S&P500種、騰勢回復の道のりは平たんではない-VIXが示唆(24年8月8日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)
原題:VIX Flashes Bumpy Road in S&P’s Run Back to Highs: Taking Stock(抜粋)
記事(Jess Menton)
(1)要点
- VIX急上昇、株価は回復前に短期変動繰り返す-スラッシャー氏
- S&P500種、最初の利下げ後に平均年5%上昇-ストーバル氏
(2)市場のボラティリティーが急上昇した場合、米国株は今後数週間、さらに値動きが荒くなる可能性が高いということだ。
(3)
S&P500種株価指数のボラティリティー指標<数値が高いほど恐怖感が強い>であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)は、5日に一時65.73まで急上昇。
日中取引ベースで、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)最盛期だった2020年3月以来の高水準を記録した。
VIXは昨年10月を最後に20を下回り続け、S&P500種を今年の大半において、狭いレンジにとどめるのに寄与していた。
(4)
1)(ファイナンシャル・エンハンスメント・グループのテクニカルアナリスト兼ポートフォリオマネジャー、アンドルー・スラッシャー氏)
彼がまとめたデータによると、VIXが2010年と11年、15年、16年、18年、19年、20年に急上昇した際、同株価指数は短期的な大幅変動を繰り返した後で回復した。
2)「しばらくボラティリティーが高止まりするかもしれない」
スラッシャー氏は「ボラティリティーが急上昇した後、株価が短期的な安ど感から持ち直すにつれVIXは通常低下するが、S&P500種は短期的な安値を再度試すことが多く、最終的に底を打つまで軟調に推移する」と説明。
「テクニカルな内部要因は改善しているが、それを維持できるかどうかが問題だ。しばらくボラティリティーが高止まりするかもしれない」と指摘した。
出所:スラッシャー・アナリティクス
(5)
(ストラテガスのETF・テクニカル戦略担当マネージング・ディレクター、トッド・ソーン氏)
VIXは5日の急上昇後は歴史的な高水準にとどまっているが、米経済がリセッション(景気後退)を回避している限り、S&P500種に6カ月先まで強いリターンをもたらしており、1990年以降、このスパンでの平均上昇率は12%を記録している。
(6)「FOMCは9月に利下げに踏み切る構え」
しかしその道のりは平たんではない。
つまり米連邦公開市場委員会(FOMC)が数十年ぶりの積極的な金融引き締めを終えようとする中、米国株は今後数週間から数カ月でさらに乱高下する可能性がある。FOMCは9月に利下げに踏み切る構えだ。
(7)「1980年代後半以降6回の利下げにおいてS&P500は平均して年5%の上昇」
「株の強気相場が終わったわけではない」
FOMCが利下げサイクルを始めようとしているなら、株の強気派は歴史を味方につけることができる。
(CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストーバル氏の算出)
1980年代後半以降6回の利下げサイクルにおいて、S&P500種は最初の利下げ後、平均して年5%の上昇を記録している。しかも上昇率が著しいのは、現在のように景気が順調な時だという。
グラフ S&P500の6か月先の値上がり率とVIXのレベル
(縦軸はS&Pの上昇率 横軸はVIX。赤の縦線は月曜日の最高値)
出所:ストラテガス・セキュリティーズ
原題:VIX Flashes Bumpy Road in S&P’s Run Back to Highs: Taking Stock(抜粋)