しかし今日は暑いな。さすがにもうスーツは春夏モノでいいかしらん?
私はビルの谷間のコイン駐車場にいた。
仕事だ。大したビルでもないが少々のビル風はある。
全くよ~後ろはコンクリート擁壁か。
ぼやきながら私が写真をバシバシ撮っていた時だった。
「あの...?」
突然、後ろから女性の声がした。
しまった!背後に人がいることに気づかないとは!?これではゴルゴ13の足元地下2万5千メートルにも及ばないではないか!?
それが当たり前か、と思いながら、私は振り返った。
彼女は、齢30前後と思われる吉瀬美智子のような人であった。つまり美女である。
「車を出そうと思っているのですのですが...」
「あっ、すみません。後ろのコンクリートの擁壁を撮ってたんです。」
「ああ、そうだったんですか。私の車に何か問題があるのかなと思ってしまって。」
「申し訳ありません。お嬢さんには十分に怪しい奴と思われても致し方ありませんが、私は怪しいものではありません。」

「いいえ、怪しいなんて全く思っていませんよ。『なんて素敵なスーツを着る人なんだろう』って思って見てましたもの。裏地、綺麗ですね。」
「ああ、これですか?ありがとうございます。私の友人が作ってるんです。サムライ・スーツとか命名して。裏地、和服の生地なんですよ。」
「お洒落なんですね。」
「いや、私は、彼が『今季はこれでどうでしょう?』って言ってくるのを『ああ。それにしてくれたまえ』なんて返してるだけですから。私自身はお洒落じゃないですよ。」
「でも、結果的にそれを選んで着ていらしゃるわけですから...」
この会話、永遠に続かないかな。
...
「では、貴女の車が写っている写真はこの通り削除しました。ご迷惑をお掛けしました。」
「ありがとうございます。お仕事がんばってくださいね。では、ごきげんよう...」
うーむ。やはり、ALL I WANNA DO IS MAKE LOVE TO YOUのようには行かないな。
しかたないよ。晴天の真昼間じゃないか!
それに彼女は、「素敵なスーツ」とは言ったが、「素敵な人」とは言わなかったし...
<HEART [BRIGADE] ALL I WANNA DO IS MAKE LOVE TO YOU >




