5年ぶりの勝利を目指した決戦は悔しさの残る結果に | 早スポオフィシャルブログ

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早慶定期戦 5月19日 神奈川・慶応義塾大学日吉キャンパス

 

 「柏原組」で迎える初めての山場、早慶定期戦(早慶戦)が開催された。昨年はあと一歩のところまで追い上げたものの、辛酸をなめる結果に終わった早大。リベンジを果たすべく、伝統の一戦に臨んだ。早大は第1Q(クォーター)で流れをつかみ、4点を先制。第2Qも早大優勢のまま、3点リードで試合を折り返したが、後半には慶大の攻撃陣が牙を剥く。猛攻で5点を失い、逆転を許すと、後半も流れを取り戻せず。5年ぶりの勝利を収めることはできなかった。

 

今大会優秀選手に選出されたAT星川

 

  「ラクロス界最大規模」と謳われているだけあって、両校のファンや応援団がメインスタンドを埋め尽くす中行われた今大会。互いに張り合うように声援が飛び交う中、試合はスタートした。先にペースをつかんだのは早大。第1Q3分、MF田中美亜(スポ4=東京・国立)のフリーシュートで先制点を挙げると、その後もAT横幕円香(文構4=神奈川・公文国際学園)、AT水野文萌(創理3=埼玉・早大本庄)らを中心に慶大ディフェンス陣を翻弄(ほんろう)。一度も相手に自陣を踏ませないまま、5分、AT星川陽恵(スポ4=埼玉・浦和一女)のフリーシュートで、追加点を挙げた。今度は12分、MF神谷彩乃(文構2=神奈川・桐蔭学園)から、ゴール前に陣取っていたAT水野に鋭いパスが出され、水野が冷静に流し込む。その1分後にはMF増田明香(法3=東京・国学院久我山)のフリーシュートと、宿敵相手に4点を先制した早大。終了間際に1点を返され、3点リードで1Qを終える。

 

 迎えた第2Q、2分にはMF澤田彩子(慶大)が早大のディフェンスを一人で突破しシュートを試みるが、ここはG柏原陽菜乃主将(創理4=東京・大妻多摩)の好セーブで得点は許さない。早大側もチャンスは作るものの、相手ゴーリーに阻まれ、両チームとも決定機に欠ける時間が続いた。試合が動いたのは7分、MF田中からゴール前のAT西川佳(文構4=東京・東洋英和女学院)にボールが渡り、ミドルシュートを放つとこれがゴールに収まり得点に。慶大も負けじと立て続けに2点を奪い、点差は2点に。突き放したい早大は、2Q終了1分前、DF戸上沙耶佳(スポ4=埼玉・市浦和)のパスカットからカウンター攻撃を仕掛ける。AT星川の力強いシュートがネットを揺らし、6-3と3点差を保ったまま試合を折り返した。

 

ボールを保持するMF脇田

 

 2年前の逆転負けの経験から、「引き締めてやっていこう」(G柏原主将)と臨んだ第3Q。ドローを上げるのは、試合開始から高いドロー獲得率を収めているMF脇田。早大のここまでの得点劇は、このMF脇田のドローによるものだと言っても過言ではないだろう。3Q最初のドローもしっかり獲得した早大は、落ち着いてセットプレーに入ろうとするが、自陣に出したパスが2回連続でグラウンドボールに。この間に慶大にライドを上げられ、攻撃権を奪われてしまう。2分、相手にフリーシュートを決められると、直後の3分には、AT藤岡杏(慶大)がゴール裏から回り込み、DF山田麻由(商3=東京・国立)を回転しながらかわしてシュートを決めた。ついに1点差。後がなくなった早大は、7分にAT水野がフリーシュートの機会を得るも、ゴールポストに弾かれ得点とはならず。その直後の攻撃、ここまで2得点の活躍を見せていたAT秋山美里(慶大)がフリーシュートを決め、試合を振り出しに戻されてしまった。すかさず早大はタイムアウトを取ったが、その後も主導権を握ったのは慶大。自陣内でボールを回され、ついに逆転弾を許してしまった。終了間際にも、早大のマークから外れていたMF三好香奈のシュートが決まり、6-8で3Qが終了。流れを相手に渡したまま最終Qを迎えることとなった。

 

 勝負が決まる第4Q。3分、相手の仕掛けた1on1に対応しきれず、9点目を献上してしまう。残り12分で3点差。逆転は厳しいかと思われたが、それでも諦めない早大は決死の攻撃を見せる。グラウンドボールを拾ったMF増田がランでクリアし、AT水野にパスを回すと、AT水野は相手の反則を誘い、フリーシュートを獲得。ここを決め切り、2点差に戻した。しかし今度は慶大。素早いパス回しで早大を寄せ付けず、得点を挙げてまたも3点差に。それでも今度はMF田中のフリーシュートで1点を返し、必死にくらいつく早大。一進一退の攻防が続く中、試合を決めたのは慶大だった。12分、パスを受けた澤田は、最終Qとは思えない圧倒的なフィジカルで、早大ディフェンスを振り切りシュート。再び早大を突き放すと、終了間際にダメ押しの1点を加えられ、ゲームセット。5年ぶりのリベンジを果たすことはできなかった。
 

敗戦後、肩を落とす選手たち

 

 前半は攻撃的な姿勢で流れをつかみ、得点を重ねた早大であったが、疲れが出てくる後半にもフィジカルの強さを見せつけた慶大が一歩上回る結果となった。G柏原主将は、集中力の切れがミスにつながったと悔しさを滲ませた。次に迎えるのは、7月に開幕する関東学生ラクロスリーグ戦(リーグ戦)。早慶両校とも1部リーグに所属しているが、今季はブロックが異なるため、慶大と再び対戦するためにはFINAL4(決勝トーナメント)進出が絶対条件となる。「学生日本一」を掲げている「柏原組」にとって、この敗戦はさらなる成長のための起爆剤となったことは間違いないだろう。2か月後、彼女たちはどんな姿を見せてくれるのか。期待が膨らむ一戦となった。

 

※掲載が遅くなり、大変申し訳ございません。

           

            (記事 長屋咲希 写真 飯田諒、髙岡沙也、廣野一眞)

 

コメント

G柏原陽菜乃主将(創理4=東京・大妻多摩)

ーー今日の試合を振り返ってください

 悔しいの一言です。前半は勝てていて、私も正直このまま勝てるんじゃないかと思っていたのですが、3、4Qで流れをつかめず、相手の流れになってしまって、とても悔しかったです。

 

ーー前半の早稲田の攻撃はいかがでしたか

 早稲田がずっと体現したいと思って練習してきたことが、本番でしっかり体現できたのは、早稲田の成長したところかなと感じています。

 

ーー3点リードで前半を終えて、後半に向けてチームで話し合ったことを教えてください

 2年前にも逆転負けした経験があったので、気を緩めず、引き締めてやっていこうという話をしていました。なので、入りに関してチームが悪かったところはなかったですが、(相手に)のまれてしまいました。

 

ーー後半の攻防を振り返ってください

 何が敗因だったのかと考えた時に、早稲田の方がリードしていたのもあって、ふわっと入ってしまったり、アンセット状態で決められてしまったりしていて。そういった一つ一つの小さなミスが負けにつながったのかなと考えています。

 

ーー特に差を感じた部分はありますか

 集中力の差が大きかったなと感じています。途中で一人一人が集中力を切らしてしまっていて、それがミスにつながったと思います。

 

ーーリーグ戦に向けて一言お願いします

 めちゃくちゃ悔しいので、絶対にFINAL4まで進んで、慶應に勝って日本一になります。

 

AT星川陽恵(スポ4=埼玉・浦和一女)

ーー今日の試合を振り返ってください

 1Qの入りは、早稲田らしさを全開に出して得点を重ねられたのかなと思います。ただ、2Qから3Qにかけてどんどん慶應のギアが上がってきて、それに対して私たちは集中力や技術的な面で足りなかったと思います。

 

ーー前半の早稲田の攻撃はいかがでしたか

 ディフェンスを寄せて、捌くというのをずっと意識して練習してきました。なのでそれを体現することができて、ショット率も高くやれたことが結果につながったと思います。

 

ーーご自身の得点シーンを振り返ってください

 1点目のフリーシュートは、慶應のディフェンスが、こちらのフリーシュートが多くなるような守り方なので、その対策をしてきたものを体現できたのかなと思います。2点目のブレイクに関しては、ずっと苦手意識があったのですが、慶應の上げてくるライドに対してブレイクが増えることを想定していたので、ここも練習通りの動きができました。

 

ーー後半の慶大の攻撃はいかがでしたか

 要所、要所の技術が上手いなというのと、決めるべきところでしっかり決めてくるのが、慶應の強いところだなと思います。

 

ーー最後にリーグ戦に向けて一言お願いします

 この試合で出てきた反省点をチーム全体で見直して、絶対に日本一という目標を達成できるように、これから練習に取り組んでいきたいと思います。