前回の続き、肩こりの原因の話です。

前回話をした肩こりは、

肩の筋肉や構造に原因がありました。

肩こりの原因には、他の部位が関係する疾患も影響します。

今回は、肩以外の疾患について書いていきます。

 

頚部変形性脊椎症

椎骨・椎間円板の退行性変性で、

椎体の骨増殖椎間腔の狭小化を示す疾患です。

椎骨の異常によって神経・脊髄が圧迫され、

運動機能・感覚機能障害を引き起こします。

例:椎間板がすり減り骨棘が形成される(骨増殖)

中年以降に好発し、

部位では頚椎の5/6が最も多いとされています。

 

症状は神経根症状と脊髄症状に分けられ、

神経根症状

 →頚椎症性神経根症(頚椎症

脊髄症城

 →頚椎症性脊髄症(頚髄症)

に分類できます。

肩こりに関係するのは頚椎症で、

肩こり以外にも様々な症状が出現します。

頚髄症は脊髄症状が出現するため、

 病院での精密検査や治療を勧めます。

★頚椎症で出現する症状(神経根症状)

 肩こり・背部痛

 緊張型頭痛(締め付けられるような頭痛)

 上肢放散痛(しびれ)・筋力低下など

上肢のしびれは障害部位によって変わるため、

診断上重要になります。

 

頚部椎間板ヘルニア

椎間円板に傷がつき、

内部の髄核が後ろ側に脱出して痛みを生じる病態です。

40歳以降に多く、頚椎症と同じく頚椎の5/6に好発します。

レントゲンやMRIの撮影をすることで、

椎骨の変形や関節の隙間が狭くなっていることが

発見されます。

脱出する方向によって症状が変化し、

後ろに真っ直ぐ脱出すると脊髄症状、

斜め後ろに脱出すると神経根症状が出現します。

肩のこりやしびれは、

首の運動によって増強するのが特徴です。

 

頚腕症候群・頚肩腕症候群

筋力低下やレントゲンの異常が診られないにも関わらず、

肩こりや頭痛、上肢倦怠感を訴えるものを指します。

言い換えると、頚椎症や胸郭出口症候群を除く、

原因不明の肩こりなどを指すのが頚腕症候群です。

若年女性〜中年女性に好発し、

よく手を使う職業に起きやすいのが特徴です。

また、

身体的特徴として猫背の人に起こりやすい傾向にあります。

 

胸郭出口症候群(TOS)

頚神経叢鎖骨下動脈の走行途中で圧迫牽引が起こり、

上肢を中心として痛みやしびれなどが出現する疾患です。

圧迫・牽引部位で症状は変わりませんが、

治療方法が大きく変わるため鑑別が重要です。

★神経・血管の走行

斜角筋三角鎖骨・第1肋骨(肋鎖間隙)小胸筋→上腕

・・・障害部位によって疾患名が変わります

★胸郭出口症候群の分類

斜角筋症候群

 →前斜角筋中斜角筋の間で圧迫

肋鎖症候群

 →鎖骨第1肋骨の間で圧迫

過外転症候群・小胸筋症候群

 →小胸筋胸壁の間で圧迫

頚肋症候群

 →第7頚椎に生じた不完全な肋骨(頚肋)による圧迫

 

圧迫・牽引それぞれに、

好発・増悪する条件に違いがあります。

圧迫型

 →筋肉質の男性に多く、腕を上げると症状が増悪します。

牽引型

 →20代かつ痩せ型・なで肩の女性に多く、

  腕を下ろすと症状が増悪します。

 

症状は徐々に出現し、増悪・緩解を繰り返します。

神経症状と血管症状が出現し、

メインとなるのは神経症状です。

また、左右どちらか片方に出現することが多く

上肢の挙上で症状が再現されます。

①.神経症状

肩から上肢にかけての疼痛重だるさ

(局所の圧痛は見られない)

しびれ・知覚麻痺・筋力低下・筋萎縮

②.血管症状

橈骨動脈の拍動減弱・チアノーゼ

③.自律神経症状

上肢でのレイノー現象(白→紫→赤と腕の色が変化)

頭痛・めまいなど

 

治療として、圧迫要因の改善が必須ですが、

頚椎の牽引は、無効もしくは症状が悪化するため

注意が必要です。

 

このように、

首の疾患が原因で肩こりを訴えるケースも多く存在します。

首は神経や血管が多く通過しているため、

重症な疾患が隠れている場合もあります。

慢性的な首肩こりだから・・・

と思っていると、

知らないうちに症状が進行するケースがあるため、

少しでもおかしいと思ったら専門家の判断を受けましょう。

 

次回:肩こりに関係する姿勢

 


 

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