地下鉄の女 117(視聴者を呼び戻すには) | フラジャイル~こわれもの
2009-05-12 11:42:48

地下鉄の女 117(視聴者を呼び戻すには)

テーマ:小説

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山川常務はあんぐりと口を開いて、オーナーを見た。


オーナーは、一瞬、口をつぐんだ。


  ワシのいう意味が、わからんかな。


  ええ、申し訳ないですが。

  今の大東京テレビのどこに、ご不満なんでしょうか。


オーナーは鼻白んだ顔をした。


  そもそも番組がつまらん。


山川常務のスキンヘッドが紅潮した。


  番組編成局とか報道部とか、全社的に最善を尽くしていますが。


  最近、視聴率が下がっているだろう。


  はあ、その点を突かれますと。否定しがたい事実です。


  つまらんからだよ、番組自体が。
  二番煎じばかりじゃないか、横並びの。
  他局との差別化は、どうしてるんだ。


  いえ、局としては、もっとも視聴者に喜ばれる番組作りをしてますが。


  だからそれが横並びだというんだ。
  どの局も同じような番組を作っていれば、そのうち、視聴者に飽きられるのはまちがいないだろう。


山川常務のスキンヘッドが照明を反射して光っていた。


  独自の番組を作るのが、今、もっとも求められているんだ。
  そこでワシがその方法をきみたちに伝授しようというわけだ。


  しかし、あまりに奇抜なものを作ると、どうしてもスポンサーさんが受け入れてくれませんので。


  だからワシがそのスポンサーの代わりをしてやろうというのだ。
  そのための出資だ。

  ここで斬新な番組を作って、離れていった視聴者を呼び戻すのだ。


山川常務はゴクリと唾を飲み込んだ。


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