ザ・コメディ・ムービー⑤
ツタヤへは馬鹿の一つ覚えのように通いつめている。お金の無駄遣いだから、と毎回レンタルするわけではないが、パトロールは欠かさない。だから、近所のツタヤの商品の配置は大体覚えてしまっている。
と、今日いつもの気分で向かうと、棚が増えて違和感たっぷりだった。
違和感も手伝って、半額レンタルをたくさん借りてしまった。
ふと見ていなかった大作を借りてみようと思い立った。眼に留まったのは、トム・クルーズ氏の宇宙戦争だった。
たいそう勿体ぶった宣伝にやられて、結局観ずじまいになった映画のひとつである。
ごはんを食べながら、軽い気分で観た。
だめな親父と、二人の子供の絆が中心で、宇宙人は完全に脇役だった。
なんだか、異様にあっさりとした小作品だったように思う。話もたいしたことないし、宇宙人もいがいと適当に描かれていた。もっと暴れまわってほしいような気もした。
まあ、期待してはいなかったけれど、SFの面白さも、親子のドラマの骨太さもない、カレーかハヤシか分からない、中途半端な味わいの映画だった。
正直、笑えるのは、トムの危機一髪ぶりがあまりにすごすぎて、そりゃないぜ、ってくらいでしょうか。
半額レンタルの日にどうぞ。
チャンピオン・ウィズ・ノー・クローゼズ
今、夕方のニュースで一番輝いているのは、山下清氏である。こういうのは匿名の暴力というのかもしれないが、なにぶん私のは零細なので、気にも留まらないであろうから、よしとして書いてみる。
四国の田舎で起こった、凄惨な事件である。あまり、詳細は知らないし、書くつもりはないが、とにかく、3人に重大な事態が起こったことは明らかで、怪しすぎる父親、それが山下清氏である。
奇しくも、ランニングの彼と同姓同名。二度目の露出時にはスキンヘッドになって、頭もおそろいといってよい。
悲しみにくれる、ナーバスな父親、と思いきや、彼の人相は久しぶりに見る、見事な悪人面である。
これをメディアが放っておくはずがない。口調も亀田の親父を髣髴とさせる、ぶっきらぼうな西日本のことばである。取材陣に食ってかかる彼は、孤軍奮闘、まるきり容疑者である。
本当にそうかもしれないし、違うかもしれない。
メディアの圧力、泥流のごとき強引さには、何者も抗うことはできない。ほとんどの視聴者が、彼を異常な殺人者として恐れている。すでに社会的には逮捕されているのだ。
しかし、私は、彼の怒号がおかしくて仕方がない。ああまで、こわい人が夕方のトップニュースで悪態をつくのだ。違和感が愉しくて愉しくて。
新たに剃った頭が謎を深める。証拠隠滅とすれば、あまりに幼稚である。
まあ、私には関係のない、物騒な話題なので、私はただひとつ、季節がも少しあたたかくて、彼が薄着だったらなあ、と思うばかりです。
リトル・シンガー
この前、何気なくNHKの夕方のニュースを見ていたら、三田佳子の息子の逮捕を報じていた。
NHKもミーハーなもんだね、芸能ネタをやってらあ、と思った。
と、そこはさすが、NHK。
テロップには、三田佳子の次男、とは書かず、自称歌手 と出た。冷徹なものである。
歌手としても認められていないようである。まあ、ただの馬鹿だが、歌手を名乗ることすら、活字で嘲笑われるとは。
お母さんも苦労します。
しかし、CDは出しているようだから、自称、としたのは、生計を立てるほど出ないから?
まあ、バイトしながら、路上で歌っている人たちは、フリーターであって、歌手とはかかれないだろうから、まだ浮かばれるのだろうか。それとも、彼自身が調書かどこかに 歌手 とでも書いたのだろうか。
どちらにしても、大変迷惑な子供である。
しかし、正直、三田佳子がさいきん仕事をしているのかどうか分かりかねるので、私にとっては、ただのどら息子をもったおばさんでしかありません。近所の話題はわざわざ電波を使わないで、近所の下世話なおばさんから聞く程度でいいんじゃあ、ないでしょうか。おばさんも、全国の皆さんに大声で馬鹿にされるのはつらそうです。
もっと、売れてる人じゃないと、見るほうもつまらないなあ、なんていい加減なことを思ってしまいます。
なにしろ、ひとごと ですから。これが大衆、メディアを一言で表す言葉なんです。情けなや。