高炭水化物の食べ物がインスリン抵抗性と2型糖尿病を逆転させる
 
世界で最も信頼されている査読された
医学論文で公表された多くのエビデンスが
低脂肪のプラントベースホールフードの
ダイエットが慢性疾患を予防し治療する
のに最も効果的な方法であると明らかに
示していますが、医師や栄養士、患者たち
に教えられる伝統的な食事ガイドラインは
約35%の脂質を含み、炭水化物を制限し
「中程度の」肉、鶏肉、卵、チーズ、ミルク
を含む食事を勧めています。
 
残念なことに、エビデンスに基づく科学的
知見と、現在の推奨される食事ガイドライン
には大きな隔たりがあり、それゆえに糖尿病、
心臓病、癌、自己免疫性疾患の発症は世界中で
増えているのです。
 
アメリカ人の多くが炭水化物を恐れ、
オンラインのニュース、新聞、雑誌、
人気ブログなどの主流のメディアの大半が、
フルーツやポテト、全粒穀物などの高炭水化物
の食べ物は避け、もっと「流行りの」低炭水化物
の食べ物、ココナツオイルやベーコンやバターと
いったもの食べるよう勧めています。
 
私たちは、大衆は高炭水化物の食べ物とそれら
がインスリン抵抗性の逆転に果たす役割
についての真実を知るべきだと思います。
 
それは85年以上に渡る科学的エビデンスに
基づいた事実です。
 
混乱していることの一つが、高炭水化物の
食べ物がすべて同じではないということです。
 
この記事の3つめの項目で、なぜ砂糖や小麦粉
のような精製穀物と、天然のホールフードの
中の炭水化物では体内の代謝に及ぼす影響が
違うのかを説明します。
 
しかし、最初に、低炭水化物ダイエットが
インスリン抵抗性と2型糖尿病の原因と
なり、プラントベースのホールフードの
ダイエットがその病理を逆転させるか、
という点について説明します。
 
次に、動物性食品がインスリン抵抗性と
糖尿病に悪い影響を与え、糖尿病ではない
人であっても寿命を縮めることを示唆した
最近の研究を紹介します。
 
1)なぜ低脂肪?
 
低脂肪ダイエットというと1980年代の
リチャード・シモンのエアロビクスの
ビデオカセットの映像を思い起こすかも
しれません。
 
簡単に素早く腹筋のシックスパックが手に
入ります!と宣伝して、深夜の通販番組
で奇妙なものが売られ、スーパーには
段ボールのような味の「脂肪ゼロ」の
ラベルのクッキー、クラッカー、チップス
が並びました。
 
しかし、ちょっと待ってください。
私たちMDが言う「低脂肪」ダイエットは
そのようなタイプの低脂肪ダイエットでは
ありません。
脂肪ゼロクッキーの類は、私たちの適切
な栄養のための食事プランのメニューには
ありません!
 
私たちがインスリン抵抗性の予防と
逆転のために高炭水化物の食べ物を
含んだ食事を強調するのには理由があります。
もしそれを一度も聞いたことがないなら、
びっくりするかもしれませんね。
 
しかし、私たちはまず、なぜ多くの医者や
栄養士、そして患者たちも、高炭水化物の
食べ物が糖尿病を逆転させるどころか
糖尿病の原因であるという間違ったことを
信じているのかを調べる必要があります。
 
では、基本から始めましょう。
私たちは中学校で、体にカロリーを供給
する3大栄養素について学びます。
炭水化物、脂肪、蛋白質です。
 
あなたが炭水化物を含んだ食べ物や
飲み物を口に入れると、血糖値は上がります。
肉、魚、卵、バター、油などを除いて
ほとんどすべての食べ物に炭水化物は
含まれています。
健常人では食事前の血糖値はだいたい
70-99mg/dlです。
 
炭水化物を多く含む食事を食べると
100-160mg/dlくらいまで血糖値は上がります。
油、甘味料、ジュース、砂糖が添加された
飲み物などを除いて、ほとんどの食べ物には
蛋白質が含まれています。
 
しかし、蛋白質は、炭水化物の含まれていない
食べ物、すなわち、肉や魚や卵に高比率で
含まれています。
 
蛋白質は血糖値にほとんど影響を与えませんが
消化されて1,2時間後に血糖値を下げることが
あります。これは蛋白質が膵臓からのインスリン
分泌を刺激するからです。
 
食事中の脂肪は血糖値にすぐには影響を与えません
し、膵臓からのインスリン分泌を刺激すること
もありません。
 
この、蛋白質は消化されてから1,2時間後に
血糖値を下げ、脂肪は血糖値にもインスリン分泌
にもすぐには影響を与えないという事実が、
低炭水化物ダイエットの本と、糖尿病の人への
間違ったアドバイスをなだれのように広める
こととなりました。
 
しかしとてもおかしなことに、フルーツや芋、
豆類、全粒穀物といった高炭水化物の食物の
摂取を減らし、高蛋白質で高脂肪な食べ物を
増やした人は、脂肪や蛋白質の摂取が少なく
炭水化物の摂取が多い人と比べて、2型糖尿病
を発症しやすいのです。
 
逆に、低脂肪でプラントベースのホールフードの
食事を食べる人は、耐糖能が改善し、血液中の
グルコースを効率よく処理することができる
ようになります。
 
伝統的に高炭水化物のホールフードを食べる
食文化だった地域の人々は、その食事が
高蛋白質で高脂肪の食事に変化しはじめる
までは2型糖尿病の発症はほとんどなかった
のです。
 
もし炭水化物だけが血糖値を上げる栄養素なら
なぜ、一番多く炭水化物を食べていた人たちの
血糖値が一番低いのでしょうか?
 
なぜ、炭水化物を避けて、高蛋白質で高脂肪
の食事を常に食べている人は、炭水化物を
含む食べ物を食べたときの血糖値の上がり方
が一番大きいのでしょうか?
 
この一見矛盾したような現象は、1970年代後期
にレイモンド・ダマディアン医師によって
MRIが発明されるまで、謎でした。
 
MRIの技術により医者や科学者は人体の内部
のすべての部分を切らずに見ることができる
ようになったのです。
 
この新しい技術は1980年代の初めに実用化
され、科学者たちは、インスリン抵抗性が
ある疾患、つまりメタボリックシンドローム
や糖尿病の患者には健常者と比べて異所性脂肪
(内蔵や筋肉組織内の脂肪)がとても多い
ことを発見しました。
 
研究者たちは実験を始め、健康な成人に
脂肪のみの食事あるいは高脂肪の食事を
食べさせると、筋肉内の異所性脂肪が
高脂肪食を食べた後何時間かのうちに
急速に増加することを証明しました。
 
高脂肪食が頻繁でなく、たまにであるなら、
健常者の場合、その脂肪は筋肉組織内に
蓄えられ、激しい運動や長時間の運動の際に
エネルギーとして用いられます。
 
しかし、1,2週間以上に渡って高脂肪の
食事を続けるなら、異所性脂肪はさらに蓄積し
これまで健康であった人でも、インスリン
抵抗性が生じはじめ、やがて境界型糖尿病、
そして本当の糖尿病へと進行していくのです。
 
インスリン抵抗性が生じると、高炭水化物食
を食べたあと、血糖値は160mg/dl以上にまで
上がるようになります。
 
一方で、カロリー比で15%以下の低脂肪食を
続けると、内蔵や筋肉に蓄えられる脂肪酸の
量はわずかなものになり、どちらの細胞も
インスリンが分泌されたときの応答を良い
状態に保つことができます。
 
これは良いニュースです。なぜなら、もし
あなたのインスリン感受性が高いなら、
高炭水化物の食事の後の血糖値のコントロール
はより簡単になるからです。
 
低脂肪のプラントベースのホールフード
ダイエットを行うと、高炭水化物の食物を
食べるほど、インスリン感受性は上がります。
 
これが、この食事法が2型糖尿病を予防し
逆転させ、1型および1.5型(緩徐進行性1型)
糖尿病の人では、インスリン使用量を減らす
ことができる理由です。
 
ではなぜ、内蔵や筋肉内の異所性脂肪は、
高炭水化物食を食べた後の食後高血糖の
原因になるのでしょうか?
 
生物学の授業を思い出しましょう。
炭水化物を食べると、消化システムによって
それらの炭水化物の鎖は、より小さい単糖類
の分子に分解されます。
そしてそれら単糖類は血液中に入り、血糖値
を上げます。
 
膵臓のβ細胞は血糖値上昇を感知して、組織
にグルコースを取り込む指示を出すインスリン
を分泌します。
 
インスリンは末梢組織にこう言うエスコート
役です。「ヘイ!グルコースあるよ!
取り込んでエネルギーにしない?」
 
インスリンの基本的な仕事は、グルコースを
血液から脳、筋肉、肝臓に入れていくことです。
しかしインスリンと組織とのコミニュケーション
能力が損なわれると、グルコースは血液中に
残されたままとなり、高血糖となります。
 
余分な脂肪が臓器や筋肉に貯まっていると
それらの脂肪の脂肪酸が、グルコースを中に
入れるインスリンの作用を阻害する、一連の
細胞内反応を刺激します。
 
その結果、血液中にグルコースが貯まり、
脳や体の組織は燃料欠乏状態になります。
糖尿病の人は、無気力、頭がボーっとする、
(頭の中にもやがかかる)空腹感、異常な
喉の渇き、といった症状を経験したことが
あるかもしれません。
 
低脂肪のプラントベースホールフードの
ダイエットに運動を組み合わせることで
筋肉内や臓器内の余計な脂肪を落とすこと
ができる、というのは良いニュースです。
 
インスリンが末梢組織とうまくコミニュ
ケーションできるようになれば、フルーツや
芋、豆類、全粒穀物といった高炭水化物の
食べ物を、高血糖の心配をしないで食べれる
ようになります。
 
脳や筋肉に良質の燃料(グルコース)が
適切に供給されるようになると、良い
気分になります。
 
あなたはエネルギーに満ち、ボーっと
することなく、クリアな思考力を持つ
ことができます。 
 
2) なぜプラントベース?
 
こう思われるかもしれません。
 
「脂肪の摂りすぎがインスリン抵抗性と
2型糖尿病の原因となり、蛋白質には
血糖値を下げる効果があるなら、高蛋白質
ダイエットは悪くないんじゃないの?」と。
 
セオリー的に、高蛋白質ダイエットは
血糖値管理のための理論的解決策に
思えるかもしれません。
 
実際、減量からボディビルディングまで
あらゆる目的の高蛋白質ダイエットの
本が巷に山ほどあります。
 
食事の蛋白質は血糖値にほとんど影響を
与えず、むしろ食べて1,2時間後に
血糖値を下げることを示すエビデンス
があります。
 
これは蛋白質が膵臓からインスリンを
分泌するよう刺激するからです。
 
しかし、実験によれば高蛋白質の食事
はインスリン感受性を良くするのではなく
むしろ悪くします。
それはどうしてわかりますか?
 
なぜなら、一回の高蛋白質の食事が
食後5時間までの血糖変動(血糖値の
不安定さ)の程度を劇的に上げる
ことを示すエビデンスが続々と
出てきているからです。
 
加えて、カロリー制限された高蛋白質の
ダイエットで、体重の10%を減らしても
体重減少によって通常みられるはずの
血糖値コントロール改善の程度が、
高蛋白質食による減量では少ないと
いうこともわかりました。
 
つまり、減量はインスリン感受性を上げる
ための最も強力な方法なのですが、
高蛋白質食による減量ではその効果が
弱まるということです。
 
さらに注意すべきこととして、科学者たち
は今日、動物性の食品の蛋白質は寿命を縮め
早死のリスクを高めることを発見しています。
 
一方で、豆類や全粒穀物、野菜、芋、フルーツ
といったホールの植物性食品に含まれる
蛋白質は早死リスクを増やさず、むしろ
寿命と健康寿命を延ばす効果と関係して
います。
 
3)なぜホールフード?
 
多くの人は「低脂肪」と「プラントベース」
という言葉は一緒に聞くことがあるかも
しれませんがその後に付けられる
「ホールフード」という言葉には
馴染みがないかもしれません。
 
多くの人は言います。「そんな食事は
食べれない!脂肪がある食べ物を食べないと
一日中お腹がすくじゃない!」と。
 
ひもじい思いや満たされない思いを
することなしに、体重を理想的な
数字にするための簡単で強力な秘訣
を教えましょう。
 
それはできる限り加工食品を減らし、
できる限り多くのホールフードを食べる
ことです。
 
多くの人が従来の低脂肪ダイエットや
プラントベースダイエットで減量が
うまくいかない理由の一つは、たくさん
の(ビーガン用の)加工食品を食べて
いるからです。
 
それらの食べ物は、次の2つの大事な
満腹メカニズムの経路を迂回させて
しまうからです。
 
1)満腹感の知覚
2)胃の拡張反射
 
ホールフードを食べると、この満腹感
の知覚と胃の拡張反射にスイッチが入り
脳に神経刺激を送り、脳は「満たされた」
と感じます。
 
「満腹感」はデーツ(なつめやし)や
ジャックフルーツなどの天然の甘い食べ物
を食べたときに一番感じやすくなります。
 
何口か食べると、最初の一口に感じたほど
には甘く感じなくなります。
そして、天然の高炭水化物の食物から
必要な栄養を得たとき、満足感を感じる
のです。
 
慌てて食べないで、ゆっくりと味わって
食べるなら、満腹感の知覚のメカニズムは、
十分に味わった、あるいは十分に栄養を
摂れたと、あなたに知らせてくれます。
 
キャンディやクッキー、ケーキといった
甘い加工食品は、塩や脂肪、時には化学
調味料や食欲を刺激する物質も含んでいます。
 
塩味系の加工食品は、砂糖やグルタミン酸
ナトリウム、人工色素、人工香料、乳化剤と
いった、食欲を刺激し、もっと食べたいと
思わせる成分を含んでいます。
 
この、複数の対照的な味を組み合わせる
魔法のようなコンビネーションは、
満腹感の知覚の神経経路を迂回するように
デザインされています。
 
それゆえ、必要以上のカロリーを食べて
しまうし、食事やおやつを頻繁に食べて
しまいます。
 
「胃の拡張反射」は、満腹感を与えるもう
一つの主要なメカニズムです。
 
食べ物を食べると、胃壁にある拡張受容体が
活性化します。
 
胃の中の食べ物が増えていくと、拡張受容体
は脳に神経刺激を送り、食欲を抑えます。
胃の拡張があるポイントを越すと、食べ続ける
ことが苦しくなります。
加工食品は食物繊維と水分量が少ない
ので、ホールフードよりもカロリー密度
が高い(体積あたりのカロリーが高い)
傾向にあります。
 
それゆえに、脳に「もう満腹だよ、
そんなに食べないで!」と言わせる
シグナルを胃が送る前に、何千カロリー
も簡単に食べてしまうのです。
 
さらに、食物繊維が少ない、あるいはゼロ
の加工食品は非常に素早く胃を通過して
しまうので(特に低脂肪の加工食品は)
短時間のうちにまた食べたくなります。
 
ホールフードは加工食品よりも、食物繊維
と水分を多く含んでいるだけでなく、
カロリー密度が低いのです。
 
リンゴ、ブロッコリー、豆類、茹でたポテト
などは、満腹になるまで食べても
それほどカロリーは多くありません。
 
私たちが勧めている低脂肪のプランベース
のホールフードに切り替える場合、減量したい
人であっても、思ってた以上にたくさんの
食べ物を食べる必要があります。
 
体重を維持したい人なら、高脂肪の加工食品
の食事の時の量の、2,3倍以上の量を食べ
なければいけないことになります。
 
この後は食べていい食品と注意すべき食品
の長いリストなので、翻訳はここまでにします。


 

 

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