一般的に、というか一昔前の〝3K〟というと、【きつい・汚い・危険】 ですょネ。
「最近の若い者は、3Kの仕事をやりたがらなくて、困るョ」なんて愚痴を以前はよく聞きましたが・・・今日は、私が大変尊敬している故・松原泰道尊師が提唱する〝3K〟を 『傑僧説法 百八のことだま』 (日経BP社・刊) よりご紹介致します。
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皆さんにお伝えしたいのは、〝プラスの3K〟・・・すなわち、
希望・工夫・感動
です。
まず 『希望』 から。
やはりどんな時でも希望を無くしてはならない。
マッカーサーGHQ総司令長官の座右の銘に、「希望ある限り人は若く、希望を失う時に人は老いる」 とあります。
私たちもやはり希望を失いたくない。
自分だけでなく、人にも希望を持たせるような生き方でなくてはなりません。
布教とか逆境とか、また生身の人間ですから不遇や病気にも出会いますが、そういう時にも希望は失ってはいけません。
以前水戸市で 〝14歳の少年少女を励ます会〟 に講演で伺った際、集まった中学2年生とその父兄を前に、1人の少年がこんな発表をしました。
「僕はふとしたことから学校に行くのがイヤになりました。
いわゆる登校拒否です。
ある時友達が来て、町内会の運動会を見に行こうと誘ってくれました。
運動会の終わり頃、友達に無理矢理引っ張られて障害物競走に参加したんです。
スタートラインに並ぶと今までの怠けた気持ちが少なくなり、ピストルの音と同時に走りました。
僕の前に様々な障害物が並んでいます。
それを越える際にいろいろ考えると躓く。
ただただ目前に迫ってくる障害を一つ一つ乗り越えていく。
夢中になって走っているうちに入賞できた。
僕は不動の姿勢になっていました。
僕は目が覚めました。 明日から学校に行こうと決心しました。
大人になれば、なお障害があるでしょうが、これから出会う障害を一つ一つ乗り越えていきます。
これが僕の希望です。
そして多くの人に希望を持ってもらいたいと思います。」
参列した大人たちはこの少年を良く知っているのでしょう。
涙を流して拍手して、彼の将来を祝福していました。
次に 『工夫』 です。
希望を持ち、それを実現するために創意工夫が必要になります。
例えば、従来のやり方では駄目だ、リーダーである自分はどう部下を引っ張っていけばいいのか。
そんな逆境であればあるほど工夫が必要になり、また創造力が発揮されるのです。
病気になったおかげで新しい人生を切り開く事ができた、不景気になったおかげで新しい経営手法を創造できた、などです。
そして最後は 『感動』 です。
希望を持ったり工夫するためには、ジッとしていたのでは駄目です。
外へ出てみましょう。 自然の佇まいを見てみましょう。
小さな虫の動きの中にも、私達は何かメッセージを受け取ることができます。
これが感動です。
周りの景色の中から謙虚に学ぶ気持ちが起きてくると、そこにヒントを得ることもできる。
ブルースの女王と呼ばれた淡谷のり子さんが音楽学校に通っていた時、どの先生も名曲や名作を紹介して 「このレコードは必ず買いなさい。」 などと勧めたそうです。
ところが唯1人、久保田梅子先生は 「音楽は音符や楽譜だけではありません。鳥の声も谷川のせせらぎなど、何を聞いてもそれが音楽として聞こえる耳を養いなさい。」 とおっしゃった。
10人以上の学生に話をされたはずですが、その言葉を自分自身の心の中に留めたのは、淡谷さん唯1人だったんですネ。
皆は聞いていても聞こえず、聞こえていてもそれを掴むことができなかった。
掴む・・・人生の勝負はここにあります。
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2024年の年頭に当たり、〝プラスの3K〟・・・心したいものです。