今月19日、1936年の船舶賃借を巡る裁判で損害賠償の支払いを命じられていた商船三井の船舶1隻を、中国の上海海事法院(裁判所)が差し押さえました。
80年近く前の、しかも戦時中の財産損失を今になって保障させようという判決自体信じ難いことですが、これに対し商船三井が昨日金利を含めた40億円もの大金を(供託金という形で)中国の裁判所に支払い、差し押さえはすぐに解除されたとのこと。
しかしこういう前例を作ると既に提訴されている他の案件を含め、今後同様の訴訟が中国内で次々起こされ、我が国の資産が脅かされることは明白。
支払いを拒み続けると船舶を競売にかけられたり、あるいは差し押さえが長引けば大きな損失が考えられますから、利益追求が最優先の民間企業とすれば止むを得ない判断ともいえますが、
憤懣やるかたないというか釈然としない方も多いことでしょう。
この一件は、昨年11月に中国が突然尖閣諸島を含む東シナ海に防空識別圏を設定した時と似ています。
当時は日本政府が遺憾の意を表明したにもかかわらず、日本の民間航空会社はすぐに中国政府に対し飛行計画書を提出しました。
乗客の安全を最優先した・・・といえば聞こえはいいですが、実質的には中国の圧力にあっさり屈した形。
私は商船三井と航空会社の姿勢に、共通した日本人の特性を感じるのです。 それは
◆ 声が大きかったり強い相手にはとりあえず下手に出て、その場や
自分さえ凌げればいい・・・という先送り・逃げの姿勢
◆ 自分が引けば相手もいつかは拳を降ろすはず・・・という楽観主義
とかく日本企業は少数意見であっても口うるさいクレーマーには弱いというか、阿る体質があります。
しかしそれは協調性を重んじる日本国内ならまだしも、相手が外国の場合だと通用しません。
たとえば資産家の息子が近所の悪ガキにカツアゲされた時、
「持っているお金を全部あげるから、今回限りにしてくれョ。」
と何の抵抗もせず財布ごと彼らに渡したら、どうなるか?
間違いなくその良い子は「ちょっと脅せば、すぐカネを出す」〝上客〟として悪ガキにリストアップされ、いつまでもたかられるでしょう。
悪ガキが何処の国で、素直な良い子が何処の国か・・・もう、言うまでもありませんネ。
商船三井の船舶や従軍慰安婦問題における河野談話なんて、良い子の財布そのもの。
(※良い子が悪ガキから身を護るには、空手やボクシングを習うなどして彼らより喧嘩が強くなるしかありません。)
中国政府は船舶の差し押さえに関し 「ビジネス上の問題」 と関与を否定していますが、共産党が一党支配している国でそんなことは有り得ないでしょう。
まして昨日オバマ大統領が安全保障の範囲に尖閣諸島が含まれることを明言したことで、彼らが反発を強めあらゆる手段を用いて圧力をかけてくることは必至。
三井船舶や航空会社など民間企業に対応を任せるのではなく、日本政府が前面に出て我が国の国益・資産を護る強い姿勢を示すべきです。
我が国は、大陸や半島の財布ではありませんから。