寂蓮 いはねふみ【前編】 | わたる風よりにほふマルボロ

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円位法師がよませ侍りける百首のうたの中に、たびの歌とてよめる

 

いはねふみ嶺のしひしばをりしきて雲にやどかるゆふぐれのそら

 

寂蓮

千載和歌集羈旅544(543)

 


 
 
【現代語訳】
 

大きくごつごつした岩の道を

踏み越え踏み越え、

やって来た山の嶺。

そこの椎の小枝を折り、

敷いて寝床を作ろう。

そうして雲に、とも言うべき

高い山の嶺に宿を借りる

夕暮れよ。その空の風情よ。


(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

いはね:岩根。大きな岩。

 

しひしば:

 椎の木、また椎の小枝

 

雲にやどかるゆふぐれのそら:

 雲に宿を借りる夕暮れの空。

 「借る」は四段活用なので

 連体形も「借る」。

 

 

 

詞書の円位法師とは

西行のこと。

 

 

西行が文治二年(1186年)

勧進した

「二見浦百首」と呼ばれる

百首歌のことを

 

私は定家の『拾遺愚草』で

最初に知りました。

 

 

 

「勧進する」というのは、

辞書の記載など諸々を考えると

 

仏教的な功徳を積む一環として

何かをするよう勧める

(ここでは、百首歌を詠むよう勧める)

 

という意味で合っているのかな。

 

 

その西行の勧進した

「二見浦百首」には

寂蓮、隆信、公衡、定家、

家隆、慈円らが参加。

 

その「二見浦百首」は、しかし

現在まとまった形で

伝わらないそうです。

 

それぞれの家集に

「西行法師に勧進されて

 詠みました」

「二見浦百首」

と書いてあったり

勅撰集入集歌の詞書に

「西行法師に……」

とあるところから

「少なくともこの人とこの人は

 参加したのだな」

と推測されるのみで、

 

「二見浦百首」の全体像は

わからない、

 

ということでしょう。

 

 

寂蓮の『寂蓮法師集』には、

「二見浦百首」でまとまった群も

「いはねふみ」の歌自体も

入っていませんでした。

 

 

 

この歌の音の印象の話を少し。

 

 

と書いていったのですが、

少し長めの記事になったので

2分割しますね。

 

続きはまた明日。

 

 

いはねふみ嶺のしひしばをりしきて雲にやどかるゆふぐれのそら

 

 

この記事の【後編】

 

 

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