『魂の旋律』をかがけ、初めてのコンサート 音色で観客を魅了 | 早スポオフィシャルブログ

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SpringConcert2024 4月22日 セシオン杉並

 春の陽気が感じられる中、セシオン杉並にて応援部吹奏楽団がSpringConcert2024を開催した。吹奏楽団に憧れる新入生、在学生、OB、OG、早稲田ファンの方々によって席は埋め尽くされた。3部構成のコンサートで、第Ⅱ部では初の試みとなる学年別のアンサンブルも実施。見どころ満載のコンサートとなった。 

 

 照明の眩しい光と共に第Ⅰ部が始まった。1曲目は『TheBandwagon』。ブロードウェイのミュージカルを思わせる、コミカルな味わいが大きな魅力の一曲。明るく、爽やかで序章にふさわしい始まりを見せた。2、3曲目には全日本吹奏楽コンクール2024年度の課題曲を披露。行進曲『勇気の羽を広げて』は、マーチの原点とも言えるような、オーソッドクスなマーチで、部員の息の揃った演奏が見られた。軽やかな響きで金管楽器のハーモニーが特徴的だった。続く『風がきらめくとき』では、優しい始まりで緩やかに和音が展開する。繊細で大人な響きが会場全体を包み込んだ。第Ⅰ部の締めくくりは、「ミュージカル『ミス・サイゴン』より」。ヘリコプターの音が効果的に使われ、東洋の雰囲気が随所に現れた一曲で壮大な音で観客を圧倒した。  

 

第Ⅰ部での全体合奏 

 

 第Ⅱ部では、吹奏楽団初の試みである学年別のアンサンブルステージを披露。「夢」というテーマにちなみ、各学年の「色」がでるステージとなった。トップバッターを務めたのは2年生。カチューシャをつけた21名が可愛らしく登場。『Beauty and the Beast』をはじめとしたディズニーの楽曲、計3曲をメドレー形式で演奏した。続く3年生は、2019 ABC 夏の高校野球応援ソング/「熱闘甲子園」テーマ・ソングとして使用されたOfficial髭男dismの『宿命』を披露。球児と自分たちを重ね、選曲したという。17名による熱いステージを作り上げた。最後は右耳の上に臙脂(えんじ)色の羽をつけた4年生が現れた。ミュージカルアニーの『Tomorrow』を演奏、合唱した。4年生の爛漫(らんまん)さを、体全体を使って表現したステージとなった。全員合奏の『オーメンズ・オブ・ラブ』では会場全体が一体感に包まれ、未来に希望を感じさせるような演目となった。 

 

第Ⅱ部での息の揃ったパフォーマンス 

 

 休憩中には、現役部員による吹奏楽部の魅力についての小劇も行われた。ストーリー形式で会場全体を盛り上げた。 

 

 第Ⅲ部はドリルステージ。『シンフォニックフェンファーレ』からはじまり、続く『おジャ魔女カーニバル!!』ではチアリーダーズ・BIGBEARSとコラボ。可愛らしい雰囲気のステージとなった。締めを飾るのは『THE LION KING』。メンツの華麗なフォーメーション移動と移り変わるカラーガードの美しい旗、ダンスで生命煌めくサバンナを表現した。ストーリーに沿って、さまざまな吹奏楽団の「顔」を垣間見ることができた。ステージが終わり、興奮冷めやらぬ中、観客からはアンコールの拍手や掛け声が飛び出す。

 

 アンコールでは、3パート合同で早稲田大学の応援曲メドレーを披露。吹奏楽団を中心とし、『大進撃』『スパークリングマーチ』『コンバットマーチ』の3曲を演奏した。観客たちもハリセンを使い、ステージに花を添えた。春らしいフレッシュな音楽を届けた今回のコンサート。『魂の旋律』を目標に掲げ、部員全員の魂のこもった音楽を届けられたのではないだろうか。今後の六大学野球リーグ戦応援など、吹奏楽を通して伝える総勢54名の醒めない「夢」に今後も期待したい。

          (記事 井口瞳、写真 橋本聖)

 

コメント

勝真優美ガードチーフ(政経4=大阪桐蔭)

ーー初の試みである学年別アンサンブルの出来栄えはいかがですか

コンサートの中に緩急ができた感じで、お客さんに飽きずに楽しんでいただけたのかなと思ったのと、お客さんの感想で「学年ごとのカラーを感じる」とか「演奏技術が学年ごとに上がっているのを感じる」と書いてあって、客観的に学年別に見られることはあまりないので、こういう風に感じられるんだ、という新しい発見ができました。 

ーー以前お話を伺った時に練習の中に歌を取り入れているとおっしゃっていましたが、4年生のステージは歌に対しての意識も少しありましたか

自分たちの中で歌が身近になったというのはあると思います。曲を練習している中で、「アニー」なら歌った方が良くない?となり、すぐ歌に切り替えました。普段から、練習で歌をやっているので、歌に対するハードルが下がっていたのかなと思います。 ―ドリルステージを振り返っていかがでしたか

思ったより本番の照明がちょっと暗くて、その点が残念でした。暗いとポイント(足元の目印)があまり見えないのですが、見えないながらもみんな歩けていたので、たくさん通し練習をした成果が出て良かったです。今まではドリルステージが本番直前になっても、不安が残り、どうにか本番でできたらいいなと思うところがあるんですが、リーダーズ・BIGBEARSとコラボ。可愛らしい雰囲気のステージとなった。締めを飾るのは『THE LION KING』(ライオンキング)に関しては何回も通したので、少し慣れていた部分もあって、指揮を振る側も、パフォーマンスする側も、落ち着いていたかなと思います。その点は成長できて良かったと思います。 

ーーカラーガードの構成で一番こだわった部分を教えてください

メンバーのキャラクターを生かした演出にしました。武藤瞭太応援企画責任者(教4=埼玉・早大本庄)はお願いしたら役になりきってくれるので、ライオンキングのシンバ役をイメージしました。元気な振りを入れたり、旗だけでなく、ダンスチックにしました。しなるポールを使った、ジャズ系のしなやかな動きが得意な深瀬(文構3=東京・青稜)と鈴木(文3=東京・鷗友学園女子)の二人には滑らかな動きを多めにすることにこだわりました。山口美友演奏会企画責任者(創理4=愛知・桜台)も元気なキャラクターなので、振り付けとして、手を振って退場して、その次のシーンにスムーズに行けるように考えました。

 ーー今後に向けて意気込みをお願いします

落ち着いてやればできるっていうのが今回分かったので、無難なラインを行くんじゃなくて、どんどん挑戦していきたいと思います。今年は部の方針として依頼演奏も受ける方向性なので、外部で演奏を披露することが多くなると思います。大学関係のステージでも演奏することが多くなると思うので、そういう時に今までの形にとらわれずに今の実力だったらこういうこともできるんだよっていう新たな路線を示して新たなステージに進んでいきたいなと思います。

 

小野玲々菜副将 兼 吹奏楽団責任者 兼 インスペクター(国教4=東京・かえつ有明)

ーー今回のSpringConcert2024全体の総括をお願いします

開催は12月とか1月に決定していたんですけど、それより前にホールは探していました。今回のコンサートの目的は2つあって、1つ目は新入生勧誘のためで、応援部吹奏楽団の音楽団体としての魅力を新入生に伝えるというのと、2つ目が演奏、ドリルの技術向上のために、コンサートホールでしっかりとした本番を作って、完成度を上げていくものでした。お客さんはかなり満員で嬉しかったです。

ーー初の試みである学年別アンサンブルの出来栄えはいかがですか

各学年で色々工夫できたのはコンサートとして良かったと思います。4年生は曲の中に歌とアクションを入れたり、3年生はみんなでお揃いの服を着たり、2年生はディズニーのメドレーをやりました。くくりとしては、ポップス音楽をやるっていう感じだったんですが、バラエティに富んだステージをお届けできたのではないかと思います! 

ーー以前お話を伺った時にシンフォニックステージでの『ミス・サイゴン』に注目されていましたがそちらに関してはいかがでしたか

お客さんのアンケートの中では、ミスサイゴンに関してかなりご好評をいただきました。ストーリー性のある曲なので、すごく表現がしやすく、解釈しやすかったです。シーンがあって表現がしやすいところが、演奏にも現れてよかったなと思います。ミュージカルの中でさまざまな曲が出てくるのですが、そのシーン等と結び付けて演奏を完成させることができたのではないかなと思います。 

ーー今後に向けて意気込みをお願いします

演奏に関してはスプリングコンサートが終わったので、とりあえず一旦夏まではコンクールに集中することになります。今年は都大会出場を目標にしています。SpringConcert2024までの三ヶ月間で上達できたことや、今意識してできることを当たり前にできるようにしていくことと、もっと表現力に磨きをかけて、応援時の音ではなく演奏としての音で、しっかり基盤を作っていけたらと思います。また、勝が言っていたようにいろんな幅の活動がありがたいことに増えてきたので、そこで吹奏楽団の魅力をアピールできるように頑張ります。本年度は、新人も吹奏楽団だけで30人越えで、総勢80人を超えたんですが、大人数ならではのことにも挑戦していけたらと思います。