大河ドラマの解説コーナー㉘ #どうする家康 | わんわん物語

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~異界から目薬~

本能寺の変の回のです。

見たあとどう書けば良いのか悩んでなかなか書けませんでした。。。

 

ドラマの設定としては、信長は家康に自分を殺す覚悟があるか、殺した後の覚悟があるのかを試すためにわざと警護を手薄にし、それに対して家康は悩む話でした。

 

で、悩んでる間に明智光秀が信長を討ち取ってしまう、と。

 

あらすじだけ把握すると、信長も家康もアホすぎる話なわけで。

 

家康を試すためにしたことで明智光秀に討たれる信長の心中やいかに。

悩んでいたのに光秀に天下を掻っ攫われた家康の心中やいかに。

 

ま、現代でもこういうのあるよね。

 

上司から重要なプロジェクトを任されるにあたって覚悟を決めるまで「私なんかでよろしいのですか?」とかちょっと間を置くための会話をしていたら横から全然知らないやつが「じゃ、俺やります!」って出てきてそれを見てた社長が「じゃ、お前やれ」ってそいつに任せちゃう、みたいな。

 

ドラマチックに重要なプロジェクトをやろうとしてたのが全部茶番になってしまう感じ。

 

わんさんは横から出てくる全然知らないヤツのタイプなのでよくわかります。

 

任す方も任される方もそういう演出したいだけだろ、っていう。

で、第三者から見たら隙だらけっていう。

 

なので、ドラマならではの話なわけで。

 

実際信長は本能寺で何をしてたかというと、たくさんの公家を招いてパーティをしていました。

 

パーティの目的は、というとまた色んな説があるのですが、多くの公家たちに名物茶器を披露して茶会をし、そのまま酒宴して、ヒカルの碁でも出てくる本因坊算砂と碁を打って深夜に寝ました。

 

そもそもの上洛の目的は、秀吉からの毛利攻めの仕上げとして信長自身の援軍を要請に応えるためで、そのまま中国地方に出陣する途上で朝廷と公家と対応をした、というところだったと思います。

 

なので、警備が手薄なのはすぐに軍勢と合流するからで、しかも手薄と言っても本能寺にいる人数が少ないだけで京には嫡子信忠の軍はいたのです。

 

なので、明智光秀が2万とかの軍で攻めてこなければ討たれることもなかったわけで。

 

で、ドラマでは冒頭から信長が書斎で一人いるところに突然甲冑武者が襲撃してくるのですが、本能寺の変の議論で甲冑の件はお題の一つになっています。

 

甲冑はがちゃがちゃ音が鳴るので、2万の軍勢が京都に来たら本能寺囲まれる前にわかるだろ、ってことなのですが、このことから明智軍が京に来るのはそういう予定だったから、秀吉の援軍に向かうはずの明智軍が京に来たのは家康を討つためだったからという論拠になっています。

 

要するに、書斎で一人でいる信長が甲冑着てる人に突然背後から襲撃されるなんてことは有り得ません。

がちゃがちゃ鳴ってるので。

 

と、前述した通り信長は本能寺でたくさんのお客さんと茶会して酒宴して碁を打ってるので、その後一人で書斎にいないでしょ。

 

しかも光秀が本能寺を襲撃したのは6月2日未明。

深夜までいろいろやってて未明まで起きてるって、信長は不眠症ですか。

 

それと、最近の研究では明智光秀は本能寺には直接行かず、離れたところで指揮を執っていたとなっているので、ドラマとしては本能寺で信長と向き合わせたかったんだと思うんだけど、まあ、たとえ本能寺を囲む軍にいたとしてもそんな前線には出ないよね。

 

大河は戦の最中に大将同士が顔を合わせる演出が好きだからね。

第二次世界大戦の大河があったら山本五十六とマッカーサーが大義を叫び合って一騎打ちしてくれるんでしょうか。

 

ドラマの演出はともかくとして、本能寺の変の議論の中心は明智光秀の動機です。

 

今回の大河では長い伏線は無く、ずっと信長の腰巾着のようになってた明智光秀が直前の回の安土饗応で信長に叱責され、「上様は失敗を許さない、自分はもう終わりだ」ってなって本能寺の変を起こすという、何それ、っていう動機でした。

 

ただ、動機に関してはたくさんの説があっても決定的な証拠は無いので、小説よりも奇なりは十分に有り得ます。

 

長年のストレスによって狂ったようになっての謀反かもしれないし、黒幕的な人物との何か大きな目的があっての信長殺害かもしれないし、ほんとに思いつきで「あ、今ならできる」って感じで発作的にやってしまったのかもしれないし。

 

信忠まで討ち取れたのは偶然だと思います。

 

信長公記にも、信忠は逃げられたのに、光秀ならしっかり計画して包囲してるだろうと思い込んで逃げずに戦ったと書いてあるので。

 

本能寺の変に関してはウィキペディアでもたくさんの説が載ってるし本もいっぱい出てるから調べると面白いんだけど、説得力があって納得できるものが正解ってわけではないので注意が必要です。

 

わからないものはわからないなりにいろんな想像を楽しみましょう。

 

ちなみにわんさんの説は麒麟が来るの時の解説コーナーで長々書いてあるのでそちらをご覧くださいまし。

 

で、まあ、ここまで書いててわかる通り、本能寺の変そのものには家康あんま関係無いんだよね。

 

直前の安土饗応で光秀が叱責される事件があって、直後は明智軍ひしめく織田領を、織田が滅ぼしたばかりでめっちゃ恨まれてる伊賀を突っ切って帰り、なんとか無事に帰って仇討ちに出陣したところで既に秀吉によって明智光秀が討たれていたことを知るっていうのが家康の本能寺の変です。

 

そこに、信長が家康に殺されようとしていたみたいな変な設定を入れるからチープになるわけで。

 

家康黒幕説だってあるんだからもっとなんとかできんのかい、って思ってしまいました。

 

せめて、富士遊覧が信長を油断させる策ってしてるんだから更に数多の策略で本能寺の警備を薄くさせたことにして、あと一歩で信長を殺せそうだったのに光秀に先を越されたとか、光秀と組んで信長を殺したものの証拠隠滅のために光秀に命を狙われて伊賀越えとか。

 

今までのドラマであまり重視されないところにスポットを当ててくれるのは良いんだけど、いきなり変な流れになるのは毎回残念に感じてしまいます。

 

次回は家康最大のピンチの一つ、っていう最大っていう言葉の定義を確認したい伊賀越えです。

 

次回もお楽しみに!