叩きつけながら
ピンクのジャージを着て街中を走り始めたりするのである。

以前、私が住んでいたアパートには洗濯機がなかった。
なのでアパート前にあったコインランドリーで洗濯をしていた。
もう洗濯も終わったころだと、ランドリーに向かい、
洗い立ての洗濯モノを乾燥機に放りこんでいた。
すると、見たこともない洗濯モノが出てきたのである。

ベージュのブラジャーである。
よれよれになっているそのブラは、前ホックでもないのに
カップとカップの間で千切れていた。

可愛いブラやエロいブラは見たことがあるが、
薄気味悪いブラを見たのははじめてだった。
洗濯槽をかきまわすと、今度はベージュのパンツも出てきた。

もちろん身に覚えがなく、私が洗濯をしているこの洗濯機に
誰かが薄気味の悪い下着を放りこんだのである。
それが、色気もないベージュの下着ではなく、
赤や黒のTバックやブラだったら、ドキドキしていたと思う。
しかし如何せん、ベージュの下着である。しかも千切れている。
なぜ、そんな下着を他人の洗濯槽に投げ込むのか。
下着だけ洗うのに、洗濯機を回すお金が惜しくて
他人が洗濯しているところに混ぜこむだろうか?

これは常人の下着ではないと判断した私は
迷わずその下着をゴミ箱に叩きこんだ。


それから数週間後、私は再びコインランドリーで洗濯をし
乾燥機に洗濯モノを放りこんでいると、また出てきた。
今度は、知らないバスタオルである。
使い古されたモノらしく、花柄模様がかなり薄くなっている。
「なんでやねん!」と私は忘れかけていた関西弁で突っ込みながら
またしてもゴミ箱にタオルを投げつけた。

下着絡みの話しでいうとこんなこともあった。
ある日、居室に帰宅し、ベランダを開けると一枚の紫のTバックが落ちていたことがあった。
もちろん私のモノではない。どうやら上の階の住人が干していたモノが落ちてきたようである。
上の住人は後ろ姿しか見たことがなく、少し年上の女性で細身だということしか分からなかった。
その人のTバックである(多分)。

そのままにしておくのも何なので、とりあえず拾得してみた。
が、どうしようと思案しながらTバックの前でにわかに興奮しながら腕組みをしていると
その当時付き合っていた女が家にやってきたので、
聞かれるよりも先に事情を説明してみた。すると
「じゃあ、私が返しに行っておいてあげるよ」と女は言った。
たしかに、私が♂Tバックを持って返しに行くのも、
相手に大層気味悪く思われるのは間違いないだろう。がしかし、どんな女性なのか知りたいのも事実。
そんなことを思っていると、女は刑事ドラマの証拠ブツを取り扱う手つきで、
Tバックをビニール袋に入れメモ用紙に女性だと分かる字で”落ちていましたよ”と記し、
小さな紙袋に入れ、Tバックの部屋のドアノブにそっとかけておいた。

翌日、私が居室に戻ってくると、今度は私の部屋のドアノブに紙袋がブラ下がっていた。
中を見ると、クッキーの詰め合わせと、”ご迷惑をおかけしました”と
これまた女性らしい字で書かれたメモが入っていた。

その後、私は部屋で一人、いただいたクッキーを食べながら天井を見上げ、
階上の紫Tバックを履く女性は、欲求不満のスケベかも知れないが
案外きちんとしている女性なのだなと感心していた。
それ以降も、残念ながらTバック女性の顔を見る機会はなかったが、
時折見かけるその後姿に、紫のTバックを重ね合わせない時はなかった。


そういう悦ばしいことが起きるぶんには
いつでも大歓迎なのである。

私はその昔、深夜労働もまともにせず、ヒモをしていた時期があった。
女は水商売をしており、私は次第に労働を怠るようになり、
気づけば生活費の大半を、女が得た金でまかなっていた。

夕刻、女はTVニュースを見ながら、念入りに化粧をしている。
その横で私は寝巻姿のままのその様子を眺めている。

女は夕方のニュースが終わる頃、アパートの部屋を出て行く。
机の上には、女が置いていった一万円。
着替えもろくにせず近所のコンビニに出向き、購めた缶ビールを飲みながら、女の帰りを待つ夜。
空き缶がいくつか転がり完全に酔いもまわったころ、
女から店が終わったと連絡が入る。
私は寝巻の上にカーディガンを羽織り、近所の焼肉屋に向かい
女の帰りを待っていた。


仕事帰りの女は、派手なドレスと髪の毛、それに濃い化粧で焼肉屋に現れた。
元々酒を好まない女は疲れたと云いながら肉をむさぼり喰い、
私は相槌を打ちながらビールを飲んでいる。
一日の栄養をつけようと、まずは塩ユッケで己がハートに火をつけて、
タン塩に刻みネギを巻き、カルビ、ロース、白飯とバリバリ平らげ、何杯もビールを飲み、
喰い散らかした皿の前で、女は茶封筒から金を取り出し、精算をする。
紫煙を揺らせながら、私はその様子をまどろんだ目で眺めている。

居室に戻ると、そんな一日を過ごしている己を悔恨しはじめ
着替えている女を見る。
この女は、水商売をしているとき、一体どんな様子で中年の男共と接しているのだろうか。
そんな店に行くような中年の男たちは、明らかに私よりも社会地位があり、
そして金も持っている。私が勝るモノは若さだけしかない。
そして私は吸っていた煙草をもみ消し、威勢良く腰を上げると、
劣情と欲情でぐちゃぐちゃになった自分を殺す勢いで女を犯しはじめる――。


私はその時期何を求め、女は何を思いながら暮らしていたのだろうか。
女と酒と肉を喰らい、悔恨を幾重にも塗り重ねるだけの生活。

女は着衣を乱したまま、泥のように眠りこけている。
私がベッドから這いずり出ると、カーテンの隙間から群青色の空が見えていた。
自分はこの屑男はこれから一体何処へ向かっていくのだろうか、
そして女はいつ私の元から去っていってしまうのだろうか、と思案しながら、
諦めと憤りと、まだ胸の奥の方でほのかにくすぶっている前向きな気持ちを
確認したりして、煙草に火を点け、飲みさしの気の抜けた缶ビールを流し込む。



そんな日々があったのだと、今は懐かしく思う。
夜勤というのは、大体21時からという職場が多い。
20時台に勤務先にいそいそ向かっていると、
すれ違うのは日勤の仕事を終えた人たちである。
彼らのゴキゲンな時間はこれからなのである。

私はよく寝坊をして遅刻する。週に1回は遅刻しないと気が済まないほどである。
急いで用意すればまだ間に合う、といった状況で私が往々にして選択するのは
「ソファに座り、煙草に火をつけ、風呂に入る準備」である。
自分でも何故か上手く説明は出来ないし、諦めが早いのかも知れない。

ある日、寝坊をして、21時出勤なのにもかかわらず、23時頃ようやく家を出た。
その日のうちに間に合えば、まあいいだろうと判断した結果、
21時台のドラマを見て、そのあと報道ステーションを見つつ着替えをし、
風呂に入ってからの23時出である。ゆっくりしすぎである。

その頃は、職場が新宿なこともあり、駅から降りると、
飲み帰りのサラリーマンたちや、慣れない酒でハメを外した学生たちや
これからハメようとしているカップルたちが、道を往来していた。

その間をすり抜けるように私が職場に向かっていると、
角から赤いリボンを胸元に巻いたセーラー服を着た人がヌッと姿を現した。
こんな時間なのに、不良少女なのかと。援助交際をしているの輩かと思い注視すると
髪の毛はおさげにしていて、眼鏡をかけている。オジサンだった。

一瞬、私はひるんでしまい足を止めてしまった。
そのおじさんの表情は、まだアルコールも入っていない様子で
少し恥ずかしそうに俯き加減でゆっくりと歩いていた。

周りの通行人からも、指をさされ、クスクスと嘲笑を浴びていた。
あのオジサンをそこまでさせるモノは一体何なのかと考えた。

そういうお店でそういう恰好をしたいのなら、別にいい。好きにやればいい。
しかしその恰好のまま、一人で夜の街を歩くと、どうなるかは
おじさんも重々承知の上であるはず。
セーラー服姿で街中を歩かないといけない理由や、
もしくは何か強い想いがこめられているのであろうか?

などと考えながら私は職場にたどりつき、エレベーターに乗った時、ふと思った。
「もしかすると、人から自分の恥ずかしい恰好を見られる事に
 快感を感じる性癖なのではないか?」
ともすると、あのオジサンは、眼鏡にお下げそれにセーラー服姿の自分を見られることにより、
痺れるような快感を味わっており、それに加え、
スカートの下には、実は菊門に大人の玩具をONで挿しこんでいたりもして、
もんのすごく興奮して怒張しているから、恥ずかしさのあまりうつむき加減なのと
ゆっくりしか歩けなかったのではないか?!

という考えに至り、思わず気色悪くなってしまった。
職場に着いたとき、「ちょっと気分が悪かったので遅刻しました…」と
満更嘘でもない仮病を言う私なのであった。


時間は、皆に平等であり、
夜の時間をどう過ごすかは、各々の自由なのであることを
改めて噛みしめさせられ、私は深夜労働にいそいそと従事するのであった――。
私は深夜労働に向かうとき、副都心線に乗り込む。
向かいの席に中年女性が座るや否や、バッグの中をごそごそとかきまわし
本とかPSPとか手帳を取りだすのかしらんと思っていると、おもむろに
カニパンを取り出し、ぼそぼそと食べはじめた。

女性はパンを食べてるときの視線をどこに向けて良いのか定まっていないようで、
パンに対して寄り目みたいになりながらぼそぼそとかじるように食べていた。

新幹線やロマンスカーのように「遠く行きまっせ、行楽地行きまっせ」な車内だと
缶ビールぶしゅーと開けても、窓枠に肘をつきながらカニパンを食べても、
トランプはじめても、タロット占いはじめても、まあきっと、
視線に迷うこともなく、時折、窓の外を眺めたりしながらで、何の違和感もないだろう。

在来線の車内で一人タロット占いをしてる奴がいたら、絶対横には座りたくないし、
「あんた……フール(愚者)だね」なんてカードを切り出されたら否定のしようもないじゃないか。
ともかく、パンをかじる、もしくは他のなにか食べ物を口にするとき、
目線のやり場に困ってしまう人は多いのではないだろうか?

以前、ラッシュ時の混んでいる山手線内で、
湯気が立つほどのコンビニ弁当をモリモリ食っている男性を見たことがある。
その彼は、カニパン女性のように周りの視線を気にする風でもなく
前かがみになりながら、弁当にむさぼりついていた。
彼は気にしていない様子なのだが、周囲の人はその場違いな臭いにかなり眉をひそめていた。

これまた違うときは、おばあさんが、巾着袋からおかきを取り出し、
ボリボリポキッ!! と、イイ音を出しながら車内で食べているときもあった。
しかも、巾着袋の中に何枚煎餅入ってるの? と気になるほどの枚数を次々と平らげていく。
もちろんおばあさんは周囲のことなどまったく気にする様子もなく、
入れ歯の噛み合わせを調節するように租借していたこともある。
もしかしたら、歯が折れていた音かも知れないが、
彼女はそんな事もおかまいなしでGO ON 租借だった。

とにかく在来線車内で何かを食べてる人を見ると、
「ここじゃなくても、今じゃなくてもいいじゃん」
と思ってしまうのである。そんなにお腹減ってるの? 降りてからどっかでゆっくり食べれば?
と思わずにはいられないのである。


食べ物ではないが、座席に座り、メイク道具を出しては念入りにメイクをしはじめるギャルや
疲れ切った表情で、第一関節をズッポリと鼻の穴に入れこみ、
こねくり回すように鼻をほじる中年サラリーマンなどを見かけると、
ここはアンタの家じゃないんだよ、周りに人がいるんだよ、もっと気をつかって欲しいんだよ
誰があかの他人の鼻くそほじってるバカ面なんかを見たいものか、とゲンナリしてしまう。


彼らのように外でリラックスする事が下手糞な私は、
そんな人たちを見かけるたびに、その厚顔無恥加減というか、
肩の力の抜きっぷりを少し羨ましく思ったりすることもあるのは認めるが、
こうして他人から見られている事を考えると、
やはり私は電車内でリラックスするのが下手糞なのだなと、
改めて思い知らされるのである。
深夜労働は夜の22時以降だか、深夜手当なるものがつく。
基本時給×1.25=深夜時給である。
深夜労働明けの給料日。近くのコンビニATMで残高照会をしたあの小さな喜び。
しかしその喜びも束の間であるのは毎月分かっている。
給料が入ると、軽い躁状態に入り、酒、博打、欲しかったブツに金を流し込み、
その後は嫌々ながら借金返済、家賃や光熱費の支払いなどで瞬く間に、
日当数日分が飛んでいく。

残った残高と次の給料日まで計算をすると、1日に1000円しか使えないじゃないか
と憤りと激しい憂鬱が私を襲うことは、ほぼ毎月である。
旅行に行くという友人や、ギャルソンやワコマリアを買う奴のフトコロを羨ましくも恨めしく思う。

道端に一円玉が落ちていると、拾うか見過ごすか躊躇してしまう自分が嫌だ。
以前、私と似たようなボンクラと新宿を歩いているとき、
目先にキラリと光るものを発見した。あの大きさからして、きっと500円玉だろう
と思った私は友人を置いて先に拾おうと小走りし、光のところにたどりつくと
そこに落ちていたのは、大きな痰まじりの唾だった。
ボンクラの友人はケタケタと笑っていたが、どうやら彼も最初は500円玉だと思っていたらしい。

金のない私たちは、コンビニで発泡酒とカニカマを買い求め、
公園で小さな酒盛りをしながら「宝くじが当たれば何を買う?」などと
愚にもつかない話しを延々と続けるのである。
そんなことを言いながら、目先の数万円を求めては、パチンコ屋に侵入し
なけなしの金を機械に吸い取られ、陰惨たる気分で互いに帰路につき、
次の深夜労働に備えるだけの、無常の日々を送るのである。