ドラムの赤塚クン提案の“お歌の会でもアンケートをとる”

さすが教育実習生だよ。
考えることが違う。

おかげで参考になりまくっちゃって涙が出るよ。

堀畑クンがアンケートを回収している時、僕の十八番のスピッツのチェリー(これしか歌えない)を歌ったら

「お前、そこそこ歌上手いなぁ。」

って綺麗なおねいさんに誉められたんだ。

初めてだよ。
歌上手いって言われたの。
嬉しくて泣いちゃったよ。
山口百恵のラストコンサートばりに泣いちゃったよ。


いつもいつもお歌の会に来てくれる方々、ホントにありがとね。

嬉しくて嬉しくてお股がウズウズするんだ。
誰かこんな僕を殺してくれ。

P.S.
24日のフィッツオールライブで出逢ったりえちゃん。
お友達のみほちゃんもドローウィンを気に入ってくれたらしく嬉しいよ。

最前列でノリノリで手拍子をしてくれたあの御恩はエロ漫画で返すつもりだよ。
CD買ってくれてありがと。


僕に
「井上陽水歌ってくれ」
って言ったおっちゃん。

夢の中へを歌ったんだけどなぁ。



最初から最後まで真剣に見てくれたおねぇさんへ

正直アンケートを見るのが怖かったんだ。

辛口コメントかなぁと思ったけど
違った。

また見に来てよ。
ぜひまた逢いたいよ。



BBSにカキコしてくれたみなちゃん。

忘れるわけないよ。
書き込みを見たとき僕と堀畑クンは飛び跳ねて喜んだんだ。

土曜日待ってるよ。



あぁ
3日のライブがはやくやりたいよ。

今までにないドローウィンの姿が見れると思うから期待していてね。

涼宮ハルヒのエンドレスエイトが終わることを願いながら、眠りにつくよ。
「こちらです。」

と案内された場所は、お世辞にも広いと言えない薄暗い部屋だった。
ルームプレートに資料室と書かれている。

「アキトさん、きっと驚くわよ。」

悪戯に笑う彼女は俺にそう宣言した。

すでに俺はあなたの金縛り術で度肝を抜かされてますけどね。
…コリン星人は全員、あの術使えるのかな?

そんなことを考えていると

「では、いきます。」

武田は合図をした後、部屋の入り口付近にある電気のスイッチをパチンと入れた。

「!?」

彼女の予想通り、俺はかなり仰天した。

確か俺がいた部屋は四畳半ほどの狭い部屋だったはずなのに…
なんだここは…?

俺の目の前に広がる光景は、床壁が真っ白に塗り尽くされた、先ほどの資料室の約50倍は広い近未来的な機械がたくさん設置された研究室であった。

パソコンに向かう白衣を着た研究員は目測で100人近くはいる。

「嬢たちが採集したエルスの精子はデータ化され、ここに転送されてきます。アキト様が疑問に思われている精子データとはこのことです。」

武田は説明をしながらゆっくりとした足並みで歩き始めた。

「嬢の仕事は精子を採集しそれをデータ化することです。」

説明を続ける武田に研究員は目もくれず、ひたすら作業をしている。

「精子をどうデータ化するかは企業秘密ですが、資源とエネルギーさえあればエルスにも容易くできますよ。」

あなた方は頭がいいですからね。
と武田はニコリと笑った。
捉え方によっては馬鹿にした笑みに見えるぞ。

「二つ目の質問いいっスか?」

俺は挙手して言う。

「なんで俺、命狙われてるんスか?」

アヤミちゃんは“俺の精子が特殊だから”と言った。

精子が特殊だと何故、俺んちに爆弾が仕掛けられなきゃならんのだ。
訳が分からん。

武田は質問に答えず
約10メートル先にある大きな扉を指差し、こう言った。

「あなたが抱く全ての謎の答えは、あの扉の向こうにあります。」
…で、その超クレイジーな爆弾は処理できたのか?
もし未処理なら合い鍵を持つ両親が誤って施錠解除しちまったら…

「我々にあの爆弾を処理することは不可能でした。」

!?
野放しかよ!?

「ですのであのアパートを本部の方へ転送しました。」

「へ?」

「そうだな。その方がいいな。」

武田は腕を組み、共感した。

いや、意味わかんね。
どゆこと?

「あなたのアパートごとコリンに移動させたってことよ。」

彼女は俺の疑問を察し、教えてくれた。

…ってことは

「今あの場所に俺んちはないってことか!?」

「いえ、代わりのダミーを建てておきました。」

爆弾処理男は冷静に答えた。
お前らなんでもありだな。

「…じゃあ俺は今夜、偽物の我が家で寝るわけか…。」

頭を掻きながらポツリと愚痴をこぼすと

「いいえ。アキト様はしばらくの間、ここに居てもらいます。」

武田に続いて彼女が

「一歩も外へ出さないわ。」

監禁宣言をした。

「いやいやいやいやちょっと待て!そんな話一言も聞いてないぞ!?」

俺はただ彼女に「ついてきて」と言われただけだ。
何故お前等に俺の自由を奪われなきゃならねぇんだ。

「つか精子データってなんだよ!?」

そう。
まだ話が途中だ。
俺がここにいて、そして監禁される理由を教えろ!

「はい、ではお教えします。ついてきて下さい。」

また「ついてきて」か…。もうウンザリだ。

俺はしぶしぶ了解し、鉛のように重たい腰を上げた。