山歩きをちょっと本格的に始めたのはサラリーマン2年目くらいの頃。それ以来、ほぼ毎年夏休みは山歩きに行ってます。結婚してからも続いていまして、ドイツへ来てからは本場アルプスへ気軽に行けるのが嬉しいです。しかしそれも30年ほど続くと、行き先選びがそれなりに大変です。
行き先選びに関して自分で勝手に決めたガイドラインは以下の通り。
・高山の景色、アルプスのどこかか、そうでなければピレネーか、ノルウェーか。
・できれば立派な氷河が間近で見られるところ。
・できれば「頂上」に立ちたい。更に欲を言えば3000m以上の。
・でもスキー場などがあまり目に入らない所。
・一般ハイカーでも普通に行ける所、つまり岩登りや氷河歩きがないこと。
ドイツへ来て最初の5年くらいは「地球の歩き方、アルプスの山歩き」が主なネタで、いわゆる有名所をいくつか廻りました。そのうち自分で決めた行き先ガイドラインがだんだんうるさくなり、「地球の、、、」ではネタ切れになりました。それからは会社同僚にお勧め聞いて、自分でもガイドブック買って読んで、、、で行き先考えるのですが、毎年結構悩みます。
今年も行先探しで「Alps 3000m Wanderung」なんかでググっていたら、いくつかの山の記事が出て来るほか、ガイドブックが数多く出てきました。中には「Alps easy 3000m mountains」なんてそのものズバリのタイトルの本もあります。Amazonなどで目次ページあたりをチラ読みして、今回買ったのはこの2冊。
目次は山の名前と標高のリスト。色分けは難易度で、青が「易しい」、赤が「中くらい」、黒が「難しい」。この色分けはスキー場のコース案内なんかでもヨーロッバ内共通で使われます。
具体的にどれくらい易しいか~難しいかというと、例えばスイス山岳会なんかがT1~T5で表すスケールを定めていて、ガイドブックやネット上のコース案内なんかでもしばしば使われています。
このT1~T5のグレード分けと、青・赤・黒の関係は1:1でもなく、各ガイドブックが想定する読者層によって微妙に違うようでして、この2冊の場合はだいたいT3までが青、T4が赤、T5以上が黒の関係にあります。
岩登り難易度としては、UIAA(国際山岳連盟)が定めたグレード分けがあって、ローマ数字のIからXI+で表します。Iはすでに「手を使う必要がある易しい岩場」で、前述のハイキングルートのグレード分けT4くらいから難易度Iの岩場が登場します。
我が家の場合、だいたいT2~T3の範囲を対象にしていまして、ごく稀に、T3+になっているけどガイドブックの記事や地図の雰囲気で大丈夫そうな感じの時にそういうコースを辿ることもあります。
で、ようやく今年の行先の話。
今年はスイスよりもオーストリアか北イタリア、いわゆるチロル~南チロルの気分でした。一昨年はスイスのヴァリスで、去年はチロルでしたが怪我した直後で大人しい所しか行きませんでしたので。
ガイドブックと地図を睨めっこして選んだメイン行き先は、Suldenspitze (独語)/ Cime di Solda(伊語)、3367m。ドイツ語とイタリア語の両方の名前が地図にも書かれているのは、この場所が旧オーストリア領で今も独伊2言語が公用語になっているボルツァーノ自治県と、昔からイタリアであったロンバルディア州の境界線上にあるからでしょう。
「それは何処?」と訊かれても、あまり有名なところでもないので答え方に困ります。なのでまず全体図からご紹介。
まず大雑把には、ミラノ、ヴェネツィア、インスブルックを結ぶ三角形の重心近くと言ってよいでしょうか。もう少し近くにある著名な街として、Davos(ダヴォス)、St. Moritz(サンモリッツ)、Bolzano(ボルツァーノ)の3カ所に目印を付けました。もっとも、これらの街から滞在地まで、車でざっと2~3時間のところ。いずれも峠越えの山道経由になりますので。
山地の名前としては「Oltleralpen」(独語)または「Alpi dell'Ortles」(伊語)というそうですが、普通知りませんよね。主稜線から少し北側に外れた所にあるOltler(3905m)が最高峰なのでその名前が付いているのでしょう。
この辺り一帯は「ステルヴィオ(Stelvio)国立公園」でもあります。Stelvio峠(2757m)は一般車も通れる立派な舗装道路としてはヨーロッパで最高地点でしょうか? 自転車やってる人、自動2輪乗ってる人たちの間ではちょっと有名な峠です。
次に部分拡大図、その1。
Oltler(3905m)以下、3500m以上の山がいくつもあり、かなり規模の大きな氷河を抱えているらしいことが地図でも分かります。
主稜線上の3000m峰のほとんどは岩登りや氷河歩きを経て登る山屋さんの世界ですが、一般ルートで行ける3000m峰もいくつかあって、そのうちの最高標高でかつ広々とした氷河を目の前に見ることが出来そうなのがこのSuldenspitze。
現地には6泊、中5日の日程での滞在です。そのうち天気が一番良さそうな日に早起きしてSuldenspitzeを目指し、他の日は周辺の山へ行ったり近くの街へ行ったり、というのが大さっぱな計画。
結果的には、現地初日と3日目に別の山へ登り、4日目にSuldenspitzeに登りました。2日目は天気イマイチにつき山以外、更に4日目で山歩きには十分満足したので5日目も山以外。この辺についても追々書きますね。
ってことで、山歩き紀行が始まる前にごちゃごちゃいっぱい書いてしまいました。これだけじゃつまんないでしょうから、フライングになりますが、メインイベントのSuldenspitzeに登った日の写真をチラ見せしますね。
まずは朝のアプローチ。一般車道終点Pから1時間ほど歩いたところから、目指すSuldenspitze方面。
左手の立派な山はこの山域で2番目に高い、Königspitze(独)/ Gran Zebru(伊)、3851m。目指すSuldenspitzeは画面右端近く、ほとんど頂上には見えないなだらかなピーク。だから一般ルートで登れるわけですね。
Suldenspitze頂上での記念写真。後方はZufallspitze(独)/ Cime Cevedale(伊)、3769m。
その頂上直下から続く氷河がなんとも広大です。この写真ではちょっと感じが伝わらないけど。
以上、準備編+αでした。