旅行3日目の8月8日(月)はめぼしいオルガンの演奏機会が見つかりませんでした。

歴史的オルガンに限定しなければオルガン聴く機会はあるのですが、そういうのは旅行先でなくてもあるわけで、それよりはハンブルクならではの観光を優先しました。これはこれで、とっても面白かったので紹介しようと思いますが、まずはオルガンの方を書ききってしまおうかなと。

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第4日、8月9日(火)

この日はハンブルクの街の中心部にあるSt.Jacobi教会のオルガンを聴きに行きます。

 

 

大都会ハンブルクの街の中心ですから第二次大戦の空襲をもろに受け、この教会も激しく破壊されたので、今ある建物の大部分は戦後1960年頃に再建したものです。概ね1700年頃の形に再建しましたが、塔の屋根の部分だけはモダンなデザインで新造されました。言っちゃ悪いが、私の眼というか脳ミソには、なんかちょっとしっくりこないですね。
 

以下のオルガンに関する情報はWiki独語ページからの要旨抜粋です。

教会には大きなオルガンが2つあり、一つはシュニットガーがほぼ新造した楽器を修復再現したもの。

 

 

 

 

https://de.wikipedia.org/wiki/Orgel_der_Hauptkirche_Sankt_Jacobi_(Hamburg)

「ほぼ新造」と書いたのは、それ以前にあったオルガンの一部の部品は使い廻したらしいからです。シュニットガーはこの楽器を1693年にひとまず完成させ、更に後年に拡張して、4段鍵盤60ストップ、パイプ総本数約4000本となりました。当時ヨーロッパの北半分では最大のオルガンであったと。

その後もオルガンは拡張や改造を重ねたが、第一次大戦後にまず一度「オリジナルに近い形に戻す」修復が行われ、第二次大戦で破壊されたあとの修復を経て、1990年代にさらに徹底して「1762年時点の形に戻す」修復が行われました。この際に調律も当時のものに近い調律に戻されました。

先に書いた通り、教会は第二次大戦の空襲で激しく破壊されたのですが、オルガンの構成品のうち音色に一番影響があるとされる主要なパイプと「風箱」(パイプを立てる箱)は空襲前に疎開してあったので、シュニットガー作のオリジナルが今のオルガンにも使用されています。

オルガンの「入れ物」や演奏台(鍵盤やペダルなど)は疎開しなかったので破壊され、戦後の修復時に「1762年当時の姿に出来るだけ近く」復元されました。


もう一つのオルガンは1960年に新造、更に1970年に拡張されたモダンオルガン。

 

 

 

https://de.wikipedia.org/wiki/Hauptkirche_Sankt_Jacobi_(Hamburg)

シュニットガーオルガンは17世紀の姿に再現修復されたので、オルガンにとってやはり重要なロマン派以降の曲の演奏には適しません。でもこの場所ではそういう音楽も演奏したいということで、ロマン派以降の曲の演奏を念頭に置いたモダンなオルガンが新造されました。

教会堂の正面入り口上の「オルガンの場所」にはシュニットガーオルガンがあるので、この2つ目のオルガンは側方に設置されています。外から見える部分にはそんなに長いパイプもなく、ぱっと見「サブオルガン」みたいに見えるのですが、ストップ表によると4段鍵盤66ストップと、シュニットガーオルガンよりもストップ数が多いです。

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さてこの日、ここのオルガンを聴く機会が2回ありました。

1回目はMittagsandacht(昼の黙祷)の時間。毎週火曜日12:30~13:00にこの黙祷が行われ、その中で短いオルガン演奏が4回あります。
 

 

 

 

 

最初の前奏は、知らない曲ですがバッハよりずっと前の雰囲気。あとで曲目紹介があり、スヴェーリンク(Jan Pieterszoon Sweelinck、1562~1621)の曲とのことでした。

中間の2回は即興演奏?(紹介なし)

最後の後奏は再度古典で、曲目紹介があったのですが聞き逃しました。

コンサートではなくて礼拝(黙祷)で、集まった人も2~30人くらいだったでしょうか。

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2回目は夜20時からのコンサート。

この教会では7月と8月は毎週火曜日の20時からオルガンのコンサートをやっています。更に言いますと、これは市内中心部の6つの大きな教会でやっている「Hamburger Orgelsommer」というイヴェントの一環でして、この間は毎週火・水・金~日の5日はどこかでオルガンのコンサートをやっています。(土曜日は2箇所で!)

 



ただオリジナルに近い状態の歴史的楽器があるのはこのSt.Jacobi教会だけで、他のはモダンな楽器か、第二次大戦で破壊された歴史的楽器の復元(オリジナル部品も若干残って使われている)です。

この日8月8日(火)のSt.Jacobi教会のコンサートのプログラムはこれ。

 

 

前半はバロックの曲のシュニットガーオルガンによる演奏、後半は20世紀の曲のモダンオルガンによる演奏です。前者を目当てに来ている我々には全部バロックでシュニットガーオルガンでの演奏だと嬉しいのですが、、、主催者としては両方聴かせたいし、演奏者の方も両方弾きたい人が多いのでしょう。

なおバッハの命日である7月28日の特別コンサートは、オールバッハプログラムが演奏されたようです。

日曜日に聴いた2つのシュニットガーオルガンの響きにも十分に感激しましたが、大きな教会堂で聴くシュニットガーの大オルガンの響きはひときわ印象強かったです。


コンサート終演は21時ちょい過ぎ。夏至の頃なら昼間みたいに明るい時間ですが、8月となるともう十分夕方の感じです。




、、、というところで、プチ旅行のメイン目的は終了。

翌日はもう帰宅ですが、その途中にもう一件、オルガンとは関係ないアトラクション見物を予定しています。月曜日の番外編ともども、そのうち紹介しますね。