2型糖尿病:完全ガイド

by Cyrus Khambatta, PhD
(栄養生化学博士)
2020年8月13日

●2型糖尿病とは?

2型糖尿病とは高血糖とそれに伴う
幅広い続発症を特徴とする慢性疾患です。

2型糖尿病は成人発症型糖尿病とも言われ
アメリカだけで3100万人以上が罹患して
います。現在、世界でもっとも急速に蔓延
している慢性疾患の一つです。

2型糖尿病はインスリン抵抗性と呼ばれる
状態の結果として現れます。
それは脂肪を貯蔵するようデザインされて
いない細胞への過剰な脂肪の蓄積が原因です。

早い段階においては、2型糖尿病は「インスリン

非依存性」と言われます。
これは以下のような一連の現象で特徴づけ
られます。

ステップ1:筋肉および肝臓でのインスリン抵抗性

が体のインスリンの要求量を劇的に増やす。

ステップ2:筋肉および肝臓でのインスリン抵抗性

が上がり続け、インスリン産生の負荷が増える。

ステップ3;膵臓のβ細胞はインスリン分泌量
を増やし、「高インスリン血症」となる。

ステップ4:β細胞が、筋肉と肝臓のインスリン抵抗性

を乗り越えるだけの十分なインスリンを作れなくなり、

血糖値が上がるようになり、高血糖状態となる。

病気が進行すると2型糖尿病は「インスリン依存性」

になる場合があります。
それは次のような機序です。

ステップ5;筋肉および肝臓でのインスリン抵抗性を

乗り越えようとβ細胞が何か月、何年も大量の

インスリンを生産・分泌する。

ステップ6:β細胞は徐々にそのインスリン分泌能

を低下させていき、アポトーシスと呼ばれる、

プログラムされた細胞の自死が始まる。

ステップ7:β細胞は死に始め、インスリン分泌量は

減る。

ステップ8:β細胞の疲弊によってインスリン生産

は不十分となり、高血糖になる。

ステップ9:血糖値のコントロールと合併症のリスク

を最小限にするために外因性インスリン

(インスリン注射)が必要となる。

幸いなことに、2型糖尿病は大部分の症例で
食事療法とライフスタイルの変更によって
インスリン感受性を上げることで逆転可能
です。

この記事では、1型と2型の違い、2型糖尿病の
症状、2型糖尿病の原因とリスク要因、予防、
治療、完全に逆転させる方法について論じます。

●1型と2型の違い

1型糖尿病では、自分の免疫システムが間違って
膵臓のβ細胞を攻撃してしまうという
自己免疫疾患の結果、インスリンが欠乏します。

膵臓のβ細胞の数は大きく減少し、その結果
インスリン不足となり高血糖をもたらすのです。

インスリン非依存性の2型糖尿病では、膵臓の
β細胞はまだ十分なインスリンを生産できるの
ですが、筋肉と肝臓のインスリン抵抗性を

乗り越えられるほどの生産力がありません。

インスリン依存性の2型糖尿病では、β細胞が
何か月、何年もインスリンの過剰生産をして
きた結果、β細胞の数が減り、インスリン分泌
が不足します。

●2型糖尿病の症状

すべての型の糖尿病の主軸の問題は高血糖です。
この高血糖は様々な併発症状をもたらします。

・喉の渇き・頻尿・原因不明の体重減少
・性器の痒み・胃炎・視力の異常・疲労
・混乱・傷の治りの遅延・頻繁な感染
・皮膚の部分的黒ずみ(多くは脇と首)

これらのは、1型、境界型、妊娠糖尿病、
1.5型(緩徐進行性1型)のすべての型の
糖尿病に共通するものです。

●2型糖尿病の原因

2型糖尿病はインスリン抵抗性が原因です。
放置しておくなら、インスリン抵抗性は
まず境界型糖尿病へと進行させ、ついには
2型糖尿病となります。

よくある誤認識の一つは、高血圧と過体重が
2型糖尿病の原因である、というものです。
しかしこれらは直接的原因ではありません。

しかし高血圧と体重増加は2型糖尿病の併存症
と見なされます。

●2型糖尿病のリスク要因

2型糖尿病のリスク要因にはコントロールできる

(自分で変えることができる)とコントロールできない

(自分では変えれない)ものがあります。

幸いなことに、2型糖尿病のリスク要因の大部分

はコントロールできるものです。
以下のようなものです。

・総カロリー摂取量
・食事中の脂肪の量(特に飽和脂肪)
・食事中の加工食品の量
・身体活動レベル
・体重
・アルコール摂取
・ストレスのレベル
・境界型糖尿病の罹患
・妊娠糖尿病の罹患

2型糖尿病の主要なリスク要因のうち
自分でコントロールできないのは一つ
だけ、というのは良い知らせです。

・家族歴

ある遺伝子が2型糖尿病のリスクを上げる
というのは事実ですが、それでもこの病気は
原因の主な要因となっている食事と生活習慣
を変えることで間違いなく予防も治療も
できるのです。

●2型糖尿病の合併症

2型糖尿病を放置すると、他の疾患のリスク
もだんだんと上がっていきます。
2型糖尿病の人は合併症の疾患のリスクが
健常者と比べて3倍以上になるという報告も

あります。

加えて、2型糖尿病は直接的または間接的に
多くの疾患の原因になります。
糖尿病の直接的合併症には次のようなものが
あります。

・心臓病・腎臓病・腎不全・神経障害・血管
の機能不全・網膜症

2型糖尿病におけるインスリン抵抗性の根本
にある問題は間接的な合併症も引き起こし
ます。動脈、肝臓、筋肉、卵巣などへの障害
および脳神経系の様々な異常です。

それらの合併症には次のようなものが
あります。(この限りではありません)

・冠状動脈疾患・動脈硬化・癌・高コレステロール

・高血圧・肥満・多嚢胞性卵巣症候群
末梢神経障害・アルツハイマー症・慢性腎疾患
・脂肪肝・様々な慢性疾患

●2型糖尿病の診断

アメリカ糖尿病学会(ADA)によれば、2型糖尿病と

診断するには以下のうちどれかが当てはまらな

ければいけません。

・ヘモグロビンA1cが6.5以上
・空腹時血糖値が126mg/dl以上。
(空腹時とは8時間以上の絶食後)
・OGTTで2時間後の血糖値が200mg/dl以上。
・随時血糖値が200mg/dl以上。

大部分の人は、正式に2型糖尿病と診断される
何年も前から自覚症状はなくてもインスリン抵抗性

を持っています。

A1cの測定は過去3か月の平均血糖値について

の情報を与えてくれる血液検査です。

OGTTはグルコースを負荷して、糖代謝能力
を調べる検査です。

(手順については省略)

●2型糖尿病か1型糖尿病かの診断

2型糖尿病は特に成人においては大部分を
占める型です。

しかし、成人で発症する自己免疫性の
糖尿病、潜在成人自己免疫性糖尿病
(緩徐進行性1型)もあります。
これはCペプチドの検査でわかる場合も
あります。

Mastering Diabetesのメソッドは2型糖尿病を
予防し逆転させるものですが、1型にも対処
するものです。

●予防

2型糖尿病のリスクを減らすための対策
には大きく分けて3つの分野があります。

・摂取カロリーと脂質からのカロリー摂取量
・食事のスケジュール(タイミング)
・毎日の運動

これらのライフスタイルの変更(健康的
な食事への変更、身体活動量を増やす、
間欠的ファスティングを行う)は2型糖尿病

を予防するための、そして逆転させるための

鍵です。

●2型糖尿病は治せる?

はい、2型糖尿病は治せます。
2型糖尿病を逆転させる鍵は食事と運動レベル

を変えるという戦略でインスリン抵抗性を逆転

させることです。

それができるなら、あなたは効果的に

2型糖尿病を逆転させることができます。
(大部分のケースで)

内服薬やインスリン注射を用いて糖尿病の
症状を管理するだけでは2型糖尿病は逆転
しません。

2型糖尿病を完全に逆転させるためには
インスリン感受性を劇的に上げる必要が
ありますが、薬物治療ではそれはもたらされ
ません。
 

これから、2型糖尿病を永久に逆転させるのを
助ける3つの主な分野について述べます。

●2型糖尿病の管理

2型糖尿病を予防するための食事とライフスタイル

変更の戦略は、インスリン抵抗性を逆転させ、

血糖値を正常化させ、2型糖尿病を逆転させる

ための戦略と同じです。

その戦略とは;

・インスリン抵抗性を永久的に逆転させるため

にデザインされた低脂肪のプラントベース

ホールフード食を食べる。

・間欠的ファスティングを取り入れる。

・毎日のルーティーンに運動を加える。

●食事による2型糖尿病の管理

2型糖尿病を管理し逆転させるのに最も
効果的な方法は食事です。

とりわけ低脂肪のプラントベースホールフード食

(高未精製炭水化物食)が効果的であると
研究結果も示しています。

この食事法はインスリン感受性を劇的に上げ
次のような結果をもたらします。

・血糖値コントロールを良くする。
・インスリンの使用量を10-60%減らす。
・内服薬の使用量を減らす(平均52%)
・time in rangeを増やす。
(血糖値が70-180mg/dlの時間の割合)
・A1cを2%下げる。
・LDLコレステロールを下げる。
・血圧を下げる。
・エネルギーレベルを上げる。
・多くの慢性疾患のリスクを下げる。

この新しい食事法のガイドラインは
標準的なアメリカ食とまったく違います。
 

2型糖尿病逆転のためのWFPB食の

ガイドラインはとてもシンプルです。
 

食材を青・黄・赤の信号機システムで分類
します。

★青信号

すべてのフルーツ(アボカド、ドリアン、デーツを除く)、

でんぷん質および非でんぷん質の野菜、すべての

豆類(大豆を除く)、全粒穀物(精製が最小限のもの)、

ハーブ、スパイス。

青信号の食べ物は食べたいだけ食べていいのです。
これらの未精製のホールフードは低脂質で
栄養素密度が高く、インスリン抵抗性を逆転
させることが示されています。

★黄信号

全粒穀物や豆のパスタ、全粒穀物シリアル、
精製穀物、全粒紛のパンやトルティーヤ、
アボカド、ナッツ、シード、ココナツ果肉、大豆、

大豆製品。
 

黄色信号の食べ物は少量なら食べていいです。
なぜなら、それらは多少精製されている、または
脂質が多いからです。常食すべきではありません

が、それでも「ヘルシー」な選択と見なすことができます。

★赤信号

すべての赤肉、白肉、魚介類、卵、乳製品
植物油、精製糖類(単純糖)

赤信号の食材は私達が台所や冷蔵庫、お皿の上
から排除するよう勧めているものです。

これらの食べ物は、エビデンスに基づく研究で
インスリン抵抗性を上げ、血糖値(空腹時と食後)

を上げ、2型糖尿病の人の慢性疾患を促進する

ことが報告されています。

低脂肪のPBWFおよびそれを用いてのインスリン
抵抗性の逆転についてさらに学びたい方は
これらの記事を参照

https://ameblo.jp/wemustbeholy/entry-12553504857.html

https://ameblo.jp/wemustbeholy/entry-12555403154.html

●間欠的ファスティング

2型糖尿病を逆転させるためのもう一つの
パワフルな戦略が間欠的ファスティングです。

間欠的ファスティングは、「食事をする時間帯」を

「絶食する時間帯」に置き換える戦略です。

間欠的ファスティングは、減量、インスリン抵抗性の

低下、心臓血管系の健康向上、神経機能の改善、

肝臓の健康の改善のためのパワフルなツール

であることがわかっています。

間欠的ファスティングの鍵はオートファジー
と呼ばれるプロセスです。
これは食事を食べない時間を延長したときに

体が機能を維持するために行う生物学的

適応です。

ファスティング中でも、体の組織の細胞たちは
引き続き、エネルギーとしてATPを必要とします。
しかしファスティング中はそれらの細胞たち
は食べ物からの栄養を得ることはほとんど
できません。
しかし細胞は活動を停止するのではなく
以下のものを酸化することでATPを作ります。

・グリコーゲンとして蓄えられたグルコース
・中性脂肪の脂質
・蛋白質のアミノ酸

それで体は古い細胞、蛋白質、脂肪をリサイクル

します。これを短時間、時間を調整して行うこと

がとても体に有益なのです。

低脂肪のPBWF食に間欠的ファスティングを
組み合わせると、2型糖尿病を逆転させる
ための、ものすごくパワフルなツールになります。

間欠的ファスティングにはいろいろなメソッドが

あります。
 

16:8メソッド(一日のうち8時間だけ食べる)
24時間メソッド(24時間絶食する)
5:2メソッド(一週間のうち2日絶食する)
 

どれも、意図的に食事と食事の間隔を長く
するもので、体全体の健康を多くの面で改善
させるためにデザインされています。

間欠的ファスティングについてもっと
学びたい方はこの記事を参照。

https://ameblo.jp/wemustbeholy/entry-12602040785.html

●運動による2型糖尿病の管理

運動は2型糖尿病のインスリン抵抗性を逆転
するための3番目のパワフルな戦略です。

運動をしているとき、筋肉の細胞はエネルギー
要求が高まり、そのためグルコース要求量が
増えます。
 

細胞のエネルギー要求が増えると、筋肉細胞内

の余分な中性脂肪が燃やされます。
そうするとインスリンへの反応性が高まります。

日々の運動量を増やすと、筋肉に負荷がかかり

ます。それによって筋肉の細胞にもっとミトコンドリア

を作るようにとシグナルが送られます。
 

食事の変更を全く行わなくても、ミトコンドリアの

密度が高くなると、過剰な脂肪が減り、インスリンの

働きが良くなります。

日々の運動はインスリン感受性をパワフルに
上げます。
 

運動量を増やすことは以下のような効果を
もたらすことを請け合います。

・内服薬およびインスリン注射の量を減らす。
・空腹時および食後血糖値を下げる。
・総コレステロールを下げる。
・LDLコレステロールを下げる。
・HDLコレステロールを上げる。
・体中の血管の状態を改善する。

●薬による2型糖尿病の管理

食事とライフスタイルの変更に加えて
2型糖尿病の管理にはあと2つの方法
があります。内服薬とインスリンです。

内服薬にはいくつかのカテゴリーがあります。

・インスリン分泌を刺激し、体にもっと
インスリンを作らせるもの。
スルホニルウレア、メグリチニドなど。

・消化管ホルモンの分泌を促すあるいは
作用時間を長くすることによって血糖の
処理を良くするもの。
GLP-1受動態作動薬、DPP4阻害剤など。

・体のグルコース吸収を減らすもの。
αグルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬、
ビグアナイド(メトホルミン)など。

・脂肪を「本来蓄える場所」に蓄えさせる
もの。チアゾリジン(アクトス)など。

インスリン注射薬

2型糖尿病はインスリン抵抗性が原因なので
血糖値を下げるため注射薬で内因性の
インスリンを補うケースは多くありません。

インスリン注射には大きく2つに分類できます。

★ベーサルインスリン:基礎インスリンまたは
持効型インスリンとも呼ばれます。

★ボーラスインスリン:即効型または短時間型
インスリンとも呼ばれます。

●薬物治療からの離脱

2型糖尿病の症状を薬物で治療することは
病気の根本原因を治療するものではない、
ということを覚えておいてください。
 

2型糖尿病を効果的に逆転させる唯一の
方法は、根底にあるインスリン抵抗性
を逆転させることで、それによって薬の
必要も減らせます。

薬物治療にはたくさんの益があります。
血糖値のコントロールを助け、インスリンの
分泌を改善し、血圧を下げ、コレステロール
を下げ、短期的には痛みも減らします。

しかし、薬物による血糖値コントロールには
多くの副作用、長期的なネガティブな作用もあります。
それらには、心不全、肝不全、腎不全、脳卒中、

死亡のリスクを上げるものも含まれます。

それゆえ私達はライフスタイルと食事を変える
ことを通しての真剣で一貫した努力をすることを

勧めます。
 

それらの変更は安全であり、エネルギーを増やし、

体全体の健康を増進させ、持続的で長期に渡る

解決策となります。

●2型糖尿病を征服する。

今回の記事で学んでいただきたい一番重要な

ことは、2型糖尿病は食事とライフスタイルの変更

によって完全にコントロール可能、あるいは

逆転可能だということです。

そうです。あなたには2型糖尿病を逆転させる
能力も力もあるのです。

しかし、ほとんどの場合、食事とライフスタイル
の変更は今までの習慣とルーティーンを大きく
変えることですから、ひるんでしまうことも多い

と思います。

この変更を助けるために、Mastering Diabetes
のコーチングプログラムがあります。
糖尿病指導の専門家が常に助けます。

あるいは、自分でライフスタイルを変えたい
と思うならDo-it-yourselfプログラムに
参加することができます。
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このプログラムはこれまでに2500人以上
の人生を変えました。

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コミニュティ、少人数グループ、マンツーマン指導、
必要に応じて様々なオプションがあります。

私達Mastering Diabetesの目標は、すべての
糖尿病の人に、誰もが自分の人生を変える力
を持っていることをわかってもらい、この病気を

管理し逆転させるための移行の助けを提供する

ことです。

どうか忘れないでください。
 

その力はあなたの手にあるのです!


 


 

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