エース駒沢、10番山市のゴールで2ー0 4節で待望のリーグ戦初勝利をつかんだ | 早スポオフィシャルブログ

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 関東大学サッカーリーグ戦は開幕から1か月が経過して第4節。前節、慶大相手に1ー4と屈辱的な敗戦を喫し、ここまで3試合勝ちのないア式蹴球部(ア式)。何が何でも初勝利をつかみたい今節はホームに城西大を迎えた。前半の立ち上がりは相手のペースで試合が進む。GK海本慶太朗(スポ2=大宮アルディージャU18)の好セーブもあり難しい時間帯をしのぐと、18分にMF伊勢航主将(社4=ガンバ大阪ユース)のコーナーキックをFW駒沢直哉副将(スポ4=ツエーゲン金沢U18)が頭で合わせて先制する。前半終盤も相手に押し込まれる時間となったが相手の得点を許さず、前半を1―0で折り返す。後半は時間が進むにつれてア式が押し込む展開となる。なかなか追加点が奪えなかったが終了間際の87分、こぼれ球を拾ったMF山市秀翔(スポ3=神奈川・桐光学園)がゴールに押し込み2点目を獲得。苦しい時間も長かったが2―0でリーグ戦初勝利をつかんだ。

先制ゴールを決めた駒沢

 開始直後は相手に押し込まれる。2分、フリーキックを相手選手にヘディングで合わされるがこれは枠を超える。さらに5分にもサイドから崩されてシュートを打たれるがここは海本のセーブで得点を許さず。するとア式も徐々に流れをつかむ。8分、敵陣でフリーキックを獲得する。伊勢のキックは一度跳ね返されるも、こぼれ球を拾った山市がシュートを放つもこれは枠の上。続く10分にはこの試合がリーグ戦デビューとなったMF高橋作和(法2=東京・国学院久我山)が右サイドを崩すと、逆サイドで待つMF本保奏希(スポ3=JFAアカデミー福島U18)へパス。本保は中に切り込んでシュートを放つがこれも枠を外れてしまう。それでも18分に試合が動く。伊勢のコーナーキックを駒沢が頭で合わせ先制に成功する。その後は再び相手にペースを握られる展開となっていく。32分には相手のコーナーキックからネットを揺らされるも、オフサイドによりこの失点は取り消される。39分には相手にミドルシュートを打たれたが海本がしっかりと枠外へ弾き出す。40分にも相手のロングスローから決定機を作られるがここも海本中心にしのぐ。45分には相手にこぼれ球を拾われてロングシュートを打たれるも、これはゴールバーに当たり救われる形となった。難しい時間が続いたが、この試合がデビュー戦となったルーキーDF尾崎凱琉(スポ1=大阪桐蔭)の好守や海本の好セーブもあり、今季初めてリードを保った状態で前半を折り返す。

リーグ戦デビューとなった高橋

 後半の立ち上がりは両者ともに縦に素早い攻めを見せ一進一退の攻防となった。61分、左サイド本保のクロスを駒沢が頭で合わせたがキーパーの正面を突き得点とはならず。68分にも本保のパスに駒沢が反応して決定機を迎えるがここも決め切ることはできない。終盤はア式が攻め込む展開となる。71分には伊勢のフリーキックをDF林奏太朗(スポ1=サガン鳥栖U18)が頭で合わせたがわずかに枠の右に外れてしまう。73分にもDF佐々木奈琉(社3=新潟・帝京長岡)と途中出場のMF東廉(スポ4=清水エスパルスユース)が右サイドを攻略してクロスを上げるもシュートには繋がらず。83分、相手の左サイドのクロスからピンチを迎えたがヘディングシュートは枠を外れる。終了間際の87分、MF谷村峻(スポ3=FC東京U18)、伊勢がシュートを放ち2度守備のブロックに阻まれるも、こぼれ球を拾った山市が反転しながら右足を振り抜き貴重な追加点を獲得。この1点で勝負あり、2ー0でリーグ初勝利となった。

 

終了間際にシーズン初ゴールを決めた山市

 「やりたかったことの20パーセントしかできなかった」と試合を振り返った兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)。それでも今のチームにとっては勝利という結果が何よりも必要なものだっただろう。チーム状況も苦しかった中で自分が早稲田を勝たせるという強い思いを全員が全面に押し出してピッチ内外問わず一丸となって総力でつかんだ初勝利となった。4月は苦しい戦いが続いたが、彼らの戦いはまだまだこれからだ。この試合も内容の面では、決めるべきところを決める、立ち上がりの入り方と彼らがリーグ優勝・日本一という目標を達成するためには必ず克服しなければならない課題が浮き彫りとなっていた。次節の相手は法大、昨季は降格のシーズンとなり今季1年での1部復帰を目指しているが、ア式と同じくスタートダッシュは振るわなかった相手との対戦となる。ここまでは苦戦しているとはいえ昇格に向けて倒さなければならない相手であることは変わらない。次の試合まで2週間、チーム全員でいい準備をしてほしい。

 

(記事 和田昇也、写真 熊谷桃花、勝野優子)


コラム:大学1年生のCBコンビ

リーグ戦デビューとなった尾崎(左)と開幕戦以来の出場となった林(右)

 

怪我人やコンディション不良が相次いでいるア式のセンターバック陣。この試合にセンターバックとして起用されたのは林奏太朗と尾崎凱琉、二人の1年生だった。大学サッカー界においては1年生コンビのセンターバックは珍しいことではあるが、彼らはその座をつかむだけの実力と実績を兼ね備えており、指揮官からの期待も大きい。サガン鳥栖U18出身の林、大阪桐蔭高校出身の尾崎は共に世代別の日本代表を経験しており、いずれは日本を背負い世界と戦うことを目指している。この試合では初コンビということで多少固くなってしまう部分や連携面でのちょっとしたミスも見られたが、ここまで2試合大量失点が続いたチームにまずはクリーンシートでの勝利という結果をもたらした。それでも「大学4年生ぐらいに負けてるようじゃ世界で戦えない」と兵藤監督。尾崎も「このレベルはもっと圧倒しなきゃいけない」と話した。日々の取り組みから積極的な挑戦を続けて今後、大学サッカー屈指のアタッカー陣を圧倒する姿が見られることに期待したい。一方の上級生も彼らの活躍を黙って見過ごすことはないだろう。一段と競争のレベルが上がったア式守備陣、今季の目標スコアである3ー0の実現に向けチーム全員で無失点を続けていってほしい。


メンバー



試合後インタビュー
兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)
ーー試合振り返っていかがでしたか

自分たちがやりたいことは 20パーセントくらいしかできてないですけど、勝ってないチームはどうしても固くなったりだとか、 ボールを受けるっていうとこに対してミスを恐れるっていうところがあるので、そこに対してはしょうがないかなという風に思います。ただ、割り切った中で何ができるか、いい準備ができるかというところで、今週ちょっと練習時間削って、それぞれで反省点を、 個人、チームっていうところと、じゃあ練習からそれに対して何ができるというのを振り返りシート全体に書かせて、その中で自分たちで1回ミーティングして、見えるものがあるんじゃないというところで、 そこで学生がこういうところが欠けてるよねという整理が自分たちの中でできて、 新しいミーティングの形というか、こちら側から一方的に提示するんじゃなくて、自分たちから発見してじゃあここだけはやろうっていうところをしっかりと切り取れたのが、少し整理できて良かったところかなとは思うんですけど。けど、今日の試合も勝たせてもらったような試合なので、 そういうところではまだまだかなと思うんですけど、でも勝たないことには多分メンタル面の回復とか余裕って出ないと思うので、 こういうところでしっかりと勝てたというのをポジティブに捉える部分と、ただこのままではまだまだスキがあるチームだよっていうところで、メンバーが揃わないとか言ってる場合じゃないですし、その中でも出た選手はやっぱりチャンスでしかないと思うので、こういうところでしっかりと経験積んで、 いい状態で次また迎えられたらなとは思います。

ーー怪我人もいる中で、フレッシュなメンバーも何人かスタートから起用って形になりましたけど、彼らのパフォーマンスはどうでしたか
1年生のセンターバックということで、なかなか大学サッカーでも珍しいと思うんですけど。けど、世界と戦いたいような2人だと思いますし、U19とか世代別の日本代表に入ってる中で、大学4年生ぐらいに負けてるようじゃ世界で戦えないと思うので、 そこらへんはしっかりと2人にも言ってましたし、そこに対してしっかりとチャレンジしてくれたというところはすごく良かったのかなっていう思います。そういう意味でも失点しなかったっていうのが自信に当然なるかなと思いますし、その中で各々の反省点は絶対出てるので、これに対してこれからどう練習に取り組むかだったり、そこらへんに気づきをどうこっち側が置いていくかというところをしっかりとやれればなと思います。これが最低限というか、もっともっと本来できるポテンシャルはある中で、まだ上辺にちょっと囚われすぎて、本質の部分と戦うっていうところがちょっと最近抜け落ちてたので、そこをもう一度自分たちでも再認識した中でのトレーニングを積み上げて、 次はもっと自分たちが取り組んでることが多く、現象が起きるような試合にできる準備をしたいなと思います。

ーー前半の最後の方、ちょっと相手の時間が続きましたが監督の目にはどう見えていましたか
多分あそこから繋げって言っても難しい部分があるのかなと思ってたこで、 割り切るんだったら割り切る。だけど、そこに対してのセカンドの準備っていうのが蹴って終わりみたいになってたので。蹴るんだったらそこ(セカンドの準備)までがセットだし、蹴らないように、余裕あるんだったらトラップして自分のボールにすればっていうところで。蹴って相手のボールになるのと、トラップミスして相手のボールになるって、別にそんな変わらないじゃんと。ただ、そのやる場所さえ間違えなければ、 もう全然普通に自分のボールにした方が楽じゃないというところで、 後半はそういう少し浮いたボールのところとか、落ち着いて自分たちのボールにするとかが少しはでき始めたのかなというところではあったので。そういうところですよね。誰が落ち着かせるのというところが、やっぱりまだこのチームは、この選手が絶対落ち着かせてくれるっていう存在はいないので。だからもう全員で今何しないといけないって割り切るんだったら割り切るで、じゃあもっとこうしないといけないというところを一つ一つやり続けるしかないかなと思います。

ーー再来週以降への意気込みお願いします
そうですね。もうほんとにもう勝たせてもらった試合なので、しっかりともう1回反省し直して、 今日できた部分、できなかった部分、じゃあ優先順位的に何から取り組まないといけないのかというところをこのオフでしっかり整理して、また週明けからしっかりといい準備をして2週後の試合に臨みたいなと思いまし、その間にトレーニングマッチ絶対挟むので、そこのトレーニングマッチで、まずは1週間チャレンジして、それがどれぐらい改善できるかというとこ臨みたいなと思います。

FW駒沢直哉(スポ4=ツエーゲン金沢U18)
ーー試合全体を振り返ってください

まず勝ててホッとしているというか、やっと勝てたなというところです。

ーー勝てない期間が続いたと思いますが変えたこと、また逆に変えなかったことはありますか
変えなかったこととしては、自分たちがプレシーズン積み上げてきたものは間違ってないっていう自信はありましたし、そこでやってきたことをもう1回信じてやろうというところがありました。変えたこととしては、天皇杯含めて4試合勝てない中で先週の火曜日1回チームとして練習せずにミーティングしようとなって学年、スタメンベンチ関係なくいろいろな意見を出し合った中でもう1回本質に立ち返ろうということで、ゴール前と切り替えと準備っていう3要素をチームとして挙げて、そこをもう1回こだわろうというところを変えてやりました。

ーーその中でご自身の得点シーンを振り返っていかがですか
こういう難しい中で硬い試合っていうのは本当にセットプレーが鍵となるっていうのは思っていて、そこで伊勢(航、社4=ガンバ大阪ユース)が良いボールを蹴ってくれて、ヘディングは自分の強みでもあるので決めれて良かったです。

ーー今日の試合で良かった点、また改善点はそれぞれどう考えていますか
良かったところは無失点で、2点取って結果として勝てたというところだけで課題としては正直運に助けられたというところもありますし、相手がもっとクオリティ高かったら負けててもおかしくなかったんで正直結果としては勝てましたけど課題だらけだなっていうのは率直な感想です。

ーー最後に次節以降に向けて意気込みをお願いします
試合勝ててなくて今日は勝ちましたけど、本当にまだ自分たちは下だしここからは上に上がっていくだけなので自分がFWとして先頭で勢いつけられるように頑張りたいです。

山市秀翔(スポ3=神奈川・桐光学園)
ーー試合全体を振り返っていかがでしたか

前半の難しいセカンドボールを拾える位置にはいたんですけど、そのボール前に蹴ってしまったりとか、落ち着かせられなかったなというところで、セットプレー決めてくれて。その後は相手のコーナーキックで失点しかけましたけど、運も味方に付いて、無失点で前半終えれて、苦しい時間帯に自分が決めれたのですごい良かったと思います。

ーー流れが悪い試合が続いた中で、この試合に向けてどのような準備をしましたか
こうやって早稲田が勝ってないのは、やっぱり自分が結果、アシスト、ゴールっていう10番としてそこをできてないから負けてるなと自分に対してすごい悔しさというか、もどかしさっていうのがすごいあって、絶対に早稲田勝たせると、1週間本当にものすごい覚悟を持ってしっかり積み上げてきたものがこうやって結果としてでてすごい嬉しいし、ほっとしています。

ーー得点シーンを振り返ってください
まあ峻(谷村、スポ3=FC東京U18)から最初マイナスのボールくるかなと思ったんですけど、そこであいつ(シュート)打って、で、そのこぼれ球を最初左足で振ろうかなと思ったんですけど、相手が左のコース切ってたので、トラップして絶対打とうと思って、そしたら入ったっていう感じですね。

ーー良いコースに飛んでいたのは狙い通りでしたか
全然狙ってないです。振ろう、必ずシュート打とう、みたいな感じで、気持ちで打ち込んだ感じです。

ーー今日、良かったところと改善点はそれぞれどこになりますか
まあ本当に戦うベースだったりとか、やってやるっていう気持ちは自分も含めて、みんな出したと思うし、でもそこはベースの部分であって、絶対やらないといけないところなので、そこにプラスアルファで攻撃のクオリティだったりとか、そういうところをしっかり出していって、勝って修正できるというのが本当にいいことだなと思ってます。

ーー楽な試合展開ではなかった中で無失点で試合を終えられたことは収穫だと思いますがいかがでしたか
ここ最近本当に不用意な失点だったりとか、多くの失点が目立ってた中で、チーム全体としてもミーティングを重ねて、失点をまず無くそうっていうことを話し合って、今日はそれがしっかり結果として出て良かったなという風に思ってますし、これをやっぱり継続してこそ本当に強いチームになっていくんじゃないかと思ってます。まだまだ全然自分たちは弱いチームのままなので、もう1個敷き詰めてしっかりやっていきたいなって思ってます。

ーー具体的にここ修正しようとかって話してた部分はありましたか
バックのスピードだったりとか、チャレンジする場所だったりとか、そういうところを火曜日、ボールトレーニングなしで全員でやりました。

ーーここからのリーグ戦の意気込みをお願いします
まあ、こっから1週空いて法政ということで、2週間しっかり積み上げができるので、よりチームとしての軸を確固たるものにして、自分の良さであるそういうベースのところだったりとか、前に関わっていくところ、ボールに関与し続けるところをしっかり2週間で積み上げて、法政戦もしっかり結果で早稲田を引っ張っていきたいです。

DF尾崎凱琉(スポ1=大阪桐蔭)
ーー試合全体振り返っていかがでしたか

こっち来てすぐに怪我してしまったので公式戦出るのが久しぶりでした。1ヶ月以上離脱した中で今日初めてトップで出て、1年だし思い切ってやろうというのは試合前から思っていて、今勝ててないし、本当に泥臭くても自分がゴール守って勝ちたいという思いでこの試合に臨んだので、まず無失点で勝利できてほんとに素直に嬉しく思います。

ーー先週社会人リーグに途中から出場してという形でしたが、関東デビューが決まったのはどのタイミングでしたか
その公式戦終わった日に来週からトップでやってもらうという風には言われていて、練習していく中で、自分のプレーが練習で出せていたこともあって、水曜日、木曜日ぐらいに今週スタートでいくと思っててというのを監督に伝えられました。 そこで覚悟を決めたというか、自分がこのチームを勝たせようという思いが強くなりました。

ーー大学サッカーはここまでいかがですか
今日初めてトップでやったんですけど、今まで応援する立場で見ていて、正直自分が入ってもやれそうだなという風には感じていて。実際やってみて、今日は初めてで固くなってた部分もあったので全然まだまだでしたけど、強度的には自分はもっと上でやっていくにはこのレベルだったら全然やらなきゃいけないと思うので、もっと圧倒しなきゃいけないゲームだったなと思ってます。

ーー今日良かったところと改善したいところはどこになりますか
そうですね、相手が結構放り込んでくるチームっていうのは知っていて。競り合いの部分とかでセンターバック同士で連携ミスが起きてしまったことがあったので、あそこは自分がもっとはっきり声かけていくというところから修正していきたいです。特徴がスピードっていうところで裏に抜けたところのカバーとかは自信持っていけてたし、ゴール前での粘り強さは体現できていたと思います。

ーー再来週以降に向けて意気込みをお願いします
ここで勝って満足してたら、僕たちの目標である日本一であったり、2部優勝して1部に上がるっていう目標は絶対達成できないので、再来週のゲームに向かってチーム全体で準備して自分が引っ張っていくつもりでやっていきたいです。