ランナーに多い足の舟状骨の痛みについて書いてみます。
足の舟状骨とは、この骨です。
走ったり歩いたりするときに、体重がかかる関節なので、
壊しやすい部分です。
アーチの低下
足の内くるぶしの少し下の骨に痛みが出ると、後脛骨筋炎とか、有痛性外脛骨と安易に診断され、長引くことがよくあります。
裾野市からご来院いただきました。内くるぶしの下の骨(舟状骨)の痛み。競技は陸上。
舟状骨部の足の裏に“当たりタコ”ができていました。これを放置すると、舟状骨骨折につながります。
ここにタコができているのは、ここが、シューズや床に当たっているからです。
その場合、インソールを入れると悪化するばかりでなく、選手生命を短くすることがありますから注意が必要です。
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痛みが強いのは左足です。
アーチを見ると、痛みがある左足とは反対の、右足のアーチが落ちています。
立った時の足の裏と、走っているときの足の裏は違う
止まっているときの足の裏と、走っているときの足の裏の形は違います。
ですから、走ってみないと判らないことが多々あります。
立っている状態では床に着いていなかった足の舟状骨部ですが、
タコが物語っていたように、走ると舟状骨が落ちていました。
通常、足首はこのように曲がります。
舟状骨が落ちて曲がる足首は、このように曲がっています。
走るときの片足には、全体重の1.5倍の外力がかかります。
そのまま次のフェーズにはいると舟状骨に過度な負担がかかり続け、足は壊れます。
場合によっては骨折します(舟状骨骨折)。
●アーチサポートの危険性
●足の裏のアーチを治す研究
足の裏のアーチを治す研究も、ずいぶん進んできました。
アーチを治してみます。
世界中が、アーチの低下は様々な痛みを誘発すると言いながら、治し方が解らないのが現状です。
アーチを治す研究を続けるうちに、一つ解ったことがあります。
アーチを治すうえで大切なのは、どうすれば治るのか?ではなくて、
なんで自分が治したいのか?ってことです。
治し方が解らなくても、自分が治したい理由…それだけ解っていれば十分です。
アーチを治す機序については この辺に明記しときます。治したい方はどうぞ。
〈関連記事〉偏平足(アーチの低下)を治すエビデンス
自分でアーチを回復する治験
自分の足を壊すことから始めたこの研究ですが、ここまで進みましたよ。
昨日は良いことがありました。
右足の舟状骨部分のアーチの低下を、
患者さんに自分で治してもらいました。
けっこう、良い結果が出たと思いません??
●アーチを治すだけでは不十分
やるなら徹底的に。
これ、厄介ですね。。厄介だと思う理由は、フォームが悪くない。
接地の位置、着地の位置が体より後方にあると、アーチは壊され、足の痛みを誘発します。
その場合、足の痛みでも、首、背中、尻、そのあたりを治さないと問題の根本解決には至りません。
それらも厄介ですが、もっと厄介なのは今回のように、接地も着地も実にいい、そんな場合です。
足首が壊れています。完全に、つま先が外を向いてしまっています。治します。
脛骨粗面と距骨を結ぶラインに対し、つま先(足の第2趾)が、一定の角度を超えて外に開くと、足首の関節は正常に動くことができません。
足首が正常に曲げることができないと、結果として脛の骨をねじることになり、疲労骨折を起こすのですが、疲労骨折を防ぐための生理的な体の機構として、足首が内側に倒れこみます。
ですから。アーチの低下を治すには、トゥーアウトを治すしかないと思うのです。
アーチを治すことではなく、正常な体、正常な動きを取り戻すことが大切です。