WAN-TED EPISODEⅡ

WAN-TED EPISODEⅡ

主に映画、本、サッカーに関した考察です。
何でもありでごちゃ混ぜです笑。

 

 

著者:誉田哲也

 

内容:武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。敗北の悔しさを片時も忘れられない香織と、勝利にこだわらず「お気楽不動心」の早苗。相反する二人が、同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たすが…。青春を剣道にかける女子二人の傑作エンターテインメント。(「BOOK」データベースより)

 

 

 こちらは誉田哲也さん作の青春小説。誉田哲也さんは自分が読んだのは「レイジ」だとか、あと色々警察小説とか多いですけど。何かこう、ハードボイルドな印象がありましたけど、こういったライトな小説も書いている方なんですね。ちなみに、今作に関しては映画化や漫画家もされていますし、続編もありますので、長いこと人気のある作品なんでしょうね。映画や漫画に関しては手を付けたことは無いんですが。他の作品を読んだ時も感じたんですけども、この方の小説は基本的にまず読み易いと思いますね。あんまり小説を読むのに慣れていない人でも。この小説も、題名通り、完全に「ティーン」をターゲットにした小説だと思います。文体は一人称で、主人公が二人いますけども、この二人の話口調で描かれますから。だから、小難しい表現とか文章って実はあんまり無いのでね。堅苦しさも無いですし。ですから、まあ身近な空気ってのはまず出ると思いますね。剣道を描いた小説になっていますけども、その剣道に詳しいかどうかって、別に関係無いですからね。もちろんまあ、多少知っていればもっとわかり易いかもしれませんが笑、別に自分だって剣道は未経験ですし笑。それでもなお、親しみを覚え易いタイプの小説じゃないでしょうか。

 

 ただ、今度は逆に何か小説を読み慣れている人からすると、逆に軽さとか甘さを感じる小説にも感じるかもしれませんね笑。この軽さとか甘さって、いい意味で捉えればやっぱり万人ウケし易いと思うんです。でも、玄人からすると、何か味気ないって言うかね笑。そうも思えるかもしれない。まあ、ジャンルやタイプによって一長一短がありますから、それはもう人それぞれだと思いますけど。さて、香織という女子と、早苗という女子が二人メインとして描かれますが、あらすじに書いてある通り、香織に関しては徹底した結果、「勝敗」にこだわるキャラクター。一方の早苗に関しては、純粋に剣道が「好き」だから続けているというスタンス。どちらも実力はあると言う設定なんですけど。まあ、要は全く正反対の女子が織り成すお話なわけです。まあ、二人がメインなら必然的にそうであるべきですよね。一言で言っちゃえば、この二人が切磋琢磨し合うことで、お互いが成長し合っていく物語。早苗は勝敗の大事さ、香織は純粋に剣道が「好き」と言う気持ちに立ち返ると言う。非常にシンプルな構造だと自分は思うんですけど、でも、それがきっちり描かれていたとは思うんですよね。しかも、ある意味この辺のテーマは自分は非常に普遍的だと思っていますよ。ちょっとだけ器用だなと思うのは、この小説では確かに二人の女子がメインですが、二人の父親に関してもまた描かれた作品となっています。

 

 つまり、「剣道」とはまた違った視点から、どう葛藤を乗り越えているのかとか、どう戦っているのかって言うのを見せてくれている。そしてまた、登場人物らもそれを見て学んでいくってことです。もっと言えば、彼女らは高校生ですから、やはり大人を見て学んでいくって言う。ですから、非常に成長自体には説得力が出てくると思いますし、また、そこはリアリティの部分だと思うんですよね。非常に普遍的な要素ですよ。剣道とかもはや関係無いですから。もっと言えば、部活とか学生に限った話じゃありません。社会人になろうが、何だろうが、常に付きまとう話です。自分なんかは性格上、割と「結果」や「成績」を重視するタイプです。軽々しく、「結果が全て」なんてカッコつけて言っちゃうこともしばしばありますが、ただ、やっぱりそれだけじゃまたダメで。過程で色々習得していくこともまた、大事な要素だとも思います。どちらか一つに偏るとやっぱり何でもよくない。両面を持ち合わせないといけないですね。でも、その為には客観性が不可欠になってきますから。結局自身と向き合うってのが、テーマになってきますよね。この小説はまあ、先ほどは「軽い」などと書きましたけど、でも、それに一応徹底してくれている。例えば、恋愛面にシフトしたりとか、そういうような発展は無いんです(続編は知りませんが)。また、キャラクターが基本的にはもうデフォルメされているので、その辺のテーマってのも非常にわかり易く浮彫になってくる構造だと思います。

 

 

 まあ、この読み易さってのは、やはり人気が出る一つの要因な気もします。でも、まあちょっと「漫画」のような雰囲気もあります笑。って言うか、「漫画」に実際になっているってのも何となく頷ける。こう言ったら元も子もないんですが、女子高生の話し言葉として読まされる文体なんですが、書いている人はまあ男性で、しかもいつもハードボイルド系を書いている人笑。色んな意味で、「作り物」感が出ちゃうのも言えますよね笑。それで大いに好き嫌いは別れそうでもありますが、ただ、しっかりやるべきことはやっている作品だとも思います。

 

 

 

おすすめ度☆☆☆☆