TRIZ、『40の発明原理』発明原理番号36~40 | ある日、タシケント@ウズベキスタンの大学の副学長になった私の日常

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TRIZを活用するには、まずは、自分が直面しているコンフリクトを定める必要がある。

 

リンク:TRIZのコンセプト、正しい問題のとらえ方

 

その上で、『40の発明原理』を参照して、その解消のためのアイディアを導き出すことである。

 

リンク:TRIZ、『40の発明原理』の紹介

 

ここでは、『40の発明原理』の発明原理番号3640番について紹介する。

 

36:相変化原理

体積の変化、熱の損失や吸収など相変化の間に起こる現象を利用して問題を解決する。

 

実例

・氷水(こおりみず):氷が水に相変化する際の熱移動を冷却に利用することが出来る。

・蒸気機関:蒸気機関は、水が水蒸気に相変化する際の体積の変化を利用している。

・ドライアイス:ドライアイスは室温では二酸化炭素に昇華するので濡れない。

・ダイナマイト:ダイナマイトは化学変化による急速な体積膨張を利用したものである。

 

問題解決の為のヒント

・相変化の間に起こる現象を利用できないか?(例えば、体積の変化、熱の損失や吸収等)

 

37:熱膨張原理

材料の熱膨張や熱収縮を利用して問題を解決する。異なる熱膨張係数を持つ複数の材料を使う。

 

実例

・温度計:温度計は液体の熱膨張を利用して温度が目視できるようにしている。

・熱気球:熱気球は中の空気を熱して比重を外部の空気より軽くして浮いている。

・ポップコーン:トウモロコシが中の空気の熱膨張によりはじけたものがポップコーンである。

・バイメタル:熱膨張率の異なる二種類の金属を合わせると様々な機能を実現できる。

 

問題解決の為のヒント

・材料の熱膨張や熱収縮を利用できないか?

・熱膨張を利用している場合は、熱膨張係数の異なる複数の材料を利用できないか?

 

38:高濃度酸素利用原理

高濃度の酸素を使う事を考える。また、反応性を高くする物質で周囲を満たすと読み替えて応用することも出来る。

 

実例

・鰻のかば焼き:鰻を焼く時うちわであおいで酸素を送り込むみ炭が良く燃えるようにする。

・漂白剤:漂白剤は、薬剤の酸化還元作用を利用してシミや汚れの色を取り除く。

・酸素カプセル:酸素カプセルに入ると、疲労回復等の効果を得られる。

・汚水処理:汚水処理等にはオゾンが利用されている。

 

問題解決の為のヒント

・通常の空気を高濃度の酸素を含んだ空気と入れかえられないか?

・高濃度の酸素を含んだ空気を純粋な酸素と入れかえるとどうなるか?

・空気や酸素に電離放射線を照射するとどうなるか?

・イオン化酸素やオゾンを利用できないか?

 

39:不活性雰囲気利用原理

酸素のような反応性の高いものを取り除き、不活性な雰囲気に包む事により問題を解決する。

 

実例

・レトルト食品:レトルト食品は、中の食品を酸素から隔離して長期保存している。

・漬物:漬物は、食塩や酢等に漬け込む事により保存性を高めた食材。

・消火器:消火器は、燃焼に必要な酸素との接触を断つことにより消火する。

・乾燥剤:乾燥材により、お菓子が湿気ることなく長持する。

 

問題解決の為のヒント

・通常の環境を不活性な環境にすることは出来ないか?

・中性な部品や不活性添加剤を物体に加えられないか?

 

40:複合材料原理

均一材料であったものを、複数の材料の複合材にする事を考える。

 

実例

・鉄筋コンクリート:鉄筋を中に入れる事により、脆い材料であるコンクリートを強化する。

・チャーハン:チャーハンにはご飯と共に様々な食材が一緒に入った手軽な料理である。

・繊維強化プラスチック(FRP):繊維強化プラスチックはプラスチックを繊維で強化した材料である。

・お好み焼き:様々な食材を小麦粉と混ぜて焼き上げた食べ物がお好み焼きである。

 

問題解決の為のヒント

・均一な材料を複合材料に変更することは出来ないか?

・材料を特別な機能的な要求に最適化できないか?