ちいさな、おはなし。 -52ページ目

Across The Universe


何かに突き動かされるようにして、馴染みのない街で迷子になってみることがある。

そんなときに歩いたそういった街は、単なる普通の街であるが、自分にとっては魅力の尽きない異国となる。

花屋の店先で花に見とれているひとがいる。

その女性は、どこにでもいる普通の女性であるが、自分にはその人の佇まいがこの上なくうつくしいものに見える。
だって、何かに夢中になってるひとの顔や雰囲気は、なによりも貴く見えるから。

重箱の隅をつつくようにしてこの自分の仕事ぶりをなじる社長の顔は、殴ってやりたくなるほどに憎々しい。
けれど、その憎々しいメガネの奥にある目の、どこか柔らかな優しげな表情が、もう少しこの人にくらいついてみようという気にさせる。

◇◇
つまらない毎日の、何ら変わることのできない、苦しい自分の人生を、ときどきかえりみる。
そして、わざとらしく、意識を宇宙にまで飛翔させてみる。わざとらしく、無理矢理に。

するとどうだろう。

本当に宇宙にまで意識が飛ぶではないか。

宇宙から自分を眺めてみれば、なかなかどうして、いい感じにジタバタしてるではないか。
我ここにあり、ということを証明しようとして、いっしょうけんめいにジタバタしているではないか。

小さな世界に「異国」を見出し、人が最高にうつくしい瞬間に見とれ、嫌いな人物を好きになろうとしている。

悪くない。

ときには自分をほめることにしよう。

たぶん、このジタバタした生き方を書き記しているのが、この日記やブログなのだろうと思う。
これこそが自分を表現すること、自分にとっての文学なのだろうと思う。
好むと好まざるとに関わらず、おそらくこういった自己表現が自分の文学なのだ。