若い方にとって、テレビがカラーであることはごく当たり前でしょうが、白黒テレビを知る私ら50歳以上の人間にとって、テレビのカラー化は画期的でした。 その
カラーテレビ
の本放送が、NHK・日本テレビ・ラジオ東京テレビ(※現在のTBS)・読売テレビ・朝日放送の5放送局で開始されたのが、今からちょうど60年前の今日・1960(昭和35)年9月10日のことでした。
(※ちなみにアメリカでは1954年1月から放送開始。)
私が2歳になる前でしたが、当然のことながら当時はカラーテレビなど一般家庭には殆ど普及していませんでした。
それもそのはず、この本放送前に松下電器が発売した(当時は総天然色テレビジョンと呼ばれていた)カラーテレビ第1号機の価格が、50万円・・・現在の貨幣価値で300万円近かったのですから、無理もありません。
1964年に開催された東京オリンピックに合わせ、全国的に普及し始めたとか。
その5年後、1969年にアポロ11号が月面着陸に成功する直前、多くのメーカーが
「月面着陸をカラーで見よう!」
と盛んにCMを流していたことも憶えています。
さてこのカラーテレビに関して、私にはほろ苦い思い出が。
イギリスBBC制作の人気番組・『サンダーバード』 がNHKで放映開始されたのが1966年4月。
新聞のテレビ欄に【カラー】と書かれていたため、私は「ついにカラーでテレビが見られる!」と、ワクワクして放送開始時刻の午後6時を待ちました。
そして遂に番組の冒頭、「ファイブ、フォー・・・」 というカウントダウンと共に映し出された画像は、下の写真のような〝白黒〟。
我が家のTVは白黒テレビのままでしたから当たり前なんですが、子供の私は受像機がカラー用じゃなきゃダメなんて、知る由もなし。
期待を裏切られ怒り狂った私は、父親に向かって
「なんでカラーで映らないんだよゥ!」
と涙目で訴えたことを憶えています。
オヤジはただ黙って私の抗議(?)を聞き流すだけ。
今にして思えば、高価だったカラーテレビを買えなかったオヤジに随分辛い思いをさせてしまった・・・と、後悔するばかり。
白黒TVのブラウン管画面にカバーをかけ、見る毎にそれをまくり上げるという宝物の如き扱いだった昔から、
〝カラー → 超薄型 → デジタル → 3D → 4K → ?〟
と、この半世紀余りで誰も予想できない程の進化を続けるテレビ・・・これからどんな驚きの技術が開発されるのか、楽しみです。
それにしても、技術開発に反比例して肝心な番組の中身がどんどん稚拙化していくのは、どうしてなんでしょう?