藤原定家 しぐるるも | わたる風よりにほふマルボロ

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現代短歌新聞2021年4月号

作品掲載

 

new「源氏で紡ぐ和歌便り」

2021年10月分掲載new

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百首歌の中に

 

しぐるるもおとはかはらぬいたまよりこのはは月のもるにぞ有りける

 

藤原定家

玉葉和歌集冬839(840)

 


 
 
【現代語訳】

時雨の降るのも音は変わらない

と聞こえる板間より

外の様子をじっと感じていると、

変わらぬと思っていたその音は

いつの間にか時雨ではなく

木の葉の落ちる音に

変わっていたのだった。

というのも、

その木の葉の間より

時雨れていては洩れようのない

月光が

実際には洩れていたものだから。

 

(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

もるにぞ有りける:

 洩れるのであったよ、

 洩れる音だったのだなあ。

 「洩るにありけり」に

 強意の係助詞「ぞ」が入り、

 述部の「けり」が係り結びで

 連体形「ける」になった形。

 「けり(ける)」は気づきの助動詞で、

 それゆえ詠嘆も伴う。

 「洩る」は「時雨る」の縁語。

 

 

 

定家最初の百首歌

「初学百首」の

「冬十首」中4首目の歌。

 

最初の百首歌から

『玉葉集』に採られたのですね。

 

 

「初学百首」については、

私も以前

このように触れていました。

 

ちなみに、二十歳で詠んだ

最初の百首歌には

めぼしい歌が少なく。

 

私に見る目がないのかなと

判断を留保していたら

塚本邦雄も

同じように言っていました。笑

 

 

つ、塚本のどの本に

どのように書いてあったのか

最低限書いておいてくれ、

過去の私よ……。

 

 

 

とはいえ、

 

塚本邦雄という

少なくとも私よりは

『新古今集』や新古今歌人に

通じた先人が

 

お勉強が十分であるとは言い難い

私と同じような事を述べていた

とわかる、

 

というのは心強いものです。

 

 

 

「初学百首」にはもちろん

きらりと光る歌もありますが、

全体を通して質が高い、とは

なかなか思えません。

 

この「しぐるるも」も

一読わかりやすい歌ではない

というか、

 

もう少し読みやすい構文が

あろうに、

という気持ちにはなります。

 

 

これは、

新古今の良さである

短縮表現とは

また異なるのだよなあ。

 

 

短縮表現と読みにくい構文は

同一ではない。

 

家隆などもそうですし、

「初学百首」よりあとの

ずっと洗練された定家の

新古今的和歌には

 

心地よい短縮表現というか、

必然性のある読みにくさゆえ

読みにくいとは感じない表現

というか、

 

そういうものがいくらでもあります。

 

 

この歌にも

新古今の片鱗は見えますが、

しかしまだまだ模索途中、

 

という印象を受けるのは

必ずしも私の勉強不足ゆえ

ではないと思います。

 

いかがでしょうか。

 

 

しぐるるもおとはかはらぬいたまよりこのはは月のもるにぞ有りける

 

 

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