~遭遇~
~遭遇~
今回の会議の召集が尋常の事態でないことを察知していた大統領代行、ジーゼル=マッフルは、極秘に最新鋭の軍隊を差し向け、自らもTDSAに赴いていた。代行を任された身で国を空っぽにしてくることについて大きな反対を受けたが、彼女は胸に湧き上がる不安を抑えきれず、惑星ラスポタニテを強引に飛び出していた。
「ジーゼル様、フィールドゲートで、待機、ということになりますか?」
「・・・・」
ベントンの問いかけにもジーゼルは答えなかった。彼女は、いつもの美しいスーツ姿とは違い、今回はカーキ色の軍服をまとっていた。長めのブーツが彼女の足の長さを引き立てている。どんな服も彼女のためにあつらえたように美しく見えるのは彼女の完成されたスタイルのせいだろう。
「ベントン、こんなところで待っていても仕方のないことなのよ。」
「どういう意味でしょうか?」
「強引だけど、TDSAのフィールドゲートを占拠するわ。」
気が遠くなりそうなジーセル=マッフルの言葉にベントンが泡を吹く。しかし、ジーゼルの美しい瞳にはキラキラと輝く希望と、強い決意さえ伺える。
「軍部も、執行部も、黙ってはいませんよ。しかも、このTDSAのフィールドゲート責任者はボッホ大佐。ジーゼル様の過去の上司ではありませんか。」
「場合によっては彼を拘束するわ。いいの。帰国しての全責任は私がとるわ。ベントン、心配しないで。あなたに責任の降りかかることはしない。」
そんなことを心配しているのではない、とベントンは湧き上がる言葉を喉元で打ち消した。責任感の強い彼女がここまで強引なことをやってのけるのは、相当の覚悟が必要である。次期大統領選挙の出馬も諦めざる負えない事態は必至だからだ。
ビーッ!ビーッ!
警報の合図である。
「ジーゼル様、何者かが、TDSAのフィールドゲートに、人工惑星ライブラリから近づきつつありますが。」
ジーゼル達の乗っている最新鋭の軍用機GA-α1.3の誇るべき首座に座るテリー軍曹が叫ぶ。
「何ですって?武装している?何機?」
「一機です。GT-352、旅客機です。その気配はありません。」
「交信してみて。こんな事態にどこの馬鹿な旅行者かしら?」
「交信反応ありません。」
「え?」
ジーゼルがそのビジョンに食らいつく。一見普通の旅客機だがものすごいスピードでこちらに目がけて突進してくるのだ。
「攻撃すると、威嚇しなさい!」
「了解しました。」
テリー軍曹が交信を送るが一向に返事は送られてこない。
「どんどん近づいてきます!」
「仕方ないわ!撃ち落しなさい!」
「え!ここは惑星レイの圏内ですよ?しかも、ここでは危険です!」
「木端微塵にしなければいいでしょう?この、エンジン搭載部の左翼を狙い撃ちしなさい!」
「・・・・了解しました。」
突然の思わぬ出来事に騒然となる船内だったが、そこは流石の最新鋭機だ。狙いを定め、標準は左翼に定まり、ビジョンに大きくOK・Go!が出た時だった。
グワーーーーーアアアン!!
グワアアーーーーン!
物凄い共鳴派が轟き、ジーゼル達の船が大きく揺れる!
「衝撃派です!第二波、来ます!」
柱に捕まるジーゼルを慌てて支えるベントンを押しのけ、ジーゼルがテリー軍曹に叫ぶ。
「こちらも一発お見舞しなさい!もっと大きい衝撃派で飲み込んだら、更にもう一発お見舞いするのよ!」
軍隊でシュミレーションでは体験したことがあるが、衝撃波のショックとはこれほど凄いものなのかと、ジーゼルはその威力に呆然とする。船内では優秀なテリー軍曹とベントン以外は強い衝撃に脳をやられ、頭を抱えて身動きできないようである。
「第一波、打ちました!」
衝撃波と衝撃波の宇宙での衝突である。敵機の打った衝撃波が、宇宙の大波にのみ込まれて津波のように敵機を覆う。
「敵機、身動き取れないようです!」
「もう一発、お見舞いするのよ!」
「ジーゼル閣下、フィールドゲートから直ちに戦闘を中止するようにと警告が入っております!」
「無視しなさい!」
只ならぬ事態に気づいたフィールドゲートから、断続的に交信が入ってきて船内はパニック状態にある。第二波が敵機を大きく呑み込み、ようやく宇宙に静寂が戻った。
「捕獲しなさい!乗務員を全員ここに連行してくるのよ!」
乱れた髪を必死に整えながら、ベントンの差し出した手を掴んでゆっくりと起き上がる。ジーゼル達の従えてきたGA-13が敵機の回収に向かう姿がビジョンに写る。船が近づき、その旅行船のゲートをレーザでこじ開け、兵士たちが内部に潜入していく。
「一体、何者かしら?!」
「宙族ではないでしょうか?」
戦争経験豊富のベントンでさえも想像もつかない。
フィールドゲートからの交信が騒がしい中、再び兵士たちから交信が入る。
「閣下、捕獲いたしましたのは、若者が三名と、爬虫類系の種族、一名。そちらに連行致します」
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