新本格30周年記念アンソロジーと副題のついた1冊。

2017年に発行されたもので、<白>と<黒>があり、<黒>を先に読みました。

ちょうど新本格30周年の記念ということで講談社ノベルスから「7人の名探偵」が発行されたのが同年で、イベントなどにも参加させてもらったのが懐かしい思い出です。

当時から気になっていた本ですが、ようやく読むことができました。

 

 

 

「館」の謎は終わらない――。館に魅せられた作家たちが書き下ろす、色とりどりのミステリの未来!
奇怪な館、発生する殺人、生まれいづる謎、変幻自在のロジック――!
読めば鳥肌間違いなし。謎は、ここにある。新本格30周年記念アンソロジー第三弾。
<内容紹介>

 

 

錚々たる作家さんたちの書下ろしアンソロジー。

館ものという括りはありますが、解釈は作家さん自身に任せられているのかいろいろなパターンがあり、またそれぞれの作家さんがお持ちのシリーズ外伝的な作品もあり、飽きずに読むことができました。

 

 

 

  • 「思い出の館のショウシツ」 はやみねかおる

 はやみねかおるさんの「ディリュージョン社の提供でお送りします」の外伝的作品。

 現実世界で物語を体験できるメタブックなるサービスを提供するディルージョン社の新人エディタ・美月と先輩でもある作家・手塚の、上司と部下の漫才のようなやり取りがライトで楽しい。

 現実社会と非現実世界の切り替えがキモだと理解できるのに、こちらの想像力が追い付かず、ちょっとだけ消化不良あせる

 

  • 「麦の海に浮かぶ檻」 恩田陸

 こちらも恩田陸さんの「麦の海に沈む果実」の外伝作品。「沈む果実」の校長の若かりし頃のお話。

 全寮制の学校という<館>でのとある事件で双子の妹を失った経緯が描かれます。

 

  • 「QED~ortus~鬼神の社」 高田崇史

 高田崇史さんのQEDシリーズ外伝。節分の鬼やらいにまつわる謎を大学生の頃の奈々とタタルが追うお話。相変わらず蘊蓄盛りだくさん。雑学としても面白く、また殺人事件も起こらないので、ちょっとホッとできました。人は神社にご利益を求めるけれど、どうしてこの神はン願い事をかなえようとしてくれるのかということに思いを馳せなくてはならない…とうタタルのセリフが響きました。

 

  • 「時の館のエトワール」 綾崎隼

 君と時計シリーズの外伝。修学旅行で宿が選べるなんてちょっと素敵。過去の文集から時を遡れる「時の館」を宿泊先に選んだひかりと啓。談話室で未来から来たという森下と出会う。

 最後の1行が辛辣すぎて笑えます。

 

  • 「首無館の殺人」 白井智之

 この作品だけ既読でした。

 何度読んでもグロさが強烈で肝心の謎解きが頭に入ってこない汗

 

 

  • 「囚人館の惨劇」 井上真偽

 バス事故に遭遇し、雨宿りを兼ねて命からがら古い館にやってきた13人。妹とともに避難した主人公は先ほどから様子がおかしい妹が気になる…。

 一人また一人と無残に殺害されていく。妹を疑い始める主人公の不安定な気持ちが読み手に伝染し、始終不穏な気分に。現場のエグさに対して、ラストに明かされる真実が霧を晴らし、一種清々しさを感じさせてくれる作品でした。

 

 

ファンタジーあり、ホラーあり…といろんな館を楽しめました。

作家さんのシリーズ外伝的なお話が多いのは、新本格30周年にあたり読者に対するサービスなのかもしれませんウインク

 

<白>のほうも読んでみたいと思っています。

 

 

 

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