「お父さん、ここのお寿司、回ってないネ!」
たまには家族に高級な寿司を食べさせようと、大奮発して連れて行った銀座の寿司屋で店中に聞こえるような大声で息子に言われ、お父さんは顔を真っ赤にして俯くばかり・・・。
こんな悲話を耳にしたのも、今は昔。
今日は、今や一大外食産業に成長した
回転寿司の日
なのだそうな。
日本初の回転寿司店をオープンさせた元禄寿司の創業者・白石義明氏の誕生日に因んだ記念日だとか。
元々大阪で立ち食い寿司店を経営していた白石氏が、ビール工場のベルトコンベアを見て回転寿司を思いついたのは戦後間もなくの1948(昭和23)年。
それから試行錯誤をの末1957年に〝コンベア旋回式食事台〟を完成させ、現在の東大阪市に 『廻る元禄寿司』 第1号店をオープンしたのは、私の生まれた年である1958(昭和33)年4月のことだったそうです。
何と回転寿司は、60年以上の歴史があるんですネ。
このスタイルが全国的に有名になったのは、1970(昭和45)年。
大阪で開催された万国博覧会に元禄産業がこの回転寿司を出展、食品優秀店に選ばれたことで一気に注目を集めました。
1978年に白石氏が取得していた実用新案登録の権利が切れると同時に、多くの大手企業が回転寿司業界に参入し過当競争の時代に突入します。
以前は、個人的に〝回転寿司=低品質〟という固定観念を持っていた私ですが、それが大きく覆ったのは新潟支店勤務時代。
具体的なチェーン名は伏せますが、初めてその店に入った時の衝撃・・・都内の一流店で出されるような大きくて新鮮なネタが、これでもかとばかりにクルクル回っているのを目の当たりにして、全くイメージが変わってしまいました。
今では回転寿司で食事することに、全く抵抗がない私・・・しかし、不安もあるのです。
確かに自動給茶装置や寿司ロボット等々の新兵器が開発され、コスト軽減によって安く手軽に家族揃って寿司を楽しめるようになりましたが、本来の寿司は職人がお客の目の前で握るもの。
回転寿司しか知らずに育った子供が大きくなって、
「パパ、珍しいねェ~。 ここのお寿司、人間が手で握ってるョ!」
な~んて、銀座の寿司屋で驚く子供が現れなければいいのですが・・・。😨