こんにちは。
ゆうぼ代表の勝田潔です。
「兄弟の下の子が上の子の積木遊びを邪魔してしまうので、上の子が積木遊びをするのが嫌になってしまったんです……。」
こういうご相談が年に数回は必ずあります。
その逆(上の子が下の子の邪魔?をする)もたまにあります。
それは、たとえばこんな状況でしょうか。
2歳のA君には5歳のお兄ちゃんがいます。
A君はお兄ちゃんが積木遊びをしているので自分もやりたくなりました。
お兄ちゃんのように積木タワーのてっぺんに積木をのせようと、おぼつかない足取りで近づいていきました。
その姿に、ちょっと固まるお兄ちゃん。
(あっ!)
A君が足もとの積木につまづいて前のめりになり、思わず伸ばした腕が積木タワーにぶつかってしまいました。
「ガシャン!」
タワーが崩れ、落ちてきた積木がA君の頭の上に、「ゴチン!」……。
「ウェーン、ウェーン……。」
泣き出すA君。
そしてもうひとり、泣きたい気持ちのお兄ちゃん。
(ヤッパリ……、だからA君と積木で遊ぶのイヤなんだ……。)
兄弟間の積木遊びでよくある出来事ですね。
下の子は、上の子のやることに興味津々です。
ともすれば自分も同じように出来ると思い込んでいるフシがあります。
だから、同じことが出来なかったり、させてもらえないと悲しくなります。
対して上の子は、下の子に優しくしたいけれども、自分のやりたいことが下の子のおかげで出来なくなるのは悲しい。
親として、兄弟姉妹どちらの気持ちも尊重したいのに両立できなくて心苦しい。
こういう状況は、兄弟の年齢差に関わらず起きてくる問題です。
テレビのチャンネル争いも、休日の過ごし方も、食事のメニューも然り、ですね。
どちらもまだ子どもで、やりたいことには夢中になる盛り、そんな時期に果たして両者が納得するような解決法があるでしょうか?
そういう期間は、葛藤そのものが兄弟それぞれの心の成長を促すチャンスではないかと私は考えます。
上の子にとっては「寛容」と「思いやり」を学ぶ場面となりますし
下の子にとっては「抑制」と「尊敬」を学ぶ機会となると思うのです。
もちろん、親の対応として、たとえばA君には、
「A君、痛かったねー。大丈夫、大丈夫!すぐ痛くなくなるよ!」
「どうする?もう一回やる?お兄ちゃんにやってもらって、(それを)見てみる?」
と、A君の痛みや混乱への共感を表現し、次の適切な行動を促します。
そしてお兄ちゃんには、
「お兄ちゃん、ごめんね。壊されちゃってイヤだったね。」
「お母さん、A君がやるのを手伝ってあげれば良かったね。」
「A君、お兄ちゃんがすごいから、真似したくなったんだね。」
「お母さんもお手伝いして直すから、A君のこと怒らないでくれると嬉しいな!」
と、お兄ちゃんの悔しさや怒りに共感を示し、A君の気持ちも伝え、お兄ちゃんの優しさを引き出します。
落ち着いてきたら、続いて、
「A君、お兄ちゃん、積木壊れて悲しいんだって。『ごめんね』だねー。」
「お兄ちゃんが直すところ、お母さんと一緒にお手伝いしようか?」
と、その後の関係修復(積木修復?)のために適切だと思われる行為を示します。
しばらく一緒に遊びながら、最後に、
「A君、やっぱりお兄ちゃんはすごいねー。こんなの作っちゃうんだから!」
「今度はお兄ちゃんの作るところ、じっと見てて、お兄ちゃんが『良いよ!』って言ってくれたら、お手伝いしようね。」
と語りかけ、お兄ちゃんへの畏敬の念と再発防止のための予防的なお話をします。
これは、あくまでも大人としての対応です。
子ども達の気持ちがこれでスッキリとはいかないことも多いでしょう。
しかしこうした状況の繰り返しの中で、下の子も上の子も、それぞれの立ち位置と適切な対応を学んでいくことになります。
実際、私の運営するプレスクールやアトリエでも、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる1歳半から2歳の子とひとり目の子とでは、大きな子に対する振る舞いが明らかに異なります。
前者の方は、1つ上の大きな子達が積木のタワーを作っているのを見ると、遠巻きに眺めたり遠慮がちに近づいたりします。
対して後者の小さな子は、いきなりズカズカと大きな子の輪の中に入っていって、「ダメ!」と大きな子にどやされたりするのです。
「下の子は要領が良い」とはまさにこのことですね。
「社会経験」が違います。
一方で弟や妹がいる子の場合は、小さな子が近寄ってくるとどうなるかが予測できるので、近寄ってきたり壊されたりしてもパニックにはなりません。
もちろん、どの場合でも経験値や成熟度によって個人差はあります。
ものすごく怒る「上の子」もいますし、未だ学習中の「下の子」もいます。
結論としては、「下の子が上の子の遊びを邪魔して困る……。」
というお悩みは、即座に解決できる方法が無いように感じます。
年の近い兄弟同士の宿命かもしれません。
親が悩んでいるうちに解消してしまっているということも珍しくありません。
どちらかが学習したか達観したのか、それぞれの成長と共にいつの間にか仲良く遊ぶようになることが多いようです。
ですので親としては、しばらくは兄弟間の「仲裁」のスキルを磨きつつ、子ども達の精神的な成長を見守っていくしかないところだと思います。
いかがでしょう、ご参考になりましたでしょうか?
他にも、「こんな風に解決しました」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。
次回は、
「キャラクターから抜け出せないんです……。」
にお答えしたいと思います。