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和歌を学ぶ「歌塾」
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作品掲載
2021年8月分掲載
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いなづまを
よひのまのむら雲つたひかげ見えて山のはめぐる秋の稲妻
伏見院
玉葉和歌集秋上628
【現代語訳】
まだ夜の更ける前、宵の間の、
ひとむらのかたまりとなった雲を
伝い、その光が見えて、
雲を伝ったそのまま山の稜線を
光の姿で巡ってゆく
秋の稲妻よ。
(訳:梶間和歌)
【本歌、参考歌、本説、語釈】
むら雲:一群の雲、
集まりまとまっている雲
つたひ:伝って
かげ:光
山のは:山の、空に接する部分。
山の稜線。
『玉葉和歌集』秋上巻軸歌。
主語の揺らぎが
気になるといえば
気になりますが……、
大きすぎる傷ではないかな。
稲妻が村雲を伝い、
稲妻の影(光)が見えて、
稲妻が山の端を巡る、
ということなので、
動詞の主語が一箇所
「稲妻」ではない。
うーん。
「稲妻」が和歌で
どのように扱われてきたか
については
こちらをご参照ください。
扱われ方のこの変化は
人間と和歌、人間と自然の
関係性の変化と
ぴったり合致しています。
詳しくは「歌塾」の講義で
歴史と歌風について語った
回あたりを観ていただけたらと。
よひのまのむら雲つたひかげ見えて山のはめぐる秋の稲妻