~崩壊~
~崩壊~
ドドドドドウ・・・・・
地底から湧き興る地響きが黄金の塔の中で共鳴しあい、まるで地底の竜が目覚めた様な音が、次第に大きくなっていく。
「塔が、倒れるんだ!」
部屋に一人残されたガルバンゾーは、柱の陰から砂煙を蹴散らしながら、瓦礫の山裾から少し顔を出しているオートラダー(自動梯子)の端っこを思い切り引っ張った。
ギギギギギギー!!
紛れもなく、塔が傾き始めている!ガルバンゾーは、大きくポッカリとジェットタクシーが開けた穴からオートラダーをほおり投げると、その先が地上まで届くのを見届け、慌てて自分の大事な仕事道具の入ったスーツケースを抱えると、踏み台の上に足を載せた。
塔が、ガルバンゾーに向かって、ゆっくりと傾きはじめ、塔の先端が不気味な陰と共に大きく被さって来るように見える。このままではあの塔の先端が自分に正面衝突することは間違いない。
「間に合え!」
塔を囲んでいた地上の兵士達は、その様子に気づき、慌てて持ち場を離れて森の中に散っていく。
ギギギギギギ!
オートラダーがどんどん、地上目がけて降りていく。ガルバンゾーが落下を促すために飛び上がる!
パラパラと、塔の天井の瓦が剥げ落ちて、その破片がガルバンゾーの頭を危うくすれ違って落ち、階下の兵士たちの頭に直撃する。
一方、黄金の塔の階段に居たロームキン達はこの異常事態に気づき、慌てて長い長い螺旋階段を駆け下りている。猛スピードで駆け下りていく途中で、ロームキンの後ろにいた兵士の階段が突然崩れ落ちた!
「ロームキン様!お助けください!」
振り向くと兵士は真っ暗な奈落の底に目がけて今落ちんばかりの有様で、必死にその頼りない階段のタイルに、残された片手でしがみついている。
もう一人の兵士が慌ててその手を掴みにかかったが、その足元までが一度に崩れ落ち、兵士が慌ててロームキンのマントにしがみ付く!
「ええい!放せ!」
ロームキンが非情にも、マントを脱ぎ捨てた瞬間、二人の兵士は絶叫と共にその暗闇に落ちていった・・・怪人は人技とは思えぬスピードで階段を駆け下り、天井から降り落ちる瓦礫屑を必死に払いのけていた。前方の視界を確かめるのに必死になっていたため、階段を踏み外し、坂道を転がす酒樽のように、ゴロンゴロンと、気の遠くなるほど螺旋階段をまっさかさまに落ちていく!
塔の外壁にぶら下がっているガルバンゾーは、あと、地上6mほどの所で口惜しくも停止してしまったオートラダーにぶら下がりながら、すでにこのままでは間違いなくあの塔のてっぺんの下敷きになることを確信していた。
「仕方ない・・・1,2、の・・・・」
サン!の声は掛けなかったが、抱えた荷物を抱きかかえる形で、ガルバンゾーは跳躍した!
ドスン!
横向きに草叢の中に落下し、無事を確認するまもなくヨロヨロと起き上がって、塔を離れる!一秒でも早く!離れる!ガルバンゾーは後ろを振り返らなかった。既にもう、落下している塔の先端を背後に感じたからだ!ダッシュで!痛さなど感じない!走れ!走れ!死に物狂いで!
ゴゴゴゴッゴゴオ・・・ズッシーーーーーーン!
ガルバンゾーは残る限りの力で思い切り遠くに、手を伸ばして伸び上って飛んだ!自分の足元に、ほんの、数十センチの所に、あの、黄金の塔の先端は間違いなくあったが、それを確認する力は残っていなかった。
「死ぬことはとりあえず、免れたな。」
一人で呟くとガルバンゾーはゆっくり仰向けになり、自分を徐々に取り巻く兵士たちの姿をぼんやりと眺めていた。
最階下に転げ落ちたロームキンは、その落下音で目をさまし、這いずりながら出口を目指した。
「閣下、ご無事でしたか!」
「何をぼんやりしている!早く俺を外に連れ出せ!この塔は今すべて崩れ落ちるんだ!急げ!」
兵士たちがロームキンをホバーに乗せて慌てて塔の周りを離れる!
ズズズズズズ・・・・・・ズズズズズズ・・・・
塔の先端を失った残りの塔も、今、足元から静かに崩れ落ち、ゆっくりとその姿を瓦礫の山に変えていく。
「歴史ある、黄金の塔・・国家の財宝である黄金の塔を・・・許せん!!逃亡した連中を直ちに捕え、最高裁判にかけるのだ!」
ロームキンが絶叫する中、ポマノフ大王が大昔に愛した、金夫人の住処は、跡形もなく消え去った。
まるで、彼女の王への愛は幻であったかのように・・。
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