昨日、ウィキピディアをなどのサイトがSOPAに反対意思を表明するために「ブラック・アウト・デイ」に参加したことは、イギリスのメジャーニュースでも取り上げられ、一挙に世界中の注目を集めることとなりました。

ウィキが一日閉鎖するとは聞いてはいたのですが、実は私はその実効性がどれ程あるのか疑っていました。しかしさすが、ウィキ!
 そしてSOPAの情勢がここ数日で大きく二転三転しています。

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反SOPAハッカー集団がFBIサイトをダウン 

1月20日 08:44

【RT】http://rt.com/usa/news/anonymous-doj-universal-sopa-235/ 
http://rt.com/usa/news/crippled-fbi-megaupload-anonymous-239/



「アノミマス(Anonymous・反アメリカ現体制のハッカー集団)が先導し、FBIやアメリカ司法省、またユニバーサルミュージック・グループ、アメリカレコード協会、アメリカ映画協会、ワーナー・ミュージックなどの音楽関連企業に対し、サイバー攻撃を行った。

 この攻撃が始まる一時間前に、毎日5千万人のユーザーを誇り、世界でも人気度20位であった「メガ・アップロード(Megaupload)」というウェブサイトがアメリカ連邦政府によって閉鎖されたばかりであり、その際にはニュージーランドでサイトの関係者4人が逮捕され、世界中にいる20人以上の関係者に対して逮捕令状が交付された。
   
 このメガアップロード閉鎖のニュースから1時間以内には、アメリカ司法省、ユニバーサルのサイトがダウン。その後アメリカレコード協会へのアクセスができなくなった。東部標準時で午後6時の少し前には政府のCopyright.govのサイトがダウン。そして30分後には、ライセンス供与を行っている機関のBMI(Broadcast Music, Inc,)がダウンした。

 また、木曜日にはアメリカ映画協会のサイトがアノミマスの「ハクティベスト(hacktivists ハッカーとアクティベストの合成語でしょう)」がサイトに侵入しダウンさせたため、アクセスしようとするとエラーメッセージしか表示されなかった。この協会の代表者は元上院議員の Chris Doddで、この議員はPIPA、SOPAの両法案を一徹して支援していた。

 そして、同じく東部標準時で
午後7:40、FBIのサイトがとうとうダウンした。

 しかしながら、今週中にこれらのSOPAおよびその姉妹法PIPA(PROTECT IP Act IP保護法案)を支援していた上院議員は、両法案に対する姿勢を変更している。それというのも、木曜にメガアップロードの検挙が両法案の可決前に行われたため、インターネット上の著作権保護目的を行うためにかかる法案が必要ない、と判断したためである。

ハリウッド映画業界もSOPAには反対 1月20日 00:59
http://rt.com/usa/news/hollywood-obama-sopa-support-229/
「もし今年の夏の目玉的なハリウッド映画で、ホワイトハウスが宇宙人に総攻撃されたり、レーザー砲やテロリストによって爆破されるものを見かけたら、それはハリウッドからの政府に対するメッセージかもしれない。

 バラク・オバマが、あの問題になっているSOPAに対する改正条項を要求してから、ハリウッドの映画業界上層部はオバマに対する支援を取り消し始めている

PIPAの投票が無期限で延期される 1月20日 19:58
http://rt.com/usa/news/pipa-indefinitely-sopa-internet-309/
「金曜の朝、インターネット界が大勝利を収めた。上院がSOPAとPIPAを審議するための投票を無期限で延期することを発表した。」

しかし、アノミマスのスポークスマン、 Barrett Brown氏はRTに対しこう言っている。
「SOPAはまだ可決はされていないものの、アメリカ連邦政府は自らが望むことをできるような巨大な権力を常に持っている。もしSOPAなしでこんな事件(メガ・アップロードの閉鎖・逮捕事件)ができるのだったら、万が一SOPAが可決されてしまった場合に何が起こりうるか、考えてみて下さい。」

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ということで、とりあえずインターネットの自由はある程度はまだ残されているようですが、結局は、
「なーんだ。SOPAもPIPAなんかなくっても、よく考えたら既存の法律だけでも著作権保護違反者は逮捕できるやんか!」
ということに上院議員が気づいただけのようです


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 その一方、日本では2011年7月に、管内閣が推進し衆参両議院で可決され施行されてしまった新法、コンピュータ監視法があります。正式名称は「
情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律」という、無駄に非常に長い名前です。

 SOPAにしてもこの日本の新法にしても、確かに制定の目的を読むと、「なるほど、確かにそれは必要だ」というもっともらしい目的が設定されています。その目的はいいんです。何が問題かというと、このような法律はよほど精密に制定しないと、政府が自分に都合のいい解釈をして悪用されてしまう可能性がある点です。
 例えば、「令状なし」で操作や検閲する権限を警察機関に与えてしまうと、第三者機関である裁判所の許可が必要がなくなるということです。昔の「治安維持法」時の特高が連想されてしまい、国民の反感を煽るのは無理もありません。

 しかしこの法案も日本国憲法第21条第二項の「
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」に違反するものであり、どのような言い訳をしてもやはり違憲性を問う必要があると私は思います。