第38回関東大学女子サッカーリーグ 4月27日 東伏見サッカーグラウンド
関東大学女子サッカーリーグの第3節。ここまで1勝1分けのア式蹴球部女子(ア女)は、ホームに十文字学園女子大を迎えた。8分にMF福岡結(スポ1=岡山・作陽)のクロスに、MF新井みゆき(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)が合わせ先制に成功。後半に入り同点に追いつかれるも、90分にFW生田七彩(スポ3=岡山・作陽)が決勝点を決める。試合はそのまま終了し、ア女が勝ち点3をつかみ取った。
先制点を喜ぶ選手たち
序盤から相手ゴールへと迫るア女は、8分にいきなりビッグチャンスをつくる。細かいショートパスで左サイドを攻略すると、ペナルティエリア内へ侵入した福岡が中央へ鋭いクロスを送る。このクロスに、反応したのは右サイドから走り込んできた新井。新井がワンタッチでシュートを決め、先制点を挙げる。その後も両サイドを中心に攻撃を展開するア女。30分には右サイドを突破した新井がグラウンダーのクロスを送るも、FW﨑岡由真(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)には一歩届かず。守ってはGK石田心菜(スポ4=大阪学芸)が相手のセットプレーをことごとくキャッチ。危なげない展開のまま試合はハーフタイムへ。1点リードで試合を折り返す。
パスを出す福岡
前半同様にボールを保持するア女だったが、相手のブロックを崩しきれない時間が続く。66分にコーナーキックのこぼれ球を相手に押し込まれ、同点弾を許すことに。相手より先に追加点がほしいア女は、途中交代で生田、FW米村歩夏(スポ1=宮城・聖和)、MF三宅万尋(スポ1=東京・十文字)と攻撃的な選手を投入する。87分には生田が左サイドでボールを受けると、勢い良く右足を振り抜く。綺麗な弧を描いてゴールへと向かうシュートだったが、惜しくもクロスバーにはじかれる。すると迎えた90分に試合が動く。MF築地育(スポ4=静岡・常葉大橘)がピッチ中央から右サイドへスルーパスを供給。パスを受けた三宅が相手DFを突き飛ばしてクロスを送ると、中で合わせたのは生田。相手より先にボールに反応してシュートを流し込んだ。試合終了間際にア女が貴重な勝ち越しゴールを決め、2-1と劇的勝利を飾った。
スタメン出場したFW千葉梨々花(スポ2=東京・十文字)。攻撃の起点となった
1節、2節からメンバーを入れ替えて臨んだこの一戦。今期の関カレ初スタメンとなった千葉やDF佐溝愛唯(社1=大阪・大商)が好パフォーマンスを見せ、途中出場の選手たちが攻撃を活性化させた。「誰が出てもおかしくない競争をしてくれている」と後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)が言うようにチーム内では熾烈なポジション争いが繰り広げられている。日頃の練習から競争意識を持つことが、個人としてだけでなくチーム全体の成長につながる。個々がお互いを高め合えているだけに、チームとしてのレベルアップがさらなる伸びしろだ。まずは、今節はっきりとした守備の課題にチームとして向き合い、次戦日体大との一戦に臨んでほしい。競争と成長のサイクルを維持していけば、目標である「日本一」は自ずと近づいてくるはずだ。
(記事 荒川聡吾、写真 渡辺詩乃、勝野優子)
スターティングイレブン
早大メンバー(数字は背番号、◎はキャプテン)
GK 1 石田心菜(スポ4=大阪学芸)
DF 3 杉山遥菜(スポ2=東京・十文字)
DF 5◎田頭花菜(スポ4=東京・十文字)
DF 28 佐溝愛唯(社1=大阪・大商)
MF 2 新井みゆき(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)
→85分、三宅万尋(スポ1=東京・十文字)
MF 10 築地育(スポ4=静岡・常葉大橘)
MF 11 宗形みなみ(スポ3=マイナビ仙台レディースユース)
MF 8 白井美羽(スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)
MF 27 福岡結(スポ1=岡山・作陽)
FW 7 﨑岡由真(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)
→67分、生田七彩(スポ3=岡山・作陽)
FW 15 千葉梨々花(スポ2=東京・十文字)
→75分、米村歩夏(スポ1=宮城・聖和)
コメント
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)
――試合全体を振り返りいかがでしたか
前節勝ちきれなかったなかで、今節しっかりと勝ち切れたことが収穫だと思います。
――相手のブロックを崩せない時間が続きましたか、どういった課題がありましたか
前節を踏まえて動き出しの部分で修正してきたなかで、動き出し自体は良くても、クロスがボール1個分ずれたりと、難しい部分ではありますが、細部までこだわっていく必要があると思います。
――ここまでの2試合と比べてメンバーを何人か入れ替えてきましたが、どういった意図がありましたか
選手たちにも伝えていますが、今年に関しては私がギリギリまで迷うぐらい誰が出てもおかしくない競争を選手たちがしてくれているので、これからも相手に合わせてメンバーが変わってくると思います。
――途中交代で入った2人が決勝点に絡みましたが、どういった意図で投入しましたか
前線が前半からプレッシャーをかけてくれているなかで、(相手の)足も頭も徐々に止まっていくので、フレッシュな選手たちがそれぞれの良さを出すという役割がありました。後半は相手のディフェンスラインが高かったので、生田にはそこを狙ってほしかったですし、相手の左サイドも疲れていたので、三宅にはサイドでの突破からのチャンスに期待していました。2人はその期待に応える結果を出して、素晴らしかったです。
――ここまで3試合無敗できていますが、手応えはいかがですか
今日の試合の喜びはしっかりと噛み締めますが、あくまでも日々の積み重ねが大事なので、自分たちの課題と目標である日本一との差を突き詰めて、積み重ねていく必要があると思います。
――次戦に向けた意気込みをお願いします
次は日体大との試合ですが、これまでのロングボールとカウンター主体の相手よりボールを保持してくる可能性もある相手なので、そこに向けて準備していきたいと思います。
DF田頭花菜主将(スポ4=東京・十文字)
――今日の試合を振り返りをお願いします
先週引き分けて、チームとしてもうまくいっていない雰囲気がある中で、「今週は絶対勝つ」という思いで練習してきました。自分たちが苦手としている難しい相手でしたが、勝ち切れたということが、シンプルにチームとして良かったなと思います。ただ2点目、3点目をもっと早く取れていたらこういうゲームになっていないですし、失点の時間帯など、チームとして課題ははっきりしていると思います。
――今おっしゃられた失点のところ、セットプレーからでしたがどのような課題を感じますか
シーズンが始まって、練習試合でもセットプレーの失点はあって。それも大体ファーストは競れている中で、セカンドでボールウォッチャーになってしまって、ゴール前に立てているのにボールホルダーにアプローチできていないことが多いです。中で声が出ていないというのも課題の一つですし、意識の部分で変えられるところではあるので、そこは変えていきたいです。
――2点、3点奪えれば、とおっしゃっていましたが攻撃面ではどのような課題を感じますか
前半から、クロスを上げてキーパー前に1枚入れれば、ということは言っていましたし、あと一歩足を出せればという最後の質の部分がまだまだ足りていないところです。ただ先週の筑波大戦で、外回しになってゴール前で角をとりに行くアクションが少ない、というのは分析する中でも出ていて、そこに関してはチームとして意識できていたのかなと。2点目はそれがつながったかたちでしたし、評価できる部分ではあると思いますが、まだまだ課題はあるなと思います。
――今年から主将を務めることになりましたが、どういうふうにチームを引っ張っていきたいですか
まずは、自分が1番早稲田の顔になる存在ですし、強さは見せていかなければいけないなと思っています。ピッチ上で相手にとって怖い選手にならなければいけない中で、自分がその中で1番怖い選手にならなければいけないです。4年生として、まだ同期の中でもピッチ内外で話し合いきれていない部分はあるので、そこも含めて全体を見るのが自分の役割だと思っていますし、自分の強みにしている「第三者の立場で客観的に全体を見る」というところはもっと生かしていかなければなと思います。ただサッカーをしている以上、1番見せなければいけないのはピッチ上の姿だと思うので、そこは意識して、今後も上を目指していかなければいけないなと思います。
――最後に次戦に向けて意気込みをお願いします
今日勝ちきれたことはすごく良かったですが、目標にしているのはインカレ優勝ですし、リーグ戦はそこに向けての過程だと思っていて。勝ち点3をとる、勝ちながら成長していく、というのがベストだと思うので、来週も全員がメンバー争いの中で自信をもって挑んでいきたいと思います。
FW生田七彩(スポ3=岡山・作陽)
――今日の試合を振り返っていかがですか
前節引き分けで終わって、悔しい結果で終わったんですけど、勝ち点3を取ることができて、安心しています。
――途中出場の際に、何か監督からの指示だったり、ご自身でもどのようなことを考えてピッチに臨みましたか
相手のディフェンスラインが結構高くて、自分の背後の抜け出しを狙ってというのを監督に言われたのと、自分自身もラインが高いなと思っていたので、そこは積極的に狙ってゴールを取ろうという気持ちで入りました。
――ア女のポジション争いだったり、スタメン起用についてはいかがですか
今、下の学年の子たちがFWで結構前からやってくれてて、自分自身もコンディションとがあるんですけど、結果を出していかないとチームを勝たせることができる選手にはなれないので、結果には自分自身もこだわるようにしています。
――今日の試合のご自身の得点シーンを振り返っていかがですか
今週は特に、練習の時にクロス練習を結構していて、入り方を自分的にも意識してて、右サイドの選手が持った時に、結構ニアにハイボールくるなと思ったので信じて走り込んだら、来たので押し込むという形になって、点が入って良かったです。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
次戦も厳しい戦いになると思うんですけど、しっかりチームで積み上げているものと、今日の反省を今週またしっかり修正して、自分が点をとって勝たせるくらいの気持ちでこれからもやっていきたいなと思います。
MF新井みゆき(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)
――今日の試合を振り返って
前半に先制点を取れましたが、後半に追いつかれて苦しい時間帯が多かったと感じています。ですが、アディショナルタイムで追加点を取ることができて、結果的に勝てて良かったです。
――新井選手の先制点を振り返って
結(福岡結、スポ1=岡山・作陽)が左サイドからとてもいいクロスを上げてくれたので、押し込むだけでした。相手よりいち早く触って押し込もうという気持ちでやりました。
――マークの受け渡しで難しい部分もあったと思いますが、手応えは
試合の中でも美羽さん(白井美羽、スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)とコミュニケーションを取って試行錯誤しながらやっていました。結果的に裏を取られて、失点につながってしまった部分はありますが、ポジティブにそこは今日の課題だと思って修正していきたいと思います。
――特にどういった課題を修正していきたいですか
受け渡しのコミュニケーションだったり、相手のポジションを見て(マークを)うまくチェンジするといった判断をいち早くできるように修正していきたいです。
――試合中運動量多く走り続けていましたが、ご自身のハードワークを振り返って
ウィングバックは攻守に渡って躍動しなければならないポジションなので、正直上がるのがきつい時もありますが、試合の中ではそこは勝利のために気持ちで走ってます。
――次戦への意気込みをお願いします
次戦は日体大で今日以上に相手の勢いやレベルが上がると思います。失点してしまうというチームの課題があるので、無失点で抑えつつ、得点も取って勝ちたいです。