今年の大河も昨年に引き続きさっぱり詳しくない時代の話なので、感想的なことだけちょいちょい書いていこうかなと思います。
視聴率は初回最低記録だそうだけども、個人的には面白いんじゃないかと思ってます。
あまり知らない人物が主人公ということで昨年と共通なんだけど、「知らない」の内訳は真逆なんだよね。
昨年の紫式部は名前は誰でも知ってて源氏物語の作者であることも知ってるし、源氏物語の内容も密度は違えどあらすじ程度なら誰でも知っている。けど、紫式部自体はどんな人物でどんな生涯だったのかはほとんど知られていないという主人公でした。
今回の蔦屋重三郎は、もはや名前も知らないという人がほとんどではないでしょうか。
たぶん文系大学の受験勉強してても出てこなかった人物だと思います。
わんさんのイメージでも江戸時代の本屋ってことしか浮かびません。
TSUTAYAは蔦屋重三郎にあやかってつけたのかな、とかまさか子孫じゃないよねと思うくらいです。
ググったら違うみたいだけど。
ドラマを実際見てみるとかなりポップなノリというか、上品なネットのノリというか、だいぶキャッチーでわかりやすく描いていました。
冒頭からナレーター役の綾瀬はるかがでてきてスマホの地図アプリ使って位置関係を説明したり、主人公を江戸時代のメディア王と紹介したり、実際の用語を使いつつもわかりやすい言葉に置き換えたナレーションで意味がわからない歴史用語に煩わされることなく物語を楽しめますね。
なので、ドラマでは十分に紹介されなかった時代背景や吉原のことについて語ります。
時代背景、正月に暴れん坊将軍やっててガクトが大暴れしてたのですが、それが将軍在位14年って言ってたから1730年で、ドラマ冒頭の吉原の火事は1768年のだと思うので、あれから40年くらいあとの時代ってことですね。
余計わからんか・・・
1600年に家康が江戸に幕府を開き、1615年に大阪の陣で豊臣を滅ぼし、1636年の島原の乱を最後に大規模な戦が無くなると江戸の天下泰平の時代となりました。
江戸幕府による政治が盤石となるも、文化が発展して貨幣経済も発展すると米の年貢をメインの収入にしていた政治システムが財政難になっていきました。
具体的には米価の下落で、例えば毎年100石(100人が1年間食べる量)をもらっても換金額がどんどん減っていくって状態です。
そんな中で将軍直系の後継が途絶え、家康十男の頼宣の血筋の紀州藩から将軍が選ばれました。
これが暴れん坊将軍吉宗です。
吉宗は享保の改革で米の増産による財政建て直して税収自体は安定するけども、却って重税になったり、同時にやった倹約令が民の不満になったりで微妙な成果でした。
この次の時代がラストサムライ田沼意次が台頭する大河ドラマの時代です。
田沼意次は教科書に出てくるので文系の人ならどんな人かわかると思うのですが、イメージで言えば「お主も悪よのう」っていう人の大ボスみたいな感じです。
貨幣メインの財政改革を目指したものの、そのために商人との癒着が多くてもろもろ革新的な制度を作ったりしたのに悪いやつになってしまった、と。
ただ、それは後から歴史を見た上でのイメージなので、リアルタイムではドラマのように多くの知識を持ち、商人(庶民)と触れ合い、幕府財政を立て直すために幕府の制度に物申す偉人だったのかもしれません。
そういう時代の中で、蔦屋重三郎が衰退していく吉原を復活させようと走り回ってるのが3話目まで見た現在のところ。
吉原、NHKが大胆な、と思ったけど去年の大河もだいぶ大胆なシーン多かったわ。
吉原についてのわんさんの知識は、例によって隆慶一郎の「吉原御免状」と続編の「かくれさと苦界行」がソースになっています。
こちらの小説は江戸時代初期、吉原ができて数十年後くらいの話です。
数十年というと長い歴史があるようですが、江戸時代を通じて御免色里だった吉原なのでできて数十年後は初期ですね。
御免色里、そう、吉原は幕府に許可を得て作られた遊郭街なのです。
創始者は小田原の北条氏家臣で滅亡後は江戸の町人になっていたという庄司甚右衛門。
なぜそんな人が幕府の許可を得て遊郭街を作ることができたのか、許可状に秘密があってそれを奪えば幕府に脅しをかけられるのではないか、ということで許可状を巡る攻防を描いた小説が「吉原御免状」なわけですが、その中で吉原の基礎知識がいろいろ書いてあるので今年の大河の予習として読んでみるのも良いかと思います。
物語としても普通に面白いし。
エロいシーンもあるから子供向けじゃないけど。
で、幕府の許可を得ているから刀持って入っちゃダメとか独自ルールも行使することができるし、その延長でブランドを高めるための花魁との駆け引きのしきたりとかできるわけですね。
で、こういうところはいろんな見方ができるわけで、親が子供を売ったり、借金こさえてどうしようもなくなったり、家が潰れたり悲惨な理由で女郎になることもあれば、それが性分にあってたり、玉の輿を狙ったり、年季まで稼いで余生を悠々自適に暮らそうと思っていたりと自ら望んでくる人もいるし、時代が経てば生まれた場所が吉原って人も多くなる。
そして、女郎だけでなく、女郎屋の店主やスタッフ、吉原の街の運営スタッフ、客を案内する人、警備の人たちなどその生活を支える人々もいっぱいいるわけで、やむなく吉原で働いてる人もいればそこを自分の居場所として働いてる人もいるのですね。
ドラマでは説明が一瞬だったけど女郎屋の店主は”忘八”と呼ばれてまして、これは仁とか義とか礼とか人として大事な8つのことを忘れた人って意味です。正確なのはググって。
遠足におやつ忘れた人のことではありません。
華やかな街だけどももちろん悲惨なこともあって、悲惨なのは女郎の生い立ちだけじゃなく、売れなければ劣悪な環境での営業になるし、子供ができたり梅毒などの性病になったりもするし、当時は謎の病だった鉛中毒もあるし。
あ、漫画「JIN-仁」でおしろいに鉛が含まれてることが原因で女郎が鉛中毒になるって解明するシーンがあったけど、実写ドラマのヒロイン役も綾瀬はるかだった。
そんな女郎を扱う店の店主だから”忘八”なわけです。
なお、わんさんはそういうお店行ったことがないので小説と漫画での知識しかありません。
「薬屋のひとりごと」でも後宮の后が鉛中毒になって流産しそうなのを主人公が防ぐシーンがあるとか、そんな感じの知識です。
なので、女郎が病で寝込んでるシーンがあれば鉛中毒だと思って見ると悲惨な感じが強まります。
1話目でねえさんが死ぬシーンとか。
知らんけど。
まあ、そんな感じで独自のルールがあって華やかなのも悲惨なのも併せ持つ独自の世界が背景にあっての、逆にそれがアダになって未許可営業で安く気軽に行ける風俗店(岡場所)に客を奪われて衰退していく吉原を昔の活気ある街に戻したくて、いっぱい考えた結果、ガイドブック等の出版物を作って客を呼び戻そうと奮闘する物語です。
現代でも風俗店に関しては法律上のアウトなラインと実際に逮捕されるラインが曖昧だけども、それは江戸時代も同じで、”偶然茶屋で出会った男女が意気投合して個室へ”ってのは難しいからね。
岡場所への対抗策は「吉原御免状」にも描かれているから吉原初期のころからの悩みの種だったと思うんだけど、ってか脚本家の森下さんは「吉原御免状」読んでると思う。
前回大河の脚本を書いた「おんな城主 直虎」もすごく良かったので期待しています。
直虎も視聴率低かったけど。。。
役者がものすごく力を発揮する脚本を書くのね。
直虎のときの高橋一生なんてほぼ表情だけで演技してたし。
すでに横浜流星も花の井役小芝風花もすごいので、物語の展開や脚本もだけど演技力にも期待なのです。
話が進めばちゃんと教科書に乗ってたりなんでも鑑定団で紹介される人物が出てくるので、どんな活躍をさせてくれるか楽しみです。
というわけで、次回もお楽しみに!