恐怖の商談 < 上 > | ナベちゃんの徒然草

ナベちゃんの徒然草

還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

いよいよ来年は東京オリンピックが開催されます。

既に申し込みが締め切られたチケットの当選発表が今月20日に行われるそうですが・・・このオリンピックのチケットに関し、私にはサラリーマン時代に忘れられない経験があります。

〝足がすくむ〟 という言葉がありますが、皆さんは実際にそんな恐怖体験をお持ちでしょうか?

 

以前ロッキード事件の国会証人喚問に召喚された某企業トップが、緊張で手が震えて宣誓書になかなか署名できなかった・・・いわゆる〝手がすくむ〟状況をTV中継で見たことがありました。

 

(いくらなんでも字が書けないなんてことがあるのか?)

 

と疑問に思ったものですが、まさか自分が数年後に同じ状況に陥るとは、その時は夢にも思いませんでした。

 

それは今から30年以上前・・・まだ私が20代後半の若き営業社員時代のこと。

 

数年後にソウル五輪を控えたその頃、勤務していた損保会社では「加入するとソウルオリンピックの入場券をゲット」できるという、旅行会社・信販会社とタイアップした積立保険を販売することに。

 

距離も近いし、体操・柔道・水泳など有望種目が多い事から結構売れたのですが・・・その販売キャンペーンも終盤に差し掛かった時、ある取引先から顧客の紹介をいただいたのです。

 

何でもソウル五輪をどうしても現地で観たいので保険に加入したい、という会社々長の知人がいるとのこと。

 

ただ紹介してくれたご本人は保険の素人ゆえ、私に説明に行って欲しいと・・・新規のお話ですから、「もちろん、いいですョ。」 と私はふたつ返事でOK。

 

翌日昼過ぎ、都内某所にあるその会社に向かったのですが・・・教えられた住所には大きなマンションが建っており、しかも郵便受けには社名などの表記が全くナシ。 

            

    郵便受け

 

さらにドアの前に行ってみると、表札もかかっていないのです。

 

(変なの~。)

 

とは思ったものの、丁度指定された時間になったのでドアをコンコンっと叩くと、「どうぞ」 と中から声が。

 

「失礼しま~す。」

 

とお辞儀をしながらドアを開けて中に入り、

 

「A社長さんはいらっしゃい・・・」

 

と言いかけた私は、目の前の光景に思わず言葉を呑みこんでしまいました。

 

事務所の正面奥には大きな神棚が祀られており、その両側には〝○○組〟と書かれた弓張提灯がズラ~リ。

 

そしてフロアにはコワモテのオニイサンが数名。

 

ここがどんな会社なのか、もうご説明の必要がないでしょう。

 

「何だ、オメェは?」

 

と一番近くに座っていたオニイサンにドスの効いた声で聞かれ、思わず社名と自分の苗字を喋ってしまった私は、続けて (すみません、間違えました~。) と言って帰ろうとしたその時・・・部屋の左奥から

 

「おぅ、こっちに来てもらいな!」

 

という、野太い声が。

 

その一言ですっかり体が硬直してしまった私・・・「おう、こっちだ」 という若い衆 ジャナカッタ 社員に案内されるまま、まるで壊れかけのロボットのようにぎこちない歩き方で、『社長室』 に通されました。

 

「アンタが保険屋さんかい? 待ってたゾ。 まぁ、こっちに来いヤ。」

 

そういわれるまま、部屋の奥にあるバカでかい応接セットに座らされた私。

 

嗚呼、もう逃げれないナベちゃんの、明日はどっちだ? うー

 

                       ・・・・・To be continued

 

 

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