承覚法親王 五月雨に | わたる風よりにほふマルボロ

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(題知らず)

 

五月雨にあたら月夜をすぐしきてはるるかひなきゆふやみの空

 

承覚法親王

風雅和歌集夏369(359)

 

 

 

【現代語訳】

 

夏のそれも

澄んで美しいものだが、

五月雨に降り籠められ

もったいなくも月夜を

雨模様で過ごしてきて、

いやいや、いまさら

晴れてくれたところで

その甲斐のない夕闇の空よ。

晴れるなら

月の出る夜でなければ。

 

(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

五月雨に:

 「五月雨にすぐしきて」または

 「五月雨に(五月雨のために)

 あたら(もったいなくも)

 ……すぐしきて」。

 

あたら:

 連体詞と捉えるならば

 「あたら(もったいない)月夜」、

 副詞と捉えるならば

 「あたら(もったいなくも)

 月夜をすぐしきて」。

 価値あるものが

 価値相応に扱われないことを

 残念に、またいたわしく

 思う気持ちを表す。

 「惜(あたら)し」の語幹。

 

はるるかひなきゆふやみの空:

 (月が美しく見える時間帯でないので)

 晴れてもその甲斐のない

 夕闇の空

 

 

 

夏の月や月夜を称美したり

描いたりした和歌は

少ないかと思いますが、

 

こうした歌も

探せばあるものですね。

 

 

承覚法親王が

どのような人物なのかは

こちらに少し書きました。

 

 

 

大覚寺統

後宇多天皇の第四皇子、

ふつうに考えると

二条派系の和歌を詠んだ

と考えられそうな出自。

 

彼について詳しく語ったものを

いまのところ

見つけていないので、

 

知っている2首から

「出自から見ると意外だけど、

 京極派的な和歌も詠む人

 なのだなあ」

と思うばかりです。

 

 

五月雨にあたら月夜をすぐしきてはるるかひなきゆふやみの空

 

 

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