今日、イランがホルムズ海峡の閉鎖を決定したニュースが各国で報道されました。

 私が最初に知ったのはRT。「ロシア・トゥディ」という、ロシアの国営放送局です。その報道内容は、別の日記に詳しくあります。

 その後見たのは、日本の産経新聞ニュース。そしてその後、晩御飯を食べながらCHANNEL4ニュースでも見ました。その後、気になってイランのTehran Timesもチェックしました。

 どうやら各国で報道内容がかなり違うようです。日本の偏向報道については、昨年ごろからよく目にするようになりました。フジテレビなどを始めとした大手マスメディアが韓国に偏向した報道を行っていることが発覚し、大問題になっています。それと同じことがやはり国際的なレベルでも起こっているようです。メガアップロードの摘発が先週ありましたが、その際に私がRTで見たニュースアメブロニュースでも、内容はなんとなく同じなのですが、視点が違うためか結論というか論調が全く異なっていました。ニュースなどはやはり、株主やスポンサーなどによって、報道する内容・視点がかなり大きく左右されていますので、あらためて驚くようなことでもないのですが、イランで戦争が起こってしまうと、私は第三次世界大戦(大惨事世界大戦)になるものと予測していますので、世界にとって非常に重要な問題であると考えています。そのような重要な問題であるにもかかわらず、各国で報道の内容が異なっていること自体が大問題であるとも思います。だから、もし真実を知りたいと思えば、できる限り広い情報源を持ちその情報の中で、自分が納得できるものを探し出すことが重要ではないでしょうか。

 では、ホルムズ海峡の閉鎖に関連するニュースをロシアと日本、イランなどの報道機関ごとに検証します。

 まず、ロシア側の視点から。私はイランでアメリカの偵察機が墜落された頃から、頻繁にRTのニュースをチェックしていました。
大まかにこれまでのロシアの視点をまとめるとこんな感じです。
イランは話し合いの準備ができている、という表現が何度も違うニュースの中で繰り返されていました。(例12月31日ニュース
・ロシアはイランと親しいので、有事の際はイランの側に立つとも言っています。
・その反面、アメリカでは大手メディアが戦争をけしかけているというニュースも。
・イスラエルも戦闘態勢に入っている。
・アメリカはイラン周辺諸国に対しても武装を呼びかけている。
イランが協議を求めるのに対し、EUはそれを否定している。(1月18日ニュース
・イギリスが、「放映のライセンスの拠点の問題」を理由に、よりによって今、イランを拠点とするPressTVという英語のニュースチャンネルを閉鎖させた。(1月20日ニュース

 私が受けた印象としては、「イランは話し合おうとしているにも関わらず、西欧諸国は全く無視しており、アメリカは戦争をしたがっている。自らが破綻しかけのEUも経済制裁は当然と思っている」と言ったものでした。


 そして、今日の日本の産経新聞の報道を見て驚きました。

・「EUの決定を受け、イランは表面的には強硬姿勢を維持しつつ、米欧側の譲歩を引き出すための糸口を探る綱渡り外交を続ける可能性が高い。」
・「イランは、禁輸措置に対しては、ホルムズ海峡を封鎖することで対抗すると警告を繰り返してきている。」
とあります。
 「話し合いを求める(RT)」と「表面的には強硬姿勢を維持しつつ(産経)」では、天と地ほどの差があります。「禁輸措置に対しては、ホルムズ海峡を封鎖することで対抗すると警告を繰り返してきている(産経)」とありますが、それも「話し合いを要求してもそれに応じてもらえず、イランの石油輸出量20%を占めるEUに経済制裁をされてしまい窮地に追いやられたイランがとうとう海峡の閉鎖を決定した(RT)」では、どちらが悪人かが変わってしまうくらい違います


 テヘランタイムズでイランの言い分を見てみましょう。これは海峡閉鎖の決定を行う前の1月21日のニュースです。
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「イランの国連大使は、『イランに対する脅威が深刻にならない限りは、イスラム共和国はホルムズ海峡を閉鎖する決定は行わない』と述べた。

1月19日、アメリカのPBSテレビ局の「Charlie Rose show」で、イランの国連大使Ambassador Mohammad Khazaii氏が『イランに対する脅迫が深刻になり、どこかの国がイランの首の紐を閉めようとしない限りは、イランはホルムズ海峡を閉鎖する決定は行う意志はない』と語ったと、フランス通信社が報道した。

『あらゆる可能性に対して審議が行われている』

同大使はまた、『ホルムズ海峡は、平和で安定した関所であるべきだと私たちは信じています。しかし万が一、外国勢力がペルシャ湾区域で問題を起こそうとしている場合は、もちろんイランおよび周辺諸国が自国を保護する権利を持つでしょう』と言い、また、

このインタビューの中で大使はイランの核開発について述べた際、この高まり続ける緊張を終わらせるためには『平和、会話、安定』が必要であるとも語っています。 (後略)」
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 イランはアメリカのテレビ放送の中で、「平和的に話し合いたい」と言っています。しかもそれを報道しているのはフランスの報道機関で、掲載されているのはイランの報道機関です。かなり信頼性・中立性の高い情報だと思われます。
 日本の報道はおそらく、アメリカから日本の政府筋へ流された情報をそのまま鵜呑みにして報道しているものでしょう。情報が正確かどうかなど、どうでもいいのでしょう。アメリカはイランに対する経済制裁を行いたい。そのためにはイランは「話をしようともしないで、勝手に核を保有している悪者」でないと都合が悪いのです。ちなみにイギリスの報道はさすがにもう少し中立的なものではありましたが、基本的な論調は日本のそれと同じです。

 私は、特にイランやロシアの肩を持つわけではありません。イランで戦争が起こって欲しくないだけです。戦争なんて、多くの犠牲者が出て、一部の武器商人が利益を上げ、軍事大国がその強さを見せびらかすだけの、エゴまみれの野蛮な動物レベルのイベントに過ぎないと思っています。人命と資源、時間の無駄です。私は母親になってから、毎日、人命がどれほど大事なものか改めて実感しています。どこの国でも、人間を生んで育てていくのはけっこう大変なものです。それをおいそれと簡単に殺されてしまってはたまりません。しかも、戦争では政治の選択肢を持っていない、一般の市民が多く殺されています。納得がいきません。しかも個人的にも、この中近東の緊張のおかげで3月に予定している日本への里帰りのチケットが値上がりしていて、非常に迷惑です。

 また、イランやロシアの情報が正しくて、アメリカや日本の報道が間違っている、とも断言はしません。ただ、ニュースとはプロパガンダ(政治的宣伝・洗脳)的要素を多く含むものであり、報道内容はその背後にある利害関係を反映しているとは思います。アメリカ側の報道からは「私の国の視点に基づいて必要とみなされる戦争は善なり。アメリカの武器輸出も善。アメリカが核を保有するのは世界の正義の維持のために必要だが、他の国が保有するのは悪」と言った内容を世界に向かって言おうとしているようであり、私にはこの理論は理解できません。日本が「国際協力として」「国際社会の一員として」、事実を理解もせずに一国の言われるがままに、対イランの経済制裁に参加する必要性も全くないと思います。それは「国際協力」ではなく「アメリカ協力」、「国際社会の一員として」ではなく「アメリカの属国として」わけもわからず弱い者いじめに加担しているだけです。日本の一部の政治家は「アメリカ」と「世界」を同義語のように捉えているような印象を受けるのですが、明らかに間違いです。世界はもっと広いです。イランだって、中国だってロシアだって世界の一部でしょう。西欧諸国だけで世界を構成しているわけではありません。

 某国のご機嫌なんか伺うよりも前に、まず日本は、国内の経済の立て直しや、震災の被害からの復興を最優先すべきであり、経済制裁にはむしろ参加しないという最初の意思を貫き通すべきだと思います。経済制裁への参加は、日本の復興の足手まといになります。石油がこれ以上値上がりすると、国民の給料は上がることなく、電力やあらゆるものの運送費だけが高くなり、結果として物価が高くなります。痛い目を見るのは、世界中の一般の国民なのです。

 自分に敵対する国には、どのような手段をとっても戦争に持ち込もうとする国があるようですが、そのような国をはたしてどこまで信用することはできるのでしょうか?明日は我が身になるかもしれないとは思わないのでしょうか。

 あと、このまま中近東の状況が高くなると、食料品の価格もさらに急上昇するでしょう。私は保存の効く食料品を買い始めることにします。