とかく一般人には馴染みが薄い、科学の世界。
時々ノーベル科学賞の受賞者が出た時だけはマスコミが取り上げますが、普段私たちの生活になくてはならない科学分野なのに、あまり注目されないのが実情でしょう。
しかし、おそらく昭和世代の方の多くは、この独特な風貌の科学者をご存知のはず。
今日・4月20日は、この元東京大学名誉教授にして、地球物理学の第一人者でいらした
竹 内 均 氏
の命日・没後20周年にあたります。
1920(大正9)年に福井県大野市に生まれた竹内氏は、中学2年生の時に読んだ寺田寅彦氏のエッセーに感動し科学の道に進むことを決めたとか。
1943年に東京帝国大学理学部を卒業し、さらに大学院に進んで地球潮汐 (ちょうせき) の問題に取り組み、早くも世界的な業績を収めました。
その後も学内に留まり地球物理学の分野で様々な業績を残されましたが、何と言っても竹内氏の功績は、自らがマスメディアに頻繁に露出 (テレビ出演だけで何と2,000回以上!) し、約450冊もの著作を上梓することで、私たち一般人に科学の世界を分かりやすく紹介したこと。
ですから私のような文系人間でも、竹内氏の鼈甲縁のメガネをかけたにこやかな笑顔を記憶しているんでしょうネ。
そしてもうひとつ、私が今でも彼の〝遺産〟としてお世話になっているもの・・・それは、科学雑誌〝Newton 〟。
科学を多くの人に広めたい・・・そんな彼の願いから、〝中学生にも分かる科学雑誌〟 というコンセプトで、自らが編集長となって創刊されました。
多くのカラー写真や図解を駆使して、難解な科学の話が分かりやすく解説されており、素人の私にも非常に興味深く読める内容になっています。
今でも興味を引かれる話題が掲載されていると購入している私。
たとえノーベル賞を受賞していなくとも、我が国の科学分野の裾野を広げた竹内氏の功績は計り知れないものがあったと思います。
2004(平成16)年4月20日、心不全により83歳で逝去された竹内氏のご冥福を、〝Newton 〟のバックナンバーをめくりつつ、祈りたいと思います。