山歩きをちょっと本格的に始めたのはサラリーマン2年目くらいの頃。それ以来、ほぼ毎年夏休みは山歩きに行ってます。結婚してからも続いていまして、ドイツへ来てからは本場アルプスへ気軽に行けるのが嬉しいです。しかしそれも30年ほど続くと、行き先選びがそれなりに大変です。

行き先選びに関して自分で勝手に決めたガイドラインは以下の通り。
・高山の景色、アルプスのどこかか、そうでなければピレネーか、ノルウェーか。
・できれば立派な氷河が間近で見られるところ。
・できれば「頂上」に立ちたい。更に欲を言えば3000m以上の。
・でもスキー場などがあまり目に入らない所。
・一般ハイカーでも普通に行ける所、つまり岩登りや氷河歩きがないこと。

ドイツへ来て最初の5年くらいは「地球の歩き方、アルプスの山歩き」が主なネタで、いわゆる有名所をいくつか廻りました。そのうち自分で決めた行き先ガイドラインがだんだんうるさくなり、「地球の、、、」ではネタ切れになりました。それからは会社同僚にお勧め聞いて、自分でもガイドブック買って読んで、、、で行き先考えるのですが、毎年結構悩みます。

今年も行先探しで「Alps 3000m Wanderung」なんかでググっていたら、いくつかの山の記事が出て来るほか、ガイドブックが数多く出てきました。中には「Alps easy 3000m mountains」なんてそのものズバリのタイトルの本もあります。Amazonなどで目次ページあたりをチラ読みして、今回買ったのはこの2冊。



 

 

 

 

目次は山の名前と標高のリスト。色分けは難易度で、青が「易しい」、赤が「中くらい」、黒が「難しい」。この色分けはスキー場のコース案内なんかでもヨーロッバ内共通で使われます。

具体的にどれくらい易しいか~難しいかというと、例えばスイス山岳会なんかがT1~T5で表すスケールを定めていて、ガイドブックやネット上のコース案内なんかでもしばしば使われています。

 

 

 

 

このT1~T5のグレード分けと、青・赤・黒の関係は1:1でもなく、各ガイドブックが想定する読者層によって微妙に違うようでして、この2冊の場合はだいたいT3までが青、T4が赤、T5以上が黒の関係にあります。

岩登り難易度としては、UIAA(国際山岳連盟)が定めたグレード分けがあって、ローマ数字のIからXI+で表します。Iはすでに「手を使う必要がある易しい岩場」で、前述のハイキングルートのグレード分けT4くらいから難易度Iの岩場が登場します。

我が家の場合、だいたいT2~T3の範囲を対象にしていまして、ごく稀に、T3+になっているけどガイドブックの記事や地図の雰囲気で大丈夫そうな感じの時にそういうコースを辿ることもあります。


で、ようやく今年の行先の話。

今年はスイスよりもオーストリアか北イタリア、いわゆるチロル~南チロルの気分でした。一昨年はスイスのヴァリスで、去年はチロルでしたが怪我した直後で大人しい所しか行きませんでしたので。


ガイドブックと地図を睨めっこして選んだメイン行き先は、Suldenspitze (独語)/ Cime di Solda(伊語)、3367m。ドイツ語とイタリア語の両方の名前が地図にも書かれているのは、この場所が旧オーストリア領で今も独伊2言語が公用語になっているボルツァーノ自治県と、昔からイタリアであったロンバルディア州の境界線上にあるからでしょう。

「それは何処?」と訊かれても、あまり有名なところでもないので答え方に困ります。なのでまず全体図からご紹介。

 

 

 

 

まず大雑把には、ミラノ、ヴェネツィア、インスブルックを結ぶ三角形の重心近くと言ってよいでしょうか。もう少し近くにある著名な街として、Davos(ダヴォス)、St. Moritz(サンモリッツ)、Bolzano(ボルツァーノ)の3カ所に目印を付けました。もっとも、これらの街から滞在地まで、車でざっと2~3時間のところ。いずれも峠越えの山道経由になりますので。

山地の名前としては「Oltleralpen」(独語)または「Alpi dell'Ortles」(伊語)というそうですが、普通知りませんよね。主稜線から少し北側に外れた所にあるOltler(3905m)が最高峰なのでその名前が付いているのでしょう。

この辺り一帯は「ステルヴィオ(Stelvio)国立公園」でもあります。Stelvio峠(2757m)は一般車も通れる立派な舗装道路としてはヨーロッパで最高地点でしょうか? 自転車やってる人、自動2輪乗ってる人たちの間ではちょっと有名な峠です。

次に部分拡大図、その1。

 

 

 

 

Oltler(3905m)以下、3500m以上の山がいくつもあり、かなり規模の大きな氷河を抱えているらしいことが地図でも分かります。

主稜線上の3000m峰のほとんどは岩登りや氷河歩きを経て登る山屋さんの世界ですが、一般ルートで行ける3000m峰もいくつかあって、そのうちの最高標高でかつ広々とした氷河を目の前に見ることが出来そうなのがこのSuldenspitze。

現地には6泊、中5日の日程での滞在です。そのうち天気が一番良さそうな日に早起きしてSuldenspitzeを目指し、他の日は周辺の山へ行ったり近くの街へ行ったり、というのが大さっぱな計画。

結果的には、現地初日と3日目に別の山へ登り、4日目にSuldenspitzeに登りました。2日目は天気イマイチにつき山以外、更に4日目で山歩きには十分満足したので5日目も山以外。この辺についても追々書きますね。


ってことで、山歩き紀行が始まる前にごちゃごちゃいっぱい書いてしまいました。これだけじゃつまんないでしょうから、フライングになりますが、メインイベントのSuldenspitzeに登った日の写真をチラ見せしますね。
 

 

 

 

まずは朝のアプローチ。一般車道終点Pから1時間ほど歩いたところから、目指すSuldenspitze方面。

左手の立派な山はこの山域で2番目に高い、Königspitze(独)/ Gran Zebru(伊)、3851m。目指すSuldenspitzeは画面右端近く、ほとんど頂上には見えないなだらかなピーク。だから一般ルートで登れるわけですね。

 

 

 

 

Suldenspitze頂上での記念写真。後方はZufallspitze(独)/ Cime Cevedale(伊)、3769m。
その頂上直下から続く氷河がなんとも広大です。この写真ではちょっと感じが伝わらないけど。


以上、準備編+αでした。

 

 

旅行3日目の8月8日(月)はめぼしいオルガンの演奏機会が見つかりませんでした。

歴史的オルガンに限定しなければオルガン聴く機会はあるのですが、そういうのは旅行先でなくてもあるわけで、それよりはハンブルクならではの観光を優先しました。これはこれで、とっても面白かったので紹介しようと思いますが、まずはオルガンの方を書ききってしまおうかなと。

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第4日、8月9日(火)

この日はハンブルクの街の中心部にあるSt.Jacobi教会のオルガンを聴きに行きます。

 

 

大都会ハンブルクの街の中心ですから第二次大戦の空襲をもろに受け、この教会も激しく破壊されたので、今ある建物の大部分は戦後1960年頃に再建したものです。概ね1700年頃の形に再建しましたが、塔の屋根の部分だけはモダンなデザインで新造されました。言っちゃ悪いが、私の眼というか脳ミソには、なんかちょっとしっくりこないですね。
 

以下のオルガンに関する情報はWiki独語ページからの要旨抜粋です。

教会には大きなオルガンが2つあり、一つはシュニットガーがほぼ新造した楽器を修復再現したもの。

 

 

 

 

https://de.wikipedia.org/wiki/Orgel_der_Hauptkirche_Sankt_Jacobi_(Hamburg)

「ほぼ新造」と書いたのは、それ以前にあったオルガンの一部の部品は使い廻したらしいからです。シュニットガーはこの楽器を1693年にひとまず完成させ、更に後年に拡張して、4段鍵盤60ストップ、パイプ総本数約4000本となりました。当時ヨーロッパの北半分では最大のオルガンであったと。

その後もオルガンは拡張や改造を重ねたが、第一次大戦後にまず一度「オリジナルに近い形に戻す」修復が行われ、第二次大戦で破壊されたあとの修復を経て、1990年代にさらに徹底して「1762年時点の形に戻す」修復が行われました。この際に調律も当時のものに近い調律に戻されました。

先に書いた通り、教会は第二次大戦の空襲で激しく破壊されたのですが、オルガンの構成品のうち音色に一番影響があるとされる主要なパイプと「風箱」(パイプを立てる箱)は空襲前に疎開してあったので、シュニットガー作のオリジナルが今のオルガンにも使用されています。

オルガンの「入れ物」や演奏台(鍵盤やペダルなど)は疎開しなかったので破壊され、戦後の修復時に「1762年当時の姿に出来るだけ近く」復元されました。


もう一つのオルガンは1960年に新造、更に1970年に拡張されたモダンオルガン。

 

 

 

https://de.wikipedia.org/wiki/Hauptkirche_Sankt_Jacobi_(Hamburg)

シュニットガーオルガンは17世紀の姿に再現修復されたので、オルガンにとってやはり重要なロマン派以降の曲の演奏には適しません。でもこの場所ではそういう音楽も演奏したいということで、ロマン派以降の曲の演奏を念頭に置いたモダンなオルガンが新造されました。

教会堂の正面入り口上の「オルガンの場所」にはシュニットガーオルガンがあるので、この2つ目のオルガンは側方に設置されています。外から見える部分にはそんなに長いパイプもなく、ぱっと見「サブオルガン」みたいに見えるのですが、ストップ表によると4段鍵盤66ストップと、シュニットガーオルガンよりもストップ数が多いです。

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さてこの日、ここのオルガンを聴く機会が2回ありました。

1回目はMittagsandacht(昼の黙祷)の時間。毎週火曜日12:30~13:00にこの黙祷が行われ、その中で短いオルガン演奏が4回あります。
 

 

 

 

 

最初の前奏は、知らない曲ですがバッハよりずっと前の雰囲気。あとで曲目紹介があり、スヴェーリンク(Jan Pieterszoon Sweelinck、1562~1621)の曲とのことでした。

中間の2回は即興演奏?(紹介なし)

最後の後奏は再度古典で、曲目紹介があったのですが聞き逃しました。

コンサートではなくて礼拝(黙祷)で、集まった人も2~30人くらいだったでしょうか。

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2回目は夜20時からのコンサート。

この教会では7月と8月は毎週火曜日の20時からオルガンのコンサートをやっています。更に言いますと、これは市内中心部の6つの大きな教会でやっている「Hamburger Orgelsommer」というイヴェントの一環でして、この間は毎週火・水・金~日の5日はどこかでオルガンのコンサートをやっています。(土曜日は2箇所で!)

 



ただオリジナルに近い状態の歴史的楽器があるのはこのSt.Jacobi教会だけで、他のはモダンな楽器か、第二次大戦で破壊された歴史的楽器の復元(オリジナル部品も若干残って使われている)です。

この日8月8日(火)のSt.Jacobi教会のコンサートのプログラムはこれ。

 

 

前半はバロックの曲のシュニットガーオルガンによる演奏、後半は20世紀の曲のモダンオルガンによる演奏です。前者を目当てに来ている我々には全部バロックでシュニットガーオルガンでの演奏だと嬉しいのですが、、、主催者としては両方聴かせたいし、演奏者の方も両方弾きたい人が多いのでしょう。

なおバッハの命日である7月28日の特別コンサートは、オールバッハプログラムが演奏されたようです。

日曜日に聴いた2つのシュニットガーオルガンの響きにも十分に感激しましたが、大きな教会堂で聴くシュニットガーの大オルガンの響きはひときわ印象強かったです。


コンサート終演は21時ちょい過ぎ。夏至の頃なら昼間みたいに明るい時間ですが、8月となるともう十分夕方の感じです。




、、、というところで、プチ旅行のメイン目的は終了。

翌日はもう帰宅ですが、その途中にもう一件、オルガンとは関係ないアトラクション見物を予定しています。月曜日の番外編ともども、そのうち紹介しますね。

 

 

世間では夏休みの真っ最中。我が家も例年であれば山歩き旅行に行く時期なんですが、少し前に私が自転車でコケて怪我をしまして、山歩きはもう少し我慢した方がよさげ。

ですがウチの青年の学校も休みでヒマな時期、ウチでだらだらしているのも勿体ないです。何しようかとちょっと考えたところでひらめきました。「そうだ、シュニットガーオルガン聴きに北ドイツへプチ旅行しよう!」

クラシック音楽聴き始めたころからバロック音楽に興味があり、更に15年ほど前にはオルガンに触れる機会もありました。その後中断してしまったのが残念ですが。

その頃からCDの解説やらなんやらで目にして覚えたのが2人のオルガン製作者、Gottfried Silbermann(G.ジルバーマン)とArb Schnitger(A.シュニットガー)です。ドイツ語圏のバロック時代のオルガンではこの2つの名前がとりわけ有名らしいと。

G.ジルバーマンは主に中部ドイツで活躍した人で、以前仕事でドレスデンに足しげく通っていたときにドレスデンとその近郊にあるジルバーマンオルガンを聴く機会は結構ありました。

他方のA.シュニットガーはジルバーマンより少し前の人で、北ドイツ~北オランダで活躍した人。残っている楽器の多くもこの地方にあります。

解説本などで読む情報では、ジルバーマンの音は比較的地味でシュニットガーのは華やかだとか、バッハはジルバーマンのオルガンに触れる機会が多かったがホントはシュニットガーの音が好きだったとか。

北ドイツもオランダも、仕事や旅行で滞在する機会はほとんどなく、シュニットガーオルガンを聴く機会がありませんでした。じゃあそれ目的に旅行しようかってことをだいぶ前から時々思ってはいましたが、夏休みはいつも自転車イベントと山歩きで忙しくて、シュニットガーオルガンの旅はこれまで未実現。

それが先に書いた通り、この夏はどちらもお預けになったので、急遽オルガンの旅のチャンスが到来。とはいえ8月中旬からはなんやかんや予定があるので、数日の間にドタバタっと主な行き先と旅行日程を決めて、8月6日~10日の4泊5日でプチ旅行と相成りました。

行き先は聴きたいオルガンとそれらの演奏機会日程と、その他の便を考えてハンブルクに。

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第1日は移動のあと、夕方からハンブルク市内プチ観光。これの写真をフェイスブックで紹介しました。

続いて第2日の写真を紹介しようと思って写真を選んで解説書き始めたのですが、なんかごじゃごじゃ書きたくなってきました。じゃあ、書いてもすぐ後ろに隠れてしまうフェイスブックだけじゃなくて、あとからでも見つけやすいブログにも書いておことかと。

ってわけで、旅行第2日からの記録となります。ま、第1日も後で書き足すかも。

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第2日、8月7日(日)

この日は旅行の主目的の「シュニットガーのオルガンを聴きに行く」が2件あります。

シュニットガーのオルガン、どの場所にどんな楽器があるかというのは、ググって出てきた中からこのサイトを主に参考にしました。

http://www.orgel-owl.de/as/ind_aska.htm

どこでいつどんな演奏会もしくは礼拝があるかというのは、各教会やその町の情報サイトで。

そうして見つけた最初の1件が、Stadeという街のSt.Cosmae教会の日曜礼拝。ハンブルクの西の方、車で1時間ちょっとのところにあります。まずはこの教会と楽器から。

 

 

 

 

 

 

 

オルガンは3段鍵盤42ストップの立派な楽器なんですが、入れ物である教会堂はそんなに大きくなくて、ちょっと無理やり押し込んだ雰囲気も。建物が小さいので残響も短めで、その辺がちょっと残念と言えば残念。

解説: http://www.orgel-owl.de/as/as_stad.htm

Stadeの街は行くまで全然知らなかったのですが、昔はそれなりに立派なハンザ都市だったようで地図ではっきりわかるお堀跡に囲まれた旧市街がしっかり残っていて、オルガン目当てじゃなくてもハンブルク辺りから日帰り観光に来る人が結構いるような街でした。

 

 

 

 

 

 

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次に回ったのはStadeから更に西に車で1時間ほど行ったところにある、Lüdingworthという小さな村にぽつんと建つSt.Jabobi教会。

 

 

 

 

 

 

ここのオルガンの基本部分はシュニットガーの作ではなく、シュニットガーより一世代前のAntonius Wildeという人が作ったもので、これに後年シュニットガーが補修と増設をしたと。

 

 

 

 

 

解説: http://www.orgel-owl.de/as/as_lued.htm

ペダルの長いパイプ(16フィートの金属開管)がないのでこじんまりとした感じに見えますが、3段鍵盤35ストップと結構な規模です。

残念ながら旅行期間中に演奏される機会がなかったので「見るだけ」の訪問でしたが、教会堂の内装ともども観る価値十分、「行ってよかった」と思いました。

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この日の3件目はハンブルク近郊まで戻ったところ、Neuenfeldeという街のSt.Pankratius教会。

 

 

 




これも現地で案内表示見て初めて知ったのですが、シュニットガーは71年の生涯の後半生をこの街で過ごし、そのお墓はまさにこの教会にありました。

 



 

 

この教会&オルガンでは、4月から12月まで毎月一回オルガンコンサートをやっています。そのうちの一つが8月7日でして、我々の旅行日程を決めた一番の理由でもありました。

2段鍵盤34ストップと、規模としては先に見たLüdingworthのと同じくらいですが、16フィートのPrinzipal管があるので堂々とした見栄えです。

 

 

 



 

解説: http://www.orgel-owl.de/as/as_neuf.htm

教会堂の大きさも先の二つの教会よりかなり大きく、オルガンの規模とのバランスも良さげです。そういう先入観も手伝ったとは思いますが、実際に聴いた響きもとても自然で「これがシュニットガーの音色か」と一人勝手に感激していました。


、、、というわけで、なかなか充実した一日となりました。


続きは明日書けるかな?

 

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この記事は、自転車仲間でこれから自転車買う人への情報のつもりで書きました。
この仲間内でのやりとりはFBを使っているのですが、FBだと古い記事はどんどん後に隠れて後から探すのが面倒になります。なので自分のブログ内にも書いておくことにしました。
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これからロード自転車を買おうって方、買い替えようって方で、自分にあったサイズがよく分からない方に。

私も所詮素人で経験も限られるのでたいしたことは書いていません。よくご存じの方は無視してください。(もくくはコメントなり異論なりいただけると尚面白くなるかも。)

またこの話題に関しては、いろんな意見があるし、その時々の流行りもあるようですね。以下は主に私がロードの1号機、2号機買った頃(2009年~2011年)頃にネット記事等でいろいろ読んだのと、その後の自分の感覚に基づいて書いています。3号機(2019年)はこの感覚で試乗しないで注文しちゃいまして、まあそんなに外れてなかったと思っています。


【その1】 まず、ジオメトリ(Geometry)表を見ましょう。

メーカーによって、サイズをS、M、Lで表示したり、50㎝、52㎝といった表示をしたりしています。ですがこれに共通の規格はないので、一言でいって同じメーカーの同じモデルでの相対比較以外にはあまり当てになりません。必ずジオメトリ表を見ましょう。まともなメーカなら必ず表示しています。

添付図は私の2号機(Stevens Aspin, 2011年)の例です。私のは52㎝なのでそこに印が付いています。

 


いっぱい数字が出ていますが、フレームサイズを一番よく代表するのがこの中の「C」だという意見が多く、私もそう思います。日本語では「トップチューブの水平換算長」と呼ぶことが多いようです。私の身長167㎝に対して、トップチューブの水平換算長537㎜のフレームが良いのかどうか、これはまた別の話です。一般に言われているのからすると「大きすぎ」なんですが、これについてはまた後で。

(注)「A」、「B」、「C」等の文字の割り当ては共通規格ではありません。(わりと共通傾向ありますが)
かならずそのメーカーのジオメトリ表と図と名称で確認してください。
フルネームで呼ぶ名称はほぼ共通定義です。

フレームサイズをcm表示する場合は、シートチューブ長(この例ではA寸法)を目安にするのが歴史的経緯で多いようですが、あまり気にしないほうが良いと思います。サドルの高さは、特別な上級モデルを別にすると自由度が比較的高いです。また、トップチューブの傾き加減でA寸法はなんとでもなってしまいます。

これに対して、先のC寸法は、サドル~ハンドルの距離の主要因で、上半身の長さ+腕の長さに応じて、適切なC寸法がほぼ決まるという説明に説得力があると思いました。サドル~ハンドルの距離についても、サドル位置調整(+/-10mm程度)とステム選び(70~110mm程度)で調整可能ですが、極端な前サドルや後サドル、フレームサイズに比べて客端に短い/長いステムは、見た印象あまりカッコ良くないですし、たぶんそれなりに不具合もあるかと想像します。

次に、私が要チェックと思っているのが「この例でのO寸法」です。英語ではStanover Heightと呼んでいます。自転車を跨ぐときのトップチューブの高さです。日本語で何と言うんだろう?
この寸法は、適切なサイズを選ぶための寸法というよりは、その自転車に「乗れる、乗れない」の重要な目安の一つかと思います。短足体形の日本人、信号等で止まっった時はサドルの前に降りる人が多いと思います(私のその一人)が、その時に片足が地面にぺたんと着かないとちょっと辛いです。
脚が長い人や、一般的に言われる適正サイズに乗る分には問題になることは少ないと思いますが、ちょっと大きめサイズに乗りたいとき、女性が男性用モデルに乗りたいときなど要注意点だと思います。とりわけ、TTバイク、アエロモデルはトップチューブがほぼ水平でこの「O寸法」が高めのが多いです。

もう一つ比較的重要だと思っているのが「この例でのH寸法」です。ヘッドチューブ長と言います。英語も同じです。これが短いと前傾姿勢が強くなりレース等でガンガン走る向き。長いと前傾姿勢が緩めになり長時間ライドでラクだと言われます。(異論もあります)
ヘッドチューブ長の短い自転車でも、フォークの軸が長めに残っていてスペーサーが入っていれば、ハンドル高さはスペーサーの分だけ調整可能です。ヘッドチューブ長が長めの自転車では、大抵の場合スペーサーほとんど無しの状態でフォーク軸をカットしてあると思うので調整代はほとんど~全く無いことが多いと思います。

適正サイズの話の前に、ジオメトリのことをごちゃごちゃ書いたのには訳があります。

一般的に、自転車選びはしっかり試乗して決めましょうと言われます。ショップに在庫が豊富にあっていろいろ試乗できればそれが正論でしょう。ですがこの2年ほど自転車の品薄が続いています。ネットで在庫探して試乗しないでポチることも避けられないと思います。

そんなとき、とりあえず自分が今乗っている自転車のジオメトリと、いいなと思った自転車のジオメトリを比べることで、試乗しなくてもサイズ感覚がだいたいわかるかな、脚が着くか着かないもほぼ分かるかなと思います。自分のロード自転車をまだ持っていない人でも、周囲の人のを試乗させてもらってそのジトメトリを確認しておけば、自分の自転車のサイズ選びに結構参考になるかなとも。


【その2】 次に、適正サイズについて。

結論から言ってしまうと、これはもう人それぞれではないかと。ただ、各メーカーのサイトにある目安は、それなりに目安になると思います。

私の場合、身長から推定されるベストサイズより1サイズ大きいのに乗っています。実は1号機はショップのお勧めに従って公称50㎝のにしまして、最初はそれでもハンドル遠いと感じたのですが、そのうち慣れて、更に「もう少しハンドル遠くてもいいな」と思い始めました。

2年後に2号機買ったのはグレードアップではなくて、息子も大人用自転車乗れる体格になったので、1号機を息子用ということにして、同グレードの2号機を買いまして、その時は同じメーカーの52cmにしました。

1サイズ上にしたもう一つの理由が「見た目」でして、この頃はまだ「エンデュランス系モデル」という概念がまだあまりなくて、ロードは基本的にハンドルが低いレース系のジオメトリでした。それで公称50㎝のフレームだとヘッドチューブが極端に短くて、見た目あまりカッコ良くないんですね。実はこっちの理由が大きかったかも。

その後「エンデュランス系モデル」というのが普及して、これらはヘッドチューブ長が長めです。更にレースモデルでもヘッドチューブが極端に短いのはあまり見なくなりました。なので、今買うとしたらまた違うサイズ選ぶかもしれません。

2019年に3号機、初めてのカーボン車を買う際に少しだけ考えましたが、結局同メーカのやはり52㎝にしました。モデルが違うのでジオメトリは微妙に違います。この時点では歳のせいか強い前傾姿勢を窮屈に思うようになったのと、走り方の方もレース気分でガンガン走るより、ツーリング気分のロングライドの方が趣味に合っているかなと。

この自転車はセミオーダー式でして、一部部品は複数の選択肢から選ぶことができました。そこでステムをカーボンにしたくて、そうすると選択範囲での最短が100㎜になってしまいました。(1号機、2号機は完成車出来合いで90㎜) その分サドルをかなり前に出して乗っていましてって、見た目ちょっと変な感じしないでもありませんが、ま、とりあえずそのまま乗っています。


【その3】 最後に、自転車選びで一番大事だと思うこと。

サイズが全然合わないのはダメですが、サイズと機能と予算だけで決めると後悔することもあります。

私の場合、デザイン(フレームの形)と色に結構こだわっています。しょせん趣味、遊びの世界なので、いくら機能的によくても、見た目が好きになれないモノはずっと使う気にはなれないなと。(*)なので3回ともそれなりに時間かけて探しましたが、一応気に入ったものを見つけることが出来ました。で、たまたまそれが全部同じメーカーだったわけですが、まあそのメーカーのデザインの方向ってのが自分の好みに近かったのでしょう。

(*)余談ですが、カメラも作っている会社に勤めているので、時々カメラ選びの相談を受けます。私のいい草は、
「ニコンもキャノンも、機能性能的には優劣つけがたいので、デザインの気に入ったのにするといいですよ」です。

、、、てなところが、素人の私見に基づくご案内と経験談でした。少しでもお役に立てば。

最初にも書きましたが、コメント、異論など大歓迎です。

昨晩、元同僚と、現同僚だけど別の地方に居るので年に1~2度しか会わない同僚と、3人で会いました。行った先は元同僚が住むラインガウ(Rheingau)というワイン産地の、ラウエンタール(Rauenthal)というブドウ畑の丘の上の小さな街。私と現同僚は泊りがけで。
元同僚が案内してくれたレストランで、ちょうど我々が座ったテーブルの脇に素敵な写真がありました。



この写真はまさにラウエンタールのブドウ畑を一望している写真でして、実は我が家にとって少し意味がある場所だったりして、ちょくちょく訪れるのでおなじみの景色でもあります。
おなじみの景色なのですが、見慣れた景色とアングルが違います。普通に行くと谷間の道から入って行くのでブドウ畑を見上げるアングルです。この写真、どこから撮ったのかなぁ、というのが気になります。
今朝ホテルをチェックアウトした後、ちょっと探してみることにしました。いくつかの目印の位置関係と角度を、スマホ地図と見比べるとだいだいの位置は想像できます。あとは現地で元の写真(の写真)と実際の景色を見比べて、、、



ほぼ同じアングルの写真が撮れました。でも、家へ帰って大きなモニタで見比べたら、少しずれているのに気がつきました。たぶん数メートルの違いではないかと。リベンジに行くかな。。。