大河ドラマの解説コーナー⑤ #どうする家康 | わんわん物語

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~異界から目薬~

今回も遅くなりましたが大河ドラマの解説コーナーです。

 

5話目で急に評判が良くなってたので見れるのが楽しみでした。

最近リハやライブが日曜なので見るのが遅くなりがちです。

 

さて、ついに忍者について語る時がきたようですな。

服部半蔵。

 

いろいろ混ざってもはやなんだかわからなくなってる忍者。

昔からの講談、それをもとにした小説や演劇、映画、マンガやアニメ、更に時代考証入ってそれに修正が加わって中途半端にリアティだそうとして何がなんだかわからなくなってるんだってばよ。

 

嘘か真かはもうわからないんだけど、伊賀上野城に行った際には忍者屋敷を再現したものがあって、隠し扉や敵が襲撃しに来た際の罠とか仕掛けがいっぱいありました。

 

 

中では忍者の格好をした人が隠し扉の使い方とか実演してくれるので、他に観光客がいない時に大人一人で入るには勇気がいります。

 

地下は資料館になっていて、忍者の服装や武器などが展示されていて、民衆に紛れるための一般的な物から忍者特有の一般とは違う武器まで、得体の知れない感じが漂ってます。

 

もしかしたら異風な物を使うことによって得体の知れないという雰囲気をイメージ戦略として使っていたのかもしれません。

 

もちろん戦の時は忍び装束で戦ってたらすぐ死んでしまうので普通に甲冑つけてたと思うけど。

 

なんとなくな雰囲気は、たとえば映画もされてる和田竜の「忍びの国」だったり、司馬遼太郎も忍者の小説いっぱい書いてるし、隆慶一郎の作品の中でもいっぱい登場するのでそのあたりを参照に。

 

ざっくり言うと、上忍、中忍、下忍みたいな階級(ほんとにそんな名称だったかはさておき)の、一般的なイメージの忍者は下忍っていうのがこれらの作品の言ってることで、上忍、中忍は忍術できないよ、と。

 

上忍中忍は忍者派遣会社の役員たちなので、会社の社長が現場のアルバイトより現場仕事できないのと同じイメージで良いかと。

 

そして伊賀とか甲賀とか、忍者は米が取れない地域で収入を得るために始めた仕事って感じで、特に伊賀はほぼ山で各地に忍者派遣会社が統一されることなく分立していろんな大名に忍者を派遣し、でも敵が攻めてくると団結して防衛するっていう難治の地でした。

 

このあたりの雰囲気は映画の忍びの国を見れば感じとれるかと。

 

武田信玄の土地もほぼ山だったけど、こちらは税を木工品で納めさせたりして工芸が盛んだったのに。

 

なお、忍者がいろんな大名に雇われていたことは大名側の文書でわかるっていうのをブラタモリの伊賀と甲賀の回でやってました。

 

で、服部半蔵。

半蔵は歴代当主の名前なので親も半蔵、子も孫も半蔵でややこしいのですが、家康配下として活躍するのは服部正成です。

 

親の半蔵は忍者だったようで、親の代に松平清康と出会って三河に来たのですが、正成は忍者ではなく武士として仕えています。

 

それが何で忍者の頭領みたいになったかというと、家康が雇った忍者衆を配下として与えられたからで、半蔵がもともと忍者衆を家臣として持っていたわけではないのですね。

 

半蔵の方は家康の有力家臣として徳川の史料にも記述が多いし、伊賀同心を預けられた旗本服部家としても史料が残ってるのでどんな活躍をしたかは結構わかっています。

 

主には普通に武士として一番槍とかで、兵の指揮より自分で戦場ぶっちぎってく活躍で、忍者衆を率いての活躍は控えめです。

 

一番の活躍は本能寺の変を聞いての堺からの伊賀越えなのですが、そちらの解説はその時に。

 

そして、家康の忍者を使った一番有名な戦いの上ノ郷城の戦いは、半蔵いたかよくわかってません。

来週やるやつなのでその解説は来週にしますが、名前似てるけど上郷インターのところではありません。

 

あと、完全にスルーされてる牧野氏との戦いを同時進行してまして、牧野氏が複雑なので簡略化すると、三河衆がみんな欲しがる牛久保という地を治めていたのが牧野氏なのです。

 

で、ドラマでは吉良氏への攻撃をもって家康謀反としていましたが、今川側では牧野氏への攻撃をもって家康の謀反を確定として牧野氏への援軍を送っています。

吉良へは送らなかったのに。

 

なんで牛久保をみんな欲しがるかというと海があるからで、山の方の三河から伊那街道を辿ってきて東海道と交わるところだから港の収益を自分の領地に持って帰りやすく、そんでもって領主のポジションが不安定でなんか狙いやすいってところで牛久保あたりは天文年間からよく褒美になってるし、武田信玄が三河侵攻した際も武田に寝返った三河衆の間で武田は誰に牛久保の領有を認めるかで争って取次の山県さん(四名臣)を悩ませたりしていました。

 

この後ドラマで出てくるでしょうか。

 

話を戻しまして服部氏。

 

服部氏は半蔵の家以外にも尾張にはいっぱいいました。

長島一向一揆に加わって長年信長を苦しめる服部友貞は伊勢湾で海賊を率いて信長の父の代から尾張を荒らし、桶狭間の戦いの時も海上から今川軍の援護をしていました。

今川軍壊滅後に待ち伏せされて撃退されたけど。

 

桶狭間で今川義元に一番槍したのも服部小平太って人で、首は毛利新介に奪われてしまったものの、この一槍で歴史に名を残しました。

津島の人です。

 

小平太はその後の活躍はよくわかりませんが、秀吉の時に大名になって秀次付きとなり、秀次切腹に連座させられてしまいます。

 

半蔵はそれらの服部とは別の、伊賀から来た忍者とゆかりのある家です。

が、武士として手柄を立てて伊賀衆を配下に与えられますが、伊賀の中では高い家柄ではなかったので配下の伊賀衆とは良好な関係ではなかったようで、伊賀衆も配下に与えられたものの服部家の家臣ではなく家康の家臣のままなので、半蔵の子の代で忍者とは縁が切れてしまいます。

 

そのあたりの話はウィキでもかなり詳しく書いてあるので気になる方はググってください。

 

今回の瀬名奪還作戦はフィクションですが、今川の人質の中には脱出に成功したり奪還に成功した例もあるので家康も奪還チャレンジはしたかもしれません。

 

あ、本多正信が「人質を盗む」って言ってた件、昨日の平山優先生の配信では人質を奪還することを史書でよく「盗む」を表現されているとのことで、本多正信独特のセリフだったり忍者を使うからそう言ったりしたわけではなく、考証が反映された結果だそうです。

 

平山先生は柴先生、小和田先生と共に今回の大河の時代考証を務めてまして、いろいろ批判のある今回の大河で考証が全部脚本や演出に反映されるわけじゃない、と苦労されてますが、主に武田氏研究の方でよく名前を見る方です。

ウィキの出典にもよく論文が挙げられているので武田の武将や合戦のウィキを見た際には探してみてください。

 

小和田先生はよく歴史番組にも出演されてますが、わんさんの認識ではほぼほぼ今みんなが知ってる戦国時代を作った人なので、神です。

 

いろんな史料や講談や伝説でバラバラだった戦国時代の流れを、史実を選定して一つの流れにまとめた偉大な人です。

 

柴先生も徳川、武田氏研究ではたくさん論文を出してまして、個人的にはもしかしたら一番多く読んでるかも。

上述の牛久保を巡る話も柴先生の論文でも取り上げられてたと思います。

 

そして本多正信。

 

本多はいろんな系統があるのですが、三河の本多はみんな家康の家臣なのでわかりやすいです。

旗本衆(親衛隊)の平八郎忠勝の本多、一軍の将の彦三郎広孝の本多、奉行の作左衛門重次(鬼作左)の本多、そして後に参謀的な感じになるけど現状ただのやばいやつ弥八郎正信。

ついでに伊奈の本多氏も家康に仕えていて、ドラマの現時点で5系統の本多氏が有力家臣として存在しています。

 

本多正信についてもいろいろあるけど、ドラマでの正信の名を聞いた瞬間の他の家臣たちの「うおおお、あいつはやめろ」の雰囲気は好きですね。

 

割りと他の家臣たちと仲が悪く、後々になっても榊原康政から「ハラワタが腐ったやつ」ってどんな悪口なのかよくわからない悪口を言われ続けた男。

三河一向一揆の時には一向一揆側について、許されたのに出奔し何十年も帰ってこなかったやつ。

加賀の一向一揆にいたとか松永久秀に仕えてたとか。

でも帰ってきたらいきなり参謀役で、関ケ原の後は大名をがんがん改易しまくって、秀忠の代になってもいろんな政策を断行したバケモノです。

 

が、どの時点から嫌われていたのかはよくわからないので、ドラマの現時点でどんなポジションだったのかは不明です。

が、例えば宮城谷昌光「新三河物語」では当初から性格がひねくれた嫌なやつだし、隆慶一郎「影武者徳川家康」では、こちらでは島左近と並んでメインキャラクターとして主人公に振り回されながら大活躍するけどやっぱり怪物キャラです。

 

前半生が不明なんだけど、嫌われていたけど重臣として政治、謀略面で活躍したっていうことで濃いキャラにしやすいんですね。

 

本能寺の変の黒幕だったらどうしよう。

 

というわけで、5話はまるまるフィクションなので服部半蔵と本多正信の登場が強烈だっただけの回でしたが、こういうのは面白くて良いね。

 

半蔵が棒手裏剣上手くないってのも良いし。

 

あと余話だと、家康の母於大の方が夫の久松さんと子供を連れて岡崎に来るシーン、一緒にいた子供は男子3人松平の姓をもらって武将として活躍します。

娘は夫が相次いで早逝して3回結婚する波乱の人生となりますが、こういう人たちの子供シーンを出すのも感慨深いです。

 

次回は忍者部隊が活躍していよいよ瀬名を取り戻す話、お楽しみに!