中・高年の映画ファンには懐かしい、『俺たちに明日はない』(1967年)。
ボニーとクライドという犯罪者カップルの波乱の人生を描いたこの作品は、大ヒットしましたネ。
ボニー役を演じたフェイ・ダナウェイはこの作品でアカデミー主演女優賞にノミネートされ、以後一流女優として活躍するキッカケとなりました。
この映画、実はノンフィクションであり2人とも実在の人物。
彼らがラスト・シーンの通り壮絶な最期を遂げたのが、今からちょうど90年前の今日のことでした。
1910年にテキサス州に生まれたボニー・パーカー(Bonnie Parker )は幼くして父親を亡くし、高校時代に16歳で同級生と結婚するも、夫・レイが銀行強盗の容疑で刑務所入り。
しかし何故かその後も離婚はしなかったそうな。
一方のクライド・バロウ(Clyde Barrow )はボニーより1年早く1909年に同じくテキサス州で貧しい農家の8人兄弟の5番目として生まれました。
子供の頃から動物虐待をするなど粗暴なところがあり、17歳の頃には兄が入っていたギャング団に加わり、自動車窃盗や強盗を繰り返す札付きのワル。
この2人が初めてであったのは1930年・・・クライドの友人の家だったとか。
類は友を呼ぶと言いますが、ボニーはクライドの危ない雰囲気に一目惚れし、以後行動を共にするようになります。
出会った直後にクライドは逮捕され2年間服役しますが更生することはなく、出所後も〝バロウ・ギャング〟という犯罪集団のリーダーとなって仲間と共に強盗殺人などの重犯罪を繰り返し、一般人だけでなく保安官・警察官をも殺すという極悪非道ぶり。
クライドが強盗を働き、ボニーが逃走用の自動車で待機する・・・というパターンだったようですが、そのクルマが当時最先端のフォードV8 (といっても、殆どが盗難車) であり、かつすぐに州境を超えて追手を振り切るなど実にスピーディーな手口。
またこの2人を何故か当時のマスコミは好意的に伝えたこともあってか、彼らを匿(かくま)う者が続出・・・なかなか捕まりませんでした。
しかし当時のFBI長官が 〝アメリカの狂犬たち〟と呼んだこの2人にも、悪運の尽きる時がやってきます。
1934年5月23日・・・ルイジアナ州内の道路をフォードV8で走行中の2人を、タレコミ情報を受けて待ち構えていたレンジャー部隊と警官6名が待ち伏せ、機関銃などで150発の銃弾を乱射。
うち約80発もの貫通弾を車内で浴びた二人は、敢え無く即死したのです。
全く褒められない人生を送った二人の冥福を祈るつもりはありませんが、2013年に彼らの名が久しぶりにクローズアップされる出来事がありました。
それは、彼らが所持していた拳銃がオークションで出品されたから。
そしてボニーのコルト社製38口径リボルバーが26万4,000$(約2,000万円)、クライドのコルト社製45口径が24万$(約1,870万円)で落札されたのです。
その他彼らが銃撃された車から発見された未使用のストッキングや薬瓶までオークションにかけられたというのですから、驚くやら呆れるやら・・・。😲
盗んだ金品を貧しい人々に分け与えた〝義賊〟として鼠小僧次郎吉が人気を博すのは分かりますが、盗んだ金を全て自らの懐に入れ殺人まで犯した彼らが、何故人気者に?
これも日本人とアメリカ人の、メンタリティーの違いなのかも。