第七話 神の国日本 ⑧
シャンシャン
シャン
シャン
「あらーま-
来た。また来たよ
」
ここは江戸の色街、
吉原の遊郭
格子戸の向こうには
襟を大きく抜いた厚化粧の女郎と呼ばれる
遊女がずらりと座っている。
「まあー驚いた。また来たね。
おこじき神主さんで
ありんすよ。
あのなりを、
見ておくれよ」
手には、大きな鈴を持ち、肩から下げた頭陀袋。
何やら呪文を唱えながら、、
色街を歩いて清めているという。
シャンシャン
シャン
「でもさあ、あの鈴聴くと、心が洗われるのさ、、
ねえ神主さん、、ここの前で
もういっぺんおまじないの呪文を
となえておくれよ
。」
口々につぶやく声に
「有り難い、、有り難い、、天地の祓い
○ ☓△※☆※▲◎。、、、、、、、、」
「あのおこじき神主さん、わずかの賽銭を
裏の
顔切長屋(処刑場)の非人たちに
恵んでやるんだってさ、、。
奇特な人だよ
なりは汚いがいい声してるよね。
ありがたいありがたい
」
この時分
吉原では、女郎に売られてきた女達は
一日二度の白飯を
お腹いっぱい食べられるから、と、
家族を飢えから守るため、
女衒と呼ばれる
人買いに連れられて
身を落とし春を売る
悲しい女達が何千人も居たという。
シャンシャン
シャン
「邪魔するよ。夕霧太夫は座敷かい
」
「乙音師匠、、おいでなさい、、
夕霧太夫は
奥の
両替屋さんたちの座敷でさあ」
男衆に案内されて、、
乙音師匠(アイルトン・陽太郎)は
座敷に上がった。
「おや乙音師匠や
ないの
」
声をかけたのは、大店の両替屋と共に
座敷に上がっていた
両替屋女将のお絹(ハーデス・ミッチョン)でした。
お絹は天界からの役目で、
この時代の貨幣の流れをせき止め、
私腹を肥やす蜘蛛の軍団とつながっているであろう、
大店の主人の仲間に入り悪事を探っていた。
「おお、乙音師匠ではないか
良う参られた、
粋な三味を聞かせてくれまいか。」
乙音に声をかけたのは江戸では
1・2を争う大店の両替の大黒屋・惣兵衛であった。
この者は、困った人には金子を分けてやり、
弱気を助ける良い
両替屋でした。
強欲に
私腹を肥やす輩を快く思っていない
お絹と乙音とは近い存在であった。
その隣の席に居た月乃屋光太郎は
北町奉行佐竹又十郎から
貨幣を製造する場所を聞き出していた。
「乙音師匠がお弾きでやんしたら
、
あちきが
一太刀舞うでありんす
。」
あでやかないで立ちで、
夕霧太夫は、
すくっと立ち上がり、
乙音師匠の三味線に合わせるように舞い始めた。
「いよーッ日本一。」
太鼓持ちの男衆の威勢のいい声が
夜の帳に鳴り響いていた。
そんな頃
隣の座敷に漢方医の
藤次郎(まあくん)が待機。
乙音師匠とは事前に
話は済んでいた
夕霧太夫が人肌脱いで
北町奉行たち を
だきこむ段取りをしていた。
つづく、、、。
くろねこ
たま
まんだらにや