ヘルベルト・フォン・カラヤン
ヘルベルト・フォン・カラヤン (1908-1989)
日本でも大人気だったベルリンフィルハーモニー管弦楽団に
34年間という長期間にわたって在籍した終身指揮者。
才能、ルックス、品格(実際、貴族出身)、
全てをもっていたカラヤンです。
スターらしく、自分の持つ強みにダンディズムを掛け合わせ、
圧倒的な「ブランド」を作り出すことに成功。
その分かりやすい独自性に、日本にも多くのファンを持つ。
初来日の1954年後全11回の来日を果たし、
なんと彼の死去時には「運命」と「未完成」を
カップリングしたCDが150万枚を売り上げたほど。
彼の真骨頂は、目を閉じながらの指揮。
それに加えて、彼の指揮棒はリズムを刻んでいない。
そんな指揮で、なぜオーケストラは演奏ができるのでしょう?
実際、オーケストラにとってもいつ演奏を始めていいかなどが
最初は分からないそう。
あるフルート演奏者が堪りかねて質問しました。
「尊敬を込めて純粋に質問します。
いつスタートしたらいいんですか?」
その回答はこちら。
「もうこれ以上耐えられないと思った時、スタートすればいい。」
は????
実際どうしているのでしょう?
実は、最初のパートを演奏する楽器がリードし、
それを聞きながら他の楽器が入ってきているのです。
カラヤン自身、このように言っています。
「実際、明確な指示を与えるほど、音楽にダメージを与えることはない。
なぜなら、それによって演奏者たちのアンサンブルを妨げるからだ。
お互いの音を聞かなくなるからだ。」
そして、彼が言いたいのは...
「音楽は私の頭の中にある。
君たちは、それを察知し、演奏しなければならない。
私自身は、指示を与えない。」
えーーー!?
とてもスピリチュアル!
ちょっと意地悪!
とても情緒的!
だいぶ上から!
オーケストラにとっては、なかなかストレスフルであり、ちょっと怖いです。
その他にも、彼にはスターらしいエピソードがたくさん。
彼の視覚的美意識が配役にも及んだのです。
『サロメ』の主役にベーレンスという無名のソプラノを起用した際、
カラヤンはこう言いました。
「サロメという女は20歳になっていない。
従って、若くて細身の魅力ある歌手がいて初めて成立するオペラなのだ」
オペラという総合芸術の音楽監督が容姿で歌手を決めるのは、
カラヤンが初めて。
プライベートにおいては、大の車好き。
様々なスポーツカー、高性能車、高級車を所有し、乗り継いでいた。
最晩年(80歳)には、赤いポルシェに乗っていた。
最後まで、スターを全うした20世紀の偉大な指揮者、カラヤンでした...