第38回関東大学女子サッカーリーグ 4月13日 早大東伏見サッカー場
「翔頂」というスローガンを掲げ、全日本大学女子選手権(インカレ)優勝を目指す今季のア式蹴球部女子(ア女)。今季最初の公式戦である、関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)の開幕戦に臨んだ。序盤からボールを保持しながら、相手ブロックを崩しきれないまま前半を終えたア女だったが、68分に試合が動く。MF宗形みなみ(スポ3=マイナビ仙台レディースユース)がドリブルでペナルティエリアへ侵入し、パスを受けたFW﨑岡由真(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)のシュートが決まり先制。その後、自陣でのボールロストから同点に追いつかれるが、79分に相手ディフェンスラインの裏を取ったFW生田七彩(スポ3=岡山・作陽)が冷静にシュートを流し込み、勝ち越した。そのまま試合は終了し、ア女が見事白星スタートを切った。
先制点を喜ぶ選手たち
序盤からゲームをコントロールすることに成功したのはア女だった。最終ラインから丁寧にサイドへボールを回し、前進するア女。サイドのウイングバックで出場したMF三宅万尋(スポ1=東京・十文字)とMF新井みゆき(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)を起点に攻撃を仕掛ける。5分にはMF大山愛笑(スポ2=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)のスルーパスに反応した新井が、右サイドからクロスを送る。このクロスにファーサイドで三宅がボレーシュートで合わせるが、シュートは枠外へ。25分には左サイドを突破した三宅のクロスを受けた新井がシュートを放つ。相手キーパーの手をかすめてゴールへと向かったボールは、相手ディフェンダーの好ブロックに遭い、先制点ならず。その後も攻勢に出るア女だったが、なかなかシュートまでたどり着けずに試合はハーフタイムへ。スコアレスで試合を折り返すことになった。
ドリブルでサイドを駆け上がる三宅
早々に先制点を挙げ、試合を優位に進めたいア女は後半に入っても攻撃の手を緩めない。前半同様に相手コートでボールを支配し、ボールを奪われても敵陣ですぐに奪い返す。すると迎えた68分、敵陣でボールを受けた宗形がドリブルで相手ペナルティエリア内へ侵入する。宗形は、相手選手を複数人引き付けたタイミングで﨑岡へヒールパス。フリーでボールを受けた﨑岡は、「(ボールを)落としてくれた時にはシュートコースが見えていた」という言葉通りにトラップから迷うことなく右足を振り抜く。このシュートがゴールネットを揺らし、ア女が先制に成功する。先制の勢いをままに、追加点がほしいア女。しかし、76分に自陣中央で相手のプレスにかかり、ボールを奪われると、そのまま相手にショートカウンターを食らい、痛恨の同点弾を許すことに。試合を振り出しに戻されたア女だったが、直後に再度試合が大きく動く。79分に左サイドでパスを受けたDF木南花菜副将(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉マリ)が、相手ディフェンスライン裏へスルーパスを供給。このパスに反応した生田が相手キーパーとの1対1を制し、勝ち越しゴールを決め、ア女が再びリードする展開となった。その後も相手にチャンスをつくらせずに、ア女が試合をコントロール。しっかりと最後までリードを守り抜き、開幕戦で勝ち点3を勝ち取った。
パスコースを探す大山
攻守一体のサッカーを見せつけたこの一戦。相手の堅いブロックに遭いながらも厚みのある攻撃で複数得点を決め、守っては3バックを中心としたハイラインで即時奪回に成功。90分を通じてゲームを支配し、猛攻を仕掛け続けた。攻撃面では、新入生の三宅、MF福岡結(スポ1=岡山・作陽)が果敢にドリブルでサイドからチャンスを創出。昨年の主力が卒業した最終ラインでは、DF田頭花菜主将(スポ4=東京・十文字)、木南がチームを統率した。昨年の積み重ねをベースに新たな戦力も加わり、着実に成長した姿を見せているア女。昨季あと一歩で逃したインカレ優勝に向け、大事な関カレの初戦を白星で飾った。
(記事 荒川聡吾、写真 勝野優子)
スターティングイレブン
早大メンバー(数字は背番号、◎はキャプテン)
GK 1 石田心菜(スポ4=大阪学芸)
DF 3 杉山遥菜(スポ2=東京・十文字)
DF 5◎田頭花菜(スポ4=東京・十文字)
DF 6 木南花菜(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉マリ)
MF 2 新井みゆき(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)
→34分、福岡結(スポ1=岡山・作陽)
MF 10 築地育(スポ4=静岡・常葉大橘)
MF 11 宗形みなみ(スポ3=マイナビ仙台レディースユース)
MF 14 大山愛笑(スポ2=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)
→57分、白井美羽(スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)
MF 24 三宅真尋(スポ1=東京・十文字)
FW 7 﨑岡由真(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)
→76分、生田七彩(スポ3=岡山・作陽)
FW 26 米村歩夏(スポ1=宮城・聖和)
→57分、千葉梨々花(スポ2=東京・十文字)
コメント
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)
ーー試合全体を振り返ってください
関カレの開幕戦らしい一戦だったかなと。なかなかシュートの本数だったり、チャンスはあっても、決めきれないという試合だったと思います。
ーー始動から開幕戦までどういった準備をしてきましたか
メンバーは変わっているのですが、昨年積み重ねたベースもあるので、そこに今年の豊富なタレントがいる前線の選手たちをどうつなげていくか。去年に比べると攻撃の部分を重視し、チームをつくってきました。今日、もっとシュートシーンをつくれたという場面もありましたけど、攻撃に関してはある程度自分たちが狙ってスペースをつくることができていたと評価できる部分はあると思います。
ーー相手のブロックを崩しきれない時間が長く続きましたが、どういった課題が攻撃面ではあると感じますか
スカウティングのところで(事前に)そうなる可能性もあるとは分かっていたので、自分たちが精神的にじれずにというのがまずはありました。最後のアタッキングゾーンのところのラストパスや、クロスの場面でパスを送るのか、クロスをするべきなのか、むしろゴールを狙うべきなのかという判断を、中盤もフォワードもシュートレンジが広い選手たちなので、より柔軟に相手が嫌がるような選択ができるようになれば、もう少し早く点数が入ると思います。
ーー新加入選手、新体制への印象はいかがですか
うちは学年があるようでないというか。1年生がこうやってのびのびやれているのは4年生がそういうチームづくりをしてくれているからですし、入って2か月で1年生が自分たちの特徴を出しているからこそ、こうやって起用できているので。そういう意味では2月の始動以降、4年生がそういうチームをつくってきたおかげで新入生が躍動していると思います。
ーー次戦に向けた意気込みをお願いします
課題がしっかりと出たので、選手たちも分かっていると思いますけど攻守ともに課題をこの1週間でしっかりと改善して、積み重ねられるように準備したいと思います。
FW生田七彩(スポ3=岡山・作陽)
ーー今日の開幕戦を振り返っていかがですか
まず、前半のうちに点が欲しかった所だと思うんですけどそこで点を取れなくて、チーム的にもちょっと焦った感じが見えたんですけど、自分が入ったらずっと得点というのは狙っていたので積極的に裏への切り出しだったりとか、チャンスメイクしたいなと思っていたので、チームとしては、苦しい試合になったんですけど最終的に点が取れたのは自分の中でも結構自信になったかなと思います。
ーー今日の得点シーン、失点シーンについて振り返っていかがでしたか
失点シーンは交代前で1–1になった時にちょうどに自分が出たので、チームの雰囲気も少し重たい感じはあったんですけど、出るからには流れを変えるくらいの勢いで、思い切り最初からプレーできたのはよかったかなと思います。
ーーご自身の得点シーンについて振り返っていかがですか
最初は絶対裏に抜け出して、チャンスメイクしようと思ってたので、花菜さん(木南花菜、スポ4=ちふれASエルフェン埼玉マリ)と目が合った時に、「あ、来るな」と思ったので走り出したら、いいボールが来たので、自分らしいプレーじゃないですけどそんなプレーになったのかなと思います。
ーーFWのポジションで途中交代という場面で、得点を決めようと思って入られたと思います。どのようなことを考えてプレーに臨みましたか
やっぱりその流れが重たい時に流れを変えたいと思って入ったので、相手が引いて戻ってくるのに対して、そこで1個、思い切りプレーを出そうと思っていきました。
ーー関カレ次戦に向けての意気込みをお願いします
勝ち点を積み重ねていく上で、点は絶対に必要になっていくので前線から試合を勢いつけるチームに貢献していきたいと思います。
FW﨑岡由真(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)
ーー試合全体を振り返ってください
まずはしっかりと勝ち切れたこと、初戦を勝って終われたことがとても良かったと思います。
ーーチームの始動からここまでチームとしてどういった取り組みをしてきましたか
まずは始動から「翔頂」というスローガンを掲げてそれを目指すというところから始まって、このチームは一人一人がチームのために行動するということを日々の練習から意識をして取り組んできました。
ーー前半後半を通じてシュートまでたどり着けない時間が続きましたが、攻撃面でどういった課題がありましたか
崩せている中でシュートを打ちきれなかったり、最後のクロスに入り切れていないというところで課題を感じたのですが、じれずに攻撃を続けられたことは良かった点だと感じます。
ーーご自身の得点シーンを振り返ってください
なかなか個人的にもシュートが打てていない状況で、良いタイミングでみなみさん(宗形、スポ3=マイナビ仙台レディースユース)が凄く良いドリブルをして、(ボールを)落としてくれた時にはもうシュートコースが見えていたので、振り切って決めきることができて良かったと思います。
ーーチームの雰囲気や完成度はどうですか
まだまだすり合わせていかないといけないと思いますけど、もう開幕しているのでこれから強くなるためには、お互いがもっと要求したり、声をかけあっていかないといけないと感じます。
ーー次戦に向けた意気込みをお願いします
次戦もしっかりと勝ち切って、勝ち点を積み上げられるように全員がチームのために頑張っていけたらと思います。
MF三宅真尋(スポ1=東京・十文字)
ーー今日の試合を振り返っていかがでしたか
相手が引いてきて、自分たちがボールを持っているシーンが多かったと思うんですけど、前半は決め切るべきところも決めきれず、相手が守ってというシーンが多くて。後半このままもっと続けてって点を取ろう、という話になって、ちゃんと自分たちのペースで点を取ることができたのでよかったです。
ーー得点シーン、失点シーンを振り返っていかがですか
やっぱり自分たちのチームのミスからの失点で、気の緩みがあったかなと思うのでそこは、今後しっかり修正するべきだなと思います。
ーーア女に加入して数ヶ月経つと思いますが、チームの印象はいかがですか
やっぱり全員が日本一を目指してる集団であって一人一人の意識が高いなと日々思うし、先輩方も一年生を快く受け入れてくれて、いやすい環境だなと思います。
ーー三宅選手自身、今後ア女でどのような選手になっていきたいですか
今日は全然納得のいくプレーができなかったですし、もっと得点というところに絡んで、ア女の勝利に貢献できる選手になりたいなと思います。
ーー関カレ次戦に向けて意気込みをお願いします
今日1失点したというところを反省として、もっと成長できると思うので、個人としてもチームとしても、もっと上に行くために次も絶対勝っていきたいと思います。