今まで足のスポーツ障害を中心に書いてきましたが、
今回から「肩こり」の話を書いていきます。
肩周りのストレッチや
トレーニングのブログも少なかったため、
詳しく掘り下げてみたいと思います(^_^)v
〜肩こりの定義〜
「首すじ、首のつけ根から、
肩または背中にかけて張った、
凝った、痛いなどの感じがし、
頭痛や吐き気と伴うことがあります。」
日本整形外科学会の記載によると、
肩こりとはこのような状態を指すようです。
とある統計によると、
日本人の約30%が肩のコリを訴えています。
男性では28%、女性では35%と、
女性のほうが肩こりを訴えることが多いとされています。
年齢別で見ていくと、5〜24歳では20%、
75〜84歳では53%と、
年齢が上になるほど肩こりを訴えています。
腰痛と同様に、日本人は肩こりの自覚頻度が高いものの、
医療機関を受診する頻度がそれほど高くないのが実際です。
〜肩こりの原因〜
①.姿勢不良
長時間のデスクワークなどは姿勢が崩れやすく、
肩こりに繋がることが多いです。
例えば猫背の状態では、
首から肩が通常より前側に倒れています。
その際、姿勢を維持しようと首から肩の筋肉は、
頭や腕を支えようと緊張します。
成人の頭の重さが約7kgあるため、
人は常にボウリング玉を頭に乗せて
生活しているような状況です。
それを細い首で支えようとするため、
筋肉への負担は自然と大きくなります。
他にも、鞄を同じ方の肩にかけたり、
片腕だけで物を運んだりと、
アンバランスな姿勢を取ることも肩こりに繋がります。
②.眼精疲労
デスクワークなどでの目の酷使は、
肩こりと密接に繋がっています。
物を見るとき、眼輪筋などの目の筋肉が活躍して
ピント調整や明るさの調整をしています。
近年、パソコンやスマートフォンなどの普及により
眼精疲労になる人が増えています。
同じ姿勢、特に前屈みの猫背姿勢などを取る機会が
増えることが、首肩周りの緊張に繋がります。
それと同様に、
目の筋肉である眼輪筋などにも負担がかかっています。
筋肉の緊張以外にも、
パソコンなどのブルーライトや紫外線などの環境変化でも、眼精疲労を引き起こします。
眼精疲労を起こす要因が①の姿勢不良、
結果として③のストレスになるため、
肩こりの要因の一つとして十分に考えられます。
③.ストレス
上記の姿勢不良などによる肉体的ストレスや
精神的ストレスは、肩こりを引き起こす原因になります。
ストレスにより、
筋肉を緊張させる自律神経(交感神経)が活発に働きます。
交感神経の活動により筋肉の緊張が強くなり、
張りや硬さが現れ、血管や神経を圧迫します。
結果として、首肩のコリやしびれなどに繋がります。
厄介な点は、コリによって血液や酸素不足になり、
悪循環になるケースがあることです。
また、季節の変わり目や冷房機器の使用などの寒い環境は、自律神経の乱れ・筋肉のコリなどを助長するため、
環境の変化などもストレスに含まれます。
★肩こりは人類特有の痛み!?
実は、人類が二足歩行をするようになってから、
人類と肩こりは切っても切り離せない関係にあるのです。
なぜなら・・・
立ち姿勢を維持するためのメカニズムは
首に負担をかけやすく、
首から肩にかけての筋肉は姿勢を保つために緊張します。
緊張によって血流が悪くなり、
結果として重く感じるのが肩こりです。
ヒト以外に二足歩行をする動物は多く存在しません。
つまり、二足歩行を続ける限り、
誰にでも肩こりは起こりうると言えるでしょう。
〜肩こりの種類〜
肩こりの種類は、
①.原疾患が明らかでない肩こり
②.整形外科的疾患に伴う肩こり
③.内臓や精神疾患などその他専門疾患による肩こり
に分類できます。
①の肩こりは、上記に示した姿勢不良やストレスなどです。
③の肩こりは、眼精疲労や高血圧症などが該当します。
今回は、②の整形外科的疾患の話を中心に、
肩こりを分類していきます。
四十肩・五十肩
40代以降を中心とした肩関節の痛み・関節拘縮で、
別名を肩関節周囲炎と呼ばれています。
検査しても原因が分からないことが多く、
加齢による退行性変性とされることが多いです。
症状は、
徐々に発症する肩周囲の疼痛・運動制限が
メインになります。
寒冷や湿気による痛みの増悪や、
夜間(明け方)に痛みが見られるのが特徴です。
痛みのある範囲は三角筋のみで、
重症になると肘や指先まで波及することがあります。
※熱感・発赤・腫脹は顕著に出ないため、
ある場合は別の疾患を疑います。
痛み(特に夜間痛)が強い場合、
石灰沈着性腱板炎の疑いがあるため精密検査を勧めます。
★回復までの流れ・症状
痙縮期(急性期)
原因や痛い部分がハッキリしない
運動時痛・夜間安静時痛・上肢放散痛(しびれ)
痛みによる可動域制限がある
症状のメインは「痛み」です。
拘縮期(慢性期)
夜間安静時痛が軽減され、可動域制限がメインになる
結髪動作障害→肩関節屈曲・外転・外旋障害
結帯動作障害→肩関節伸展・内転・内旋障害
※結帯動作は、C-F間距離で診断・経過観察を行います。
回復期
1年〜1年半で自然治癒するとされているが、
個人差が大きい
腱板損傷
肩関節疾患の中で多く見られ、痛みの原因は様々です。
スポーツ中や交通事故の外傷を契機に生じる多いですが、
明らかな外傷が無くても
次第に損傷していくケースもあります。
腱板損傷が多い理由は、肩関節の構造にあります。
腱板は肩甲下筋・棘上筋・棘下筋・小円筋で構成され、
肩甲上腕関節に安定性を与える役割があります。
肩関節は様々な方向に動き、
運動によって多方向のストレスが腱や筋肉にかかります。
肩峰下腔が狭くなると腱板が挟まれやすくなり、
所謂インピンジメント症状を起こします。
インピンジメントの繰り返しによって腱板が刺激され、
肩の痛みを誘発し、
最悪の場合、腱板断裂を引き起こすことがあります。
※最も損傷を受けやすいのは、
肩峰下腔を通過する棘上筋です。
肩峰下腔が狭くなる原因には、
肩峰や鎖骨に形成された骨棘や、
肩峰の変形なども関与します。
★炎症の分類
①.腱板炎
腱板そのものの炎症で、急性の激痛が特徴です。
②.滑液包炎
腱板を滑らかに動かす
クッションが炎症を起こした状態です。
夜間痛や運動痛、肩関節の腫脹・熱感が特徴です。
両方の炎症に共通なのは、
痛みのある部位が上腕骨大結節である点です。
上腕二頭筋長頭腱炎
上腕骨結節間溝部に痛みがあります。
野球の投球動作やバレーボールなどの、
肩を繰り返し動かすスポーツで発生します。
長頭腱は結節間溝に入っているため、
繰り返しの動作によって摩擦が発生し、痛みに繋がります。
また、日常生活での家事動作などの負担によって
発生することもあります。
痛みは上腕二頭筋に力が入る時、
動きとして、肩関節の外転・外旋で発生します。
例:重たい物を持ち上げた時 頭を洗う時
それ以外に、
上腕二頭筋がストレッチされた時に
痛みが出ることもあります。
例:腰に手を回す時
症状が進行すると、慢性的な肩の痛みに繋がったり、
上腕二頭筋腱の断裂に繋がります。
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