「勝てる試合だった」(海本) 一時逆転も終盤の失点で法大相手に勝ち点3を逃す | 早スポオフィシャルブログ

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 関東大学サッカーリーグ戦は第5節。前節今季初勝利をつかみ、ここから流れに乗っていきたいア式蹴球部(ア式)。今節は、昨季まで1部リーグに所属していた法大との対戦となった。前半は序盤からロングボール主体に攻め込んでくる相手に押し込まれたア式、ピンチを迎えるシーンも多くあったが最後の局面で粘りを見せる。一方の攻撃は試合が進むにつれて徐々にチャンスを作るも決め切ることはできず、前半を0ー0で折り返す。後半開始早々相手に決定機を作られるがここはGK海本慶太朗(スポ2=大宮アルディージャU18)の好セーブでしのぐ。しかし54分にクリアミスから先制点を奪われてしまう。それでも直後の62分にFW駒沢直哉副将(スポ4=ツエーゲン金沢U18)がPKを沈めて同点に追い付くと、66分にMF伊勢航主将(社4=ガンバ大阪ユース)のCKがそのままゴールイン。5分間で逆転に成功する。この流れで勝ち切りたかったア式だったが試合終盤に痛恨のPK献上。このPKをきっちり相手に決められて同点に追い付かれてしまった。先制点を奪われながらも逆転に成功したア式、しかし終盤の失点で勝ち切れずまたも勝ち点3を逃す結果となった。

 

好セーブを見せた海本

 6分、相手の流れるようなパスワークで中央を崩されてシュートを打たれるが、伊勢が頭でブロック。さらに10分、ア式が右サイドでボールを失うと相手は逆サイドの大外を駆け上がる選手にロングパスを出す。ゴール前まで侵入されてシュートを放たれるがわずかに枠の外へ。一方の攻撃陣もDF林奏太朗(スポ1=サガン鳥栖U18)の縦パスを中心にチャンスを伺うと、14分に右サイドからボールを受けた伊勢が逆サイドのMF本保奏希(スポ3=JFAアカデミー福島U18)に展開。本保はクロスを上げるがこれはキーパー正面。17分にピンチを迎えるがDF尾崎凱琉(スポ1=大阪桐蔭)が好ブロック。続く21分、相手のCKも海本がキャッチでしのぐ。さらに24分にも相手にサイドを崩されてクロスを上げられるが中には合わず。我慢の時間が続いたア式だったが、前半の終了間際にいくつかチャンスを作る。44分、今度は左サイドからボールを受けた伊勢が右サイドのDF佐々木奈琉(社3=新潟・帝京長岡)に展開、佐々木のクロスを駒沢が合わせるもこれは枠を捉えきれず、さらに伊勢がエリアの外からゴールを狙うもゴールのやや左に外れてしまった。防戦の時間が続いたもののなんとか失点せずに前半を折り返した。

効果的な縦パスを見せた林

 46分、いきなりピンチを迎えるも海本が好セーブでしのぐ。しかし54分、クリアボールを高い位置で相手に拾われて、そのまま先制点を与えてしまう。勝ち点3をつかむべく2点が必要となったア式はこの試合ベンチスタートとなったFW鈴木大翔(スポ2=ガンバ大阪ユース)を投入し攻勢を強める。すると61分、林の縦パスに本保が抜け出すと最後はキーパーに倒されてPKを獲得。ここはエース・駒沢がしっかりと沈めて早い時間帯で同点に追い付く。さらに66分、コーナーキックのチャンスを迎えると伊勢のキックがキーパーの手を弾いてそのままゴールイン、わずか5分で試合をひっくり返す。追加点を奪い勝利を確実にしたいア式だったが82分、自陣ペナルティーエリアギリギリのところでファウルを取られるとこれはPKのジャッジに。このPKを沈められて再びスコアを同点に戻される。試合終盤は一進一退の攻防が続いたがお互いに決定機を決め切れずに試合終了、2ー2の引き分けに終わった。

PKを決めた駒沢

 法大の戦術や戦い方に苦戦する時間が続いたア式。それでも先制点を奪われてから崩れることなくすぐさま逆転できたことは評価できる。しかし失点が最終盤だっただけに「勝てる試合だった」(海本)と振り返る。開幕からなかなか勝利をつかめていなかったことや追加点を奪えるチャンスはあったことを考えるとこの結果は悔やまれる。それでもチームの雰囲気は決して後ろ向きではない。次節からはアウェイ3連戦となる。軸はぶらさずにア式らしいサッカーを貫いて勝利という結果で、勝負の夏に向けて流れに乗っていくことを期待したい。

 

(記事 和田昇也、写真 熊谷桃花)


 

試合後インタビュー

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)
ーー2週間空いてのリーグ戦となりましたが、どういう準備をしてきましたか

迷いながらプレーしてる選手たちが結構多く見えたので、もう1回やるべきこと、チームとしての整理と、自分たちが何をその中でより意識したいかというところを自分たちでミーティングというかさせた中で、しっかりとポイントを決めて、ここだけはもう譲れないっていうところを決めて、その中で戦術もう1回再構築し直した2週間だったので、そういう部分では少し整理できて、戦い方的によくはなってきたかなっていうところですけど、勝ってないという部分での自信のなさというか、たまにボール受けたがらないみたいなところとか、ボールもらいには行ってるけど、結局味方とボールしか見てないので、相手のこと見てないというところで、駆け引きがなくて、結局もらった時に相手に一番はめられやすい状況になったりとかというところの、もっと落ち着いてプレーするための準備というところが、もう1段階上がらないといけないかなっていうところですけど、1年生センターバックがこの2週間でだいぶ落ち着き含めて、チームのセンターバックらしくなってきてるというところが一番の収穫かなというところではあるので。真ん中がどっしり落ち着いてないとチームってふわふわしちゃうので、そういう部分ではセンターバックは怪我人が多い中、1年生がしっかりと力をつけ始めてるなというところはあるのでそこは良かったです。

ーーどういった狙いを持って試合に入りましたか
去年から継続してる攻撃的サッカーというところでは、幅を使うっていうのはチームのコンセプトなので、幅を使って中が空いてくるところを狙う、狭い中で全部やるだけの技術はないので、幅引っ張って、相手が守備をミスった時にうちが刺せるという準備をしながら関わるというのがコンセプトとしてあるので、そういう部分では相手同サイド圧縮結構してくるチームだったので、前半のうちからしっかりと動かして相手疲弊させて後半仕留められるかなという風にプランでは思ってたんですけど、まだまだ緩いかなと思います。1失点目も奪ってクリアを慌てて相手ボテボテのところから決められたっていうとこですし、別にフリーだし蹴らないといけないシーンかもしれないけど、慌てちゃうとダメなので。結局サッカーはどれだけ相手を慌てさせるかが大事かなというところでは、あそこはまだまだ余裕がなかったのかなと思います。その後にもう一回、自分たちのやるべきことというところから、いいサポートの配置から相手が外に引っ張られたので、林(奏太朗、スポ1=サガン鳥栖U18)のところの1発のスルーパスで、あそこの門が開いたんですけど、あれをやるために、門を開けさせるために外を回さないといけないし、外で侵入できるんだったら外から攻めればいいしというところをもっと徹底させていきたいですね。常にいいとこ狙おうとしてるので、外に動かして相手をスライドさせるから、そこのずれが出てきてっていうところに対して刺せるようになってくると思うので、そこは両方外でちゃんとサポートしてるけど、刺す準備もしながら、キャンセルして外だよねっていう選択肢も持てるようにしたいです。外の準備がちょっと甘かったところ、サイドバックのところのサポートがちょっと悪かったところが(この試合は)あったので、林がいいビルアップできるのにどうしても中(に相手)立てられてというシーンが多かったので、そこのところ凜誓(西、社2=名古屋グランパスU18)のところでちょっと修正したらあの形(1点目)がちょうど生まれたっていうとこだったので、自分たちが言われたことに対して、それが成功体験になって、これを次自分たちから何かできるかっていうところが大事になってくるのかなと思いますね。2失点目に関してもうーんっていう感じですけど、こればっかりはレフェリーが決めることなので、自分たちはもっと決めるべきところで決めるだったり、最後のところを決めるチームが流れに乗ってくチームだと思うし、これをトレーニングから決めきれないっていう現象はまだまだ続いてるので、トレーニングからどれだけこだわって1点を取れるチームになるのか。それで、1点を守れるチームになるのかっていうところは、まだ戦術っていうより、本質がもう一回大事だなという、改めてこう気付かされてるところなので、本質をもう一回捉えながらも、チームとしてやるべき方向性は見失わないようにしながら、そこに対してチャレンジして個々の良さを出していきたいなっていうところですかね。

――来週以降に向けて修正していきたい部分だと攻撃の面になりますか
そうですね。もっともっといい立ち位置にとれば相手困らせられると思うし、そこに対して正しい判断でボールが移動するたびにポジション修正して、相手の嫌なことをどれだけ続けていけるのかっていうのが大事ですし、逆に守備は相手がここ崩せないよっていうぐらい堅い守備を構築し続けるっていうことが大事なので、そこのところの両立をしっかりと意識して、また1週間いい準備して向かっていきたいなと思います。

西凜誓(社2=名古屋グランパスU18)
ーーリーグ戦2週間空きましたが、どういう準備をしてこの試合に入りましたか

前回の試合が自分たち初めてリーグ戦で勝利できたってところと、メンバーが入れ替わってた中で、前節城西戦はうまくいかないところばっかだったので、練習の中から自分たちのやることをより明確化して、ミーティングも重ねて、自分たちの頭の中を整理して、どう自分たちのサッカーを目指していくかとか、あと自分たちが切り替えと準備とゴール前ってところの3つの言葉にフォーカスして、そこに対して向き合って積み上げて、この試合に向けて準備してきました。

ーー法大相手ってことで意識したことはありますか
多少戦術のところで、守備のかけ方だったりとか守り方だったり、ビルドアップの立ち位置ってところは自分たちの中で話してはいたんですけど。ただ、そんな自分たちが法政相手だからといって変えるのではなくて、自分たちがもう大事にしていることを出せばいい試合にできるという風に思ってたので、そういった意味では特別な準備はしてないです。

ーー西選手の外側を回ってくる相手の右SBに対してはどういう意識で守備をしていましたか
そうですね、スカウティングの部分から、相手のあそこの選手がすごい背後を取ってきて速い選手っていうのはわかってました。相手もうまく捕まらないように、タイミングでマークを外してきたりとか、走ってきたりはしていたんですけど。
ただ、あそこは大外なので、自分たちが余裕を持ってゴール方向から守ればそんなに怖くないなっていう風にはわかってたので。もちろんパスカットできたりとか、入れさせないことが一番ですけど、最悪入ったとしても、そこに対して冷静に対応すれば大丈夫だなっていう風に思っていたので、そういった対応をするように心がけていました。

ーーハーフタイムではどういう指示がありましたか
前半自分たちがやりたいような、ボールを保持して動かすってことができてなかった中で前半の途中とか最後の方は、自分たちがうまくボールを動かしながら相手陣地で押し込んでプレーができたので、そういったところをほんとに後半の頭からできるようにってところと、より守備、特に外の守り方だったりとか書き方っていうところを、ボード使いながらより明確化させて、頭を整理して、後半に入りました。

ーー後半、点が結構動く展開になりましたがどう振り返られますか
先制点を取られてしまったんですけど、そこの場面でも自分たちは絶対にゴールを取り返せるっていう自信はありましたし、そういった意味では、失点しても中で慌てる時間じゃないってところと、まだやること変えずにやれば絶対に得点できるっていう風に中でも話してたので。そういった意味では自分たちが逆転できたってところはほんとに良かったと思いますし、そっから少し自分たちの時間もありましたけど、相手も選手交代を使いながらすごい流れを持っていかれたなっていう風に思います。最後のPKを与えてしまった場面でも、少し自分たちの緩みが出てしまったのかなっていう風に思うのでそこは反省点ですし、チャンスがあった中で3点目を決めきれなかったっていうところも自分たちの課題であるので、そこのゴール前ってところにもっとこだわっていかないといけないなと感じました。

ーーここからアウェイ3連戦になります、来週以降に向けて意気込みをお願いします
自分たちが掲げた2部優勝、昇格ってところに向き合うには、ほんとにまだまだほん足りないことばかりですし課題が多いんですけど、開幕戦から自分たちがやれることだったり、いいシーンっていうのは増えているので、そこをほんとに練習の中から積み上げていってより課題に向き合いながら、アウェイってところで難しい展開が絶対にあると思うんですけど、そういった中でも自分たちがやることをぶらさずに自信持ってプレーできるようないい準備をまた1週間後の試合に向けてやっていければと思います。

海本慶太朗(スポ2=大宮アルディージャU18)
ーー前節から2週間空きましたが、どのような準備をして挑まれましたか

チーム全体としてゴール前っていうところと切り替えっていうところだったり、一番はゴール前なんですけど最後の決めるクオリティだったりゴール前のところを2週間で一番準備してきました。

ーー法大相手にどういう意識を持っていましたか
法政大学さんは個の能力がかなり高いので、最後個人技で突破してきたりっていったところが自分はキーパーなので相手の特徴とかチームの分析の人たちが情報を提供してくれるので最後の止めるというところで相手の情報を得たりしていました。

ーー2ー2の引き分けとなりましたが、この結果をどう捉えていますか
ものすごく悔しいというのが1つで、結果的には2ー2だったんですけど逆転して勝てるゲームだったんじゃないかと思っていて、最後のPKのところで止めらずチームを救うことができなかった部分でかなり悔しさは残りますけど自分が最低限できる限りのプレーはできたんじゃないかなと思っています。

ーー次節以降アウェイが続きますが、意気込みをお願いします
チームがちょっと良い流れになってきている中で今日引き分けという形で終わってしまったので、また次その次って勝てるように、特にゴール前というところをチーム全体で意識してやっていきます。