『未来を生きるための読解力の強化書』佐藤優 | 節操の無い庭

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築40年近い中古物件で意図せず手に入れた和の庭園の模様。自然、生き物、家族、自分のことなど。備忘録。

  • 読解力とは、「相手を正しく理解し、適切に対応する能力」「行間を読む力」でもある。
  • 今後20年でどんな仕事が消えるか、事務系、マニュアル化しやすいもの、税理士等の士業。
  • snsは、同質性が高くつながりを深める反面、立場の違うものを排除する閉鎖性も強い。それが顕著だったのはエコーチェンバー現象によるトランプ政権下の社会的分断。
  • クリティカルリーディングとは、criticalの意味は「批判的」と訳されるが、本来は違う。対象に対する価値判断や洞察である。先入観や既成概念、思い込みを取り払い、客観的に向き合うこと。否定的というより創造的。
  • 「メタ認知」のイメージは、高い場所から全体を見渡す。視点を上に持つこと。物事を相対的、立体的、複合的、柔軟性を持って捉える。
  • 「ドグマ思考」とは、絶対的価値観、排他的、固定的、独善的。原理主義的宗教、思想もこれにあたる。ドグマ的な世界では、芸術、学問は成立しない。ローマ教皇を頂点としたヒエラルキーが存在するカトリックは、教義がドグマ的。硬直化した共産、社会主義も同じ構造。
  • テキストを音読すること。肉体的な連動で体全体で受け止める。読めない漢字の読み飛ばしをなくす。
  • 「要約」と「敷衍(ふえん)」短く簡潔にまとめることと、より詳しく、理解できるように表現を変えながらまとめることをする。
  • 仏教には、キリスト教のような神はいない。涅槃の境地を体現した仏(如来)が究極。菩薩は仏を目指して修行するもの。弁天や帝釈天などの神は菩薩より下の位。
  • 欧米人がチャリティーに熱心なのは、プロテスタントにおける信仰即行動に基づくもの。
  • 西洋の時間概念は一直線。断絶をカイロスと言い、西暦もカイロス。対する日本は仏教的に円環。除夜の鐘を108回打ち、煩悩を消し去り、リセットする。
  • テレオロジー、日本人はこの概念が弱い。目的論的な思考が弱い。目的をまず立てて、逆算をして今やるべきことを考える。
三浦綾子の「塩狩峠」を読み解く講義では、差し迫った状況下での仏教とプロテスタントの態度の違いが取り上げられた。講義録なのでこんな感じ。→はい聖書「マタイによる福音書26章31節」音読して〜、北海道の地名がなぜ馴染みがないか→はい地図で場所探して〜アイヌ語から来てるんよね〜、Wikipediaよりコトバンクがおすすめ〜、これからは中国語よ〜、英検受とけ〜、テーマがあちこちに飛び忙しない。でも本を読むとは本来これくらい右往左往、行きつ戻りつしながら読解しろということ。
本の題名からはにわかに結びつかないが、宗教的要素が満載。プロテスタントについて他宗教と比較しながらクリティカルに述べられていたし、仏教における仏や菩薩、観音の位置付けなども説明されていた。
 昨年末訪れた東寺、立体曼荼羅が素晴らしかった。あのイケメン呼ばわりして眺めていたのが帝釈天だったのか…。