栄養の話②です。

前回:ランニングと栄養

今回のテーマは、

「ランニングがもたらすカラダへの影響」です。

走ることで、体の中では何が起こっているのでしょうか?

また、

栄養や水分などはどのタイミングで関係するのでしょうか?

エネルギー消費とエネルギー生産の過程を絡めて、

栄養の話をしていきます。

 

食事から負担を軽減するために大切なこと

膨大なエネルギーの消費

走った距離から消費エネルギーを計算する方法は

2つあります。

①.簡易的な方法で計算する方法

体重(kg)×走った距離(km)=消費カロリー(Kcal)

※ペースや心拍数は考慮されない

例:体重60kgのランナーがフルマラソンを走った場合

  60kg×42.195km=2,531.7Kcal

②.メッツ(METs)で計算する方法

メッツ:運動強度の単位で、

    詳細な消費カロリーを計算できます。

    ベースは安静時(リラックスしている状態)を

    1として比較し、

    何倍のエネルギーを消費したかで

    活動強度を示します。

 ★消費カロリーの大きさ

   →速いペース>遅いペース

単位時間の消費カロリーは高くなりますが、

運動時間が短くなるため、

トータルの消費カロリーは速く走ったほうが低くなります。

1.05×メッツ×時間(h)体重(kg)

             =消費カロリー(Kcal)

例①:体重60kgのランナーがフルマラソンを

   4時間で走った場合

   1.05×10.5×4h×60kg=2,646Kcal

例②:体重60kgのランナーがフルマラソンを

   3.5時間で走った場合

   1.05×11.5×3.5h×60kg=2,536Kcal

 

フルマラソンを1回走ることで、

約2,000〜3,000Kcalを消費します。

これは、成人が1日に必要なエネルギー量に相当するため、

身体にしっかりエネルギーを蓄えておかなければ、

完走が難しくなります。

 

フルマラソンをケガなく最後まで走るには、

下記の項目がポイントです。

・いかに効率良くエネルギーを使えるか

・どのようにスタミナを温存するのか

・すぐにエネルギーになる食品をどのように補給するのか

 

筋肉や血液がダメージを受ける

マラソンはカラダにかかる負担が大きい

フルマラソン中は、

体内の血液は主に筋肉や皮膚に回っており、

正常な血液循環を行うことが難しくなります。

それによって負担がかかりやすい部位はこの2つです。

①.消化器

走っている間は胃腸に回る血液が少なくなり、

胃や腸の働きが低下します。

また、

物理的にも走る振動で胃や腸は揺すられた状態が続くため、

走った後の胃腸はパワーダウンしています。

 

②.骨格・血液

着地のたびに地面から受ける衝撃で、

骨や関節に負担がかかり、血液中の赤血球が壊れます。

結果として貧血のリスクが高くなり、

今後のパフォーマンスに影響が出てきます。

 

このようなケガや体調不良のリスクを減らすためにも、

ダメージを受けた分、

栄養をしっかり摂って「走るためのカラダ作り」

行うことが大切です。

 

体温の急降下に注意

マラソンを走っていると、

体の深部温度はどんどん高くなっていき、

38℃近くまで上昇すると言われています。

※深部温度:体の中の温度・腋窩温よりも下がりにくい

体温が高くなると、心臓は筋肉への血流を一定にしようと、

より強く血液を送らなければなりません。

ここで問題になるのが、レース終了間際です。

ランナーの汗が乾き始め、

体が冷えることによって体温は一気に低下します。

時には低体温症に陥る危険性もあります。

それを防ぐために、走り終わった後は汗を拭き、

タオルやジャージ等で体が冷えないようにすることが

大切です。

 

発汗により、水分・ミネラルを失う

ミネラル補給の重要性

汗の役割は重大で、体温調節機能を担っています。

ヒトは暑いとき、皮膚の血管を拡張し血流量を増やし、

発汗を促進して体温調節をします。

しかし、発汗量が多いと体内の体液を多く失い、

体温が上昇してしまいます。

車で言うと「オーバーヒート」している状態になります。

体内の水分が失われると、

脱水量によって様々な運動能力の低下を示します。

★脱水量と症状

2%:ノドの渇きを感じる

3%:強いノドの渇きを感じる

    ぼんやりする 食欲不振など

4〜5%:脱水症状→疲労感 頭痛 めまいなど

10%以上:死に至る場合もある

 

人のカラダは半分以上が水でできている

ヒトの体の約60%は水分です。

水分量は筋肉量によって変化し、

筋肉が多いと体の水分量が占める割合も

自然と多くなります。

したがって、

ランナーにとって水分補給はとても重要になります。

 

運動することで、筋肉内で大量の熱が発生します。

その熱が体内に溜まりすぎると、

内臓機能の低下に繋がります。

その時、汗をかくことによって内部の熱を外に逃がし、

体を元の状態に戻そうと働きます。

暑いときは大量の汗をかくため、

必然的に水分が減少しやすくなります。

水分不足によって運動能力が低下するため、

パフォーマンスを維持するためにも、

汗で失った分の水分補給はとても大切になります。

 

活性酸素の増加

「スポーツをしている人ほど寿命が短い」

という話を聞いたことはありませんか?

実際に、統計的に証明されていることであり、

原因は様々ですが、

主な原因は活性酸素だと考えられています。

 

活性酸素とは・・・

体内でエネルギーを作る過程で発生する、

酸化能力の強い酸素です。

呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部は、

通常の状態よりも活性化された活性酸素となります。

活性酸素は体内の代謝過程において様々な成分と反応し、

過剰になると細胞障害をもたらします。

 

活性酸素の役割と作用

〇白血球から生産される活性酸素

免疫機能の向上による感染予防

×過剰生産によるデメリット

・老化 ・ガン ・生活習慣病

つまり・・・

単に活性酸素を除去すれば良いという

安易な考え方は禁物です。

 

抗酸化能力とは

活性酸素が体内で常に産生されているにも関わらず、

体内の恒常性が維持できるのは、

自己防衛機能である抗酸化防御機能

備わっているからです。

※体内の恒常性:ホメオスタシスといい、

        体内の状態を一定に保とうとする作用

★抗酸化防御機能の役割

・活性酸素の産生を抑制

・生じたダメージの修復・再生を促す

 

酸化ストレスを予防する生活習慣

酸化ストレスとは・・・

活性酸素の産生が過剰になり、

抗酸化防御機能のバランスが崩れた状態です。

★酸化ストレスのリスク因子

・外部環境→紫外線・放射線・大気汚染

・体内摂取物→タバコ・薬剤・酸化された物質

・その他要因→過度な運動・ストレス

★酸化ストレスを予防するには

抗酸化防御機能を良好に保つことが大切です。

例:バランスの取れた食事・適度な運動習慣・十分な睡眠

 

ランナーと活性酸素

メリット・デメリットを問わず、

ランナーと活性酸素は切り離せない関係です。

理由は、「紫外線を多く浴びる」「激しい運動」によって

活性酸素が多く発生するためです。

そのため、競技力向上を図ろうとするランナーは、

自然と活性酸素を多く生み出している可能性があります。

 

★活性酸素を生み出しやすい生活例

・トレーニングによる疲労蓄積

・都会で走るランナー→大気汚染

 

マラソンやランニングでは活性酸素が多く発生するため、

どう対処するかを考えることは健康を保つ上で重要です。

何も対策を打たなければ活性酸素は増え、

抗酸化防御機能は衰える一方です。

それを防ぐためにも、

食習慣や日常生活を見直していくことが大切です。

 

抗酸化機能を高めるには

抗酸化機能を高めるには、日々の食事に抗酸化作用のある食品を加えることが大切です。

★必要な栄養素・含まれる食品

βーカロテン:にんじん・かぼちゃ・ほうれん草など

ビタミンC:いちご・キウイ・かんきつ類など

ビタミンE:種実類(ゴマ・アーモンド・ピーナッツなど)

ポリフェノール:ココア・緑茶・大豆など

 

このように、ランニングをすることで、

身体内では良い変化・悪い変化が同時に起こります。

良い変化はより効果を高め、

悪い変化は食い止めるのが望ましいと言えるでしょう。

そのためには、トレーニング計画を見直すだけでなく、

食事にも焦点を当てる必要があります。

 

単に必要な栄養をチェックするのではなく、

作用する働きを知っておくと、

日常生活に取り入れやすくなるのではないでしょうか?

第3回:強いカラダとココロを自分で作る

 


 

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